[札幌市 2日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は2日午後札幌市で記者会見し、現在の金融政策は2%の目標達成までの期限を区切っていないと指摘し、好景気を背景に物価の緩やかな上昇が続くとの見解を示した。為替など金融市場が安定している限り、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%とする現行の金融緩和を今後も継続する姿勢を示唆した格好だ。

<物価、急激に上がっていくとはみていない>

布野委員は、黒田東彦総裁就任直後の2013年4月時点では日銀が2年で2%の目標達成を掲げたが、「現在は2年との制約はない」と指摘。その上で「出来るだけ早く2%を達成するため、金融政策、財政政策と構造改革の総合力発揮が必要」とした。

政策運営の目安とする消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は直近の6月時点で前年比0.4%の上昇にとどまっているおり、日銀が示す物価見通し(2017年度1.4%など)は、原油高や円安が進まないと達成が難しいとの見方がある。これに対して布野氏は「為替は110円程度、原油はバレル40━50ドル程度で維持されると想定している」とし、原油や為替が物価を押し上げいくとは見ていないとの見解を示した。

今後の物価について「急激に上がっていくとはみていない」とも述べ、7月の金融政策決定会合で決めた2%の目標の達成時期先送りは「私の見方と整合性がある」とした。

<物価上昇モメンタムとは、「右肩上がりであること」>

日銀は物価動向が見通しを下振れしても「物価上昇のモメンタム(勢い)は維持されている」と説明している。モメンタムの定義について質問された布野氏は「悩ましい」と答え、個人的には「マイナスだった物価がプラスに転じ、右肩上がりであること」と説明した。

人手不足への対応として、生産性向上の重要性を指摘。「従来製造業は生産性向上を製品競争力の強化に活用してきたが、今後は労働市場での競争力強化に活用するのが必要」と述べ、賃上げの原資に活用すべきとの持論を展開した。

(竹本能文)