[東京 28日 ロイター] - 香港を拠点とするヘッジファンド、オアシス・マネジメントの創業者であるセス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)はロイターとのインタビューで、日本の企業統治改革が一段と進展すれば、日経平均は5年で2倍になる可能性があるが、改革の道のりはまだ遠いとの見方を示した。インタビューは同氏が来日中の26日に行われた。

フィッシャー氏は、日本の企業統治改革は現段階でマラソンに例えると最初の5キロ地点を終えた程度だと指摘。「その時点のタイムが良くても満足とは言えない。もちろん気分は良いだろうが、まだまだ先は長い」と語った。

一方で「企業統治が改善すれば、利益率上昇やバランスシートが今よりはるかに効率的に使われるなどのプラス効果がもたらされ、株主資本利益率(ROE)が劇的に向上すると思う。そうなると日経平均は次の3年から5年で2倍を超える値上がりとなってもおかしくない」と期待を表明した。

日経平均<.N225>は6月に約2年ぶりの高値を付けたが、過去最高だった1989年の3万8915円と比べるとなお低い水準。株価が低迷する要因の1つが日本企業のROEの低さで、足元は8%前後だ。

同氏は「世界標準のROE、つまり15─18%が必要だ。そこに到達できないという理由はない。実現は可能だ」と強調した。

オアシスは自らを「アクティビスト」ではなく、「対話する株主(engaged shareholder)」と掲げ、中長期的な企業価値向上を目的に、徐々にエンゲージメントのステップをエスカレートさせていく手法を採用している。

2013年から数年にわたり、任天堂<7974.T>に対してスマートフォン向けゲーム市場への参入を求めたことなどで知られるが、フィッシャーCIOは、「任天堂については、われわれは現時点では満足した株主だ」と述べた。

また東芝<6502.T>について、オアシスが株式を保有していることを表明。これまでに株価が大幅に下がり、下値余地が限られているためだという。

一部の投資家は、東芝再建に日本政府が関与するのは企業統治改革の精神に反するとみているが、同氏の意見は異なる。「私は株主の権利を強く提唱しており、株主利益を最大化する上で資金と時間を投入する準備がある。だが国益が絡むとなれば、政府が動くことに問題は感じない」と話した。

オアシスは運用資産残高を公表していないが、日本株については「コーポレートガバナンス・コードの導入以降日本への投資を引き上げている」と明らかにした。足元では総資産の50─60%を日本市場に投じており、1000億円以上の投資残高を有していると述べた。

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)