[ロンドン/ミラノ/パリ 6日 ロイター] - 自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏PSA<PEUP.PA>は、新型コロナウイルスの世界的流行が自動車販売を直撃している状況を受け、昨年12月に合意した合併に向けて現金保有を引き上げる道筋を模索している。

また、FCAが今月に予定されていた株主総会を6月下旬に延期したことを受け、アナリストの間では、総額11億ユーロの通常配当が見送られるとの観測が強まった。[nL4N2BU09K]

両社とも銀行から新たな融資枠を確保しており、関係筋によると、FCAはイタリア政府が6日承認した国内企業向けの融資保証に応募する可能性を検討しているという。

FCAの登記上の本社はオランダにあるが、イタリアに複数の工場があるため、政府の総額4000億ユーロ超の企業支援策の基準を満たす可能性があると同筋は語った。

FCAの広報担当者はコメントを控えた。

同社は3月下旬に35億ユーロの融資枠を新たに確保。期間は12カ月で、6カ月の延長が可能。これに加え、従来からの融資枠が77億ユーロある。

イタリア政府の支援策によると、政府の融資保証を受けるには、1年間は配当支払いを見送る必要がある。

インテーザ・サンパオロのアナリスト、モニカ・ボシオ氏は「合併手続きは進行しているが、年次株主総会の延期を受けて通常配当取りやめへの懸念は強まるだろう」と指摘した。

一方、総額11億ユーロの配当支払いを提案しているPSAも年次株主総会を6月25日に延期した。ただ、関係筋によると、同社は政府の支援は受けない見通し。

同社は6日、30億ユーロの融資枠を新たに確保したと発表。このほか、未使用の融資枠が約30億ユーロある。

<特別配当にも不透明感>

FCAの株価は、イタリア北部で新型コロナ感染拡大が始まった2月下旬以降、約45%下落しており、PSAは32%下げている。

両社の合併計画によると、既存株主は新会社の50%を保有することになっており、FCAは株主に55億ユーロの特別配当を支払う予定。ただ、銀行関係者やアナリストは、これだけの額を支払う余力がFCAにあるのかについて懐疑的だ。

関係筋は「これほど多くの現金を失うことは、もはや得策ではない」と述べた。

別の関係筋は、両社は合併計画に引き続きコミットしているが、合併条件を見直す必要性があるかどうかを判断するために、新型コロナ危機の展開を見極める必要があると述べた。

コンサルティング大手アリックス・パートナーズの調査によると、世界の今年の自動車販売は前年から22─27%減少する可能性がある。