[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁はECBも米連邦準備理事会(FRB)と同様に雇用をより配慮し、物価上昇率が一時的に目標を上回っても容認すべきとの考えを明らかにした。

FRBは低所得者層を支援するために労働市場に重点を置く方針を示している。レーン氏はFRBの政策シフトをもたらした経済の新しい現実は欧州にも当てはまると指摘した。

失業率の低下はもはや物価上昇率の急上昇を引き起こさず、中銀は社会的包摂に注力することが可能になっている。

レーン氏はインタビューで「もしそうなら経済と社会福祉の観点から、インフレ率が目標を下回った期間を考慮して、一定期間、物価上昇率の上振れを容認することは理にかなう」と述べた。

レーン氏は金融政策の社会的影響、特に低所得者層への影響に言及した最初のECB当局者のひとりで、同氏の発言はこれまで物価対策に焦点を当ててきた目標の修正を示唆している。

またレーン氏は物価上昇率が目標を下回る局面があれば、その後、一定期間上振れを容認して、長期平均で目標達成するというFRBの戦略について、ECBも利点を検討すべきと提案した。

「(FRB元議長の)バーナンキ氏が提唱した物価水準目標、あるいは平均物価目標は市場との対話の点で批判を受けやすいが、それでも掘り下げて検討する価値がある」と主張した。

ECBの物価目標について、現在の「2%に近いがこれをやや下回る水準」は非対称という印象を与えるとして、特定の水準に設定することを支持するとした。

「これは(物価が)対称的な中期的物価安定目標を達成する道筋にある限り、インフレ率が特定の水準に設定した目標を一定期間、上回ったり下回ったりすることを許容するということでもある」と説明した。

レーン氏はECBが社会問題をより重視すれば、いずれ第1の責務である物価安定と齟齬が生じる可能性があることを認めた。ただそうした事態が生じてもECBが通常予想期間としている中期よりかなり先になると指摘した。

むしろ短期的な物価見通しは、新型コロナウイルスの流行を受けた行動制限により、下振れするリスクがあると分析した。

「最近のいくつかの指標、特にサービス部門の指標はやや期待外れで、景気回復の下振れリスクを増幅している」とし「私の見解では、回復の形は先端を切り取った平方根というのが最も適切だ」と述べた。

またECBが12月に公表する2023年の成長と物価予想が鍵になると指摘した。インフレリスクは下向きとし、ECBは刺激策について用心するに越したことはないと述べた。