[7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が7日に公表した9月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FRBが8月に示した新戦略の適用方法を巡り、当局者の間で見解の相違があったことが分かった。

景気先行き不透明感が高まる中、政策の次のステップについても明確な材料は示されなかった。

議事要旨は、新戦略の実施に向け「大部分の参加者が、より明確で、結果に基づくフェデラルファンド(FF)金利のガイダンスを提供することに支持を示した」とした。

ただ、「一段の明確性の提供を巡る広範な案件が討議された」とし、一部当局者がインフレ率の2%を上回る水準への上昇に向け強い確約を主張したのに対し、そのような確約は現時点ではほとんど効果がないとの見解も示された。

さまざまな意見が出たことは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした景気後退(リセッション)からの持ち直しに向けてFRBが直面する先行き不透明感を反映している。

当局者らは引き続き、世界的に弱いインフレを巡る懸念を示したほか、トランプ政権と議会の対立が続き、当局者の多くが必要と指摘する財政支援策がまとまらない可能性への懸念を強めた。

「一部」の当局者は、追加の債券買い入れ計画について、より具体的な内容を提示することが「今後の会合で適切になる」と述べ、月1200億ドルのペースで現在実施されている債券買い入れの見直しを巡る議論が始まったことも分かった。

この議論は近い将来に活発化する可能性がある。

FRBは7日、債券保有をさらに3兆5000億ドル拡大すれば、景気回復を加速させることが可能だと結論付けたFRBのエコノミスト、マイケル・キリー氏のリポートを公表した。

キリー氏はリポートの中で、今年に入ってからの経済への打撃を踏まえると「影響を相殺するには、国内総生産(GDP)の30%に相当する約6億5000万ドル(の債券買い入れ)が必要になる」と述べた。FRBは新型コロナ危機を受け、3月以降これまでにバランスシートを約3兆ドル拡大させている。

一部の民間アナリストは、財政支援策を巡る協議の停止により、FRBは行動せざるを得なくなる可能性があると指摘している。

ニューヨーク連銀の元当局者で、ISIエバーコアのバイスプレジデントであるKrishna Guha氏は、協議停止を表明したトランプ大統領が方針を転換しない限り、財政支援策を巡る協議の停止はFRBを苦しい立場に追い込むだろうと指摘。「FRBはさらなる対応の検討が必要になる」とし、将来の債券買い入れを確約することが選択肢の1つだとの見方を示した。

FRBは9月のFOMCで、FF金利の誘導目標を2023年末まで0─0.25%に据え置く可能性があることを表明。ゼロ金利を解除するには、最大雇用を達成し、インフレ率が2%に達して一定期間2%をやや超えるまで待つ意向を示した。

パウエルFRB議長は6日、米経済見通しは「非常に不透明」と警告。支援が少なすぎると破産する家計や企業が増え、軟調な回復の悪循環に陥る「景気後退のダイナミクス」が働くと指摘した。

景気先行きを巡るFRB当局者の見解は大きく分かれている。セントルイス地区連銀のブラード総裁は米経済が年末までにほぼ完全に回復するとの見通しを表明。対照的に、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、新型コロナ感染の第2波が今年の秋と冬に訪れて回復が遅れ、信用収縮に直面すると指摘している。

11月3日の大統領選まで残り数週間となる中、経済がどのように展開するかによって当選した大統領の政策環境は大きく異なるとみられる。

9月の政策決定については、不必要に政策手段の自由度を奪うと指摘したダラス地区連銀のカプラン総裁と、今後の利上げ基準をさらに厳しくすることを主張したミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁の2人が反対票を投じた。

議事要旨によると、「参加者は、景気先行きを巡る不透明感は非常に高く、今後の見通しは新型コロナの状況に大きく左右されるとの見解」では一致した。

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