[ワシントン 16日 ロイター] - 米商務省が16日発表した8月の小売売上高は、前月比0.6%増と、前月から伸びが鈍化した。自動車・ガソリン・建設資材・食品サービスを除くコア小売売上高は0.1%減と、市場予想の0.5%増に反してマイナスに転じた。数百万人の失業者が失業保険給付の上乗せを受け取れなくなったことが影響した。新型コロナウイルスが引き起こした景気後退(リセッション)からの回復が揺らいでいることを示した。

統計を受け、政権と議会に対して停滞中の追加景気刺激策の交渉を再開するように圧力が強まる可能性がある。少なくとも2960万人が失業保険手当てを受けている。米経済の3分の2以上を占める個人消費が失速している兆しは、2日間の連邦公開市場委員会(FOMC)を16日に終える米連邦準備理事会(FRB)当局者が注目するとみられる。

オックスフォード・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、グレゴリー・デイコ氏は「消費者の支出に対する慎重な姿勢が強まっている」と指摘。「議会が数週間以内に支援策を延長できなければ、低所得層を中心に消費支出の減少に直面することになる」と述べた。

7月のコア小売売上高は当初発表の1.4%増から0.9%増へ下方改定された。全体の小売売上高も当初発表の1.2%増から0.9%増へ下方改定された。

8月の小売売上高は、ガソリンの値上がりを受けガソリンスタンドの売上高が増えたことが一因でコア指数を上回った。

内訳は、電子・家電が0.8%増。7月は20.7%増加していた。食品・飲料は1.2%減。運動・娯楽は5.7%減。オンライン小売りは横ばいだった。

一方、自動車・部品は0.2%増と、7月の1.0%減から持ち直した。衣料品は2.9%増。外食も4.7%増となったものの、コロナ危機以前の水準を16%超下回っている。

建材は2.0%、家具は2.1%それぞれ増加した。低水準の住宅ローン金利を追い風に住宅市場が堅調に推移している様子を反映した公算が大きい。

労働市場は、新型コロナの感染拡大を抑えるための3月中旬以降の封鎖措置を経て、5月と6月は事業再開に伴い雇用が急増していたが、今月発表された統計は労働市場が勢いを失っていることを示唆する。

雇用の伸びは8月に一段と鈍化した。9月上旬の失業保険申請件数は依然として、非常に高い水準だった。同時に製造業も失速の兆候を示している。8月の製造業生産は鈍化した。

失業保険給付の週600ドルの上乗せは7月に失効した。週300ドルの上乗せ措置に代わったが、全ての州で提供されたわけではない。また上乗せ措置の資金は今月中に枯渇する見通しだ。エコノミストは上乗せの減額により8月の個人所得が約700億ドル減ったと試算する。

5月からの経済活動の急回復は、政府の景気刺激策に負うところが大きい。コア小売売上高は第2・四半期の終わりに力強く伸びたため、同四半期に大幅に落ち込んだ個人消費は第3・四半期に大きく持ち直すとみられている。しかし、8月にみられたコア小売売上高の低迷が続いた場合、第4・四半期の個人消費の伸びは減速する可能性がある。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「第4・四半期にどの程度力強い景気回復を遂げるかどうか懸念する。雇用が回復しない限り、7%とするわれわれの楽観的な実質国内総生産(GDP)伸び率予想を巡る不透明性は増すことになるだろう」と述べた。