清水律子、大林優香

[東京 4日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副社長はロイターとのインタビューで、海外での鋼材需要や鋼材価格が堅調なことから、2022年3月期の収益が上振れる可能性があると述べた。

地産地消が進む中、海外事業の拡充策としてASEAN(東南アジア諸国連合)・中国で一貫製鉄所の買収や資本参加を検討していくことも明らかにした。

森副社長は「世界の鋼材需要は強い」と述べた。新型コロナウイルス感染症の影響で急減した鋼材需要は、自動車関連など製造業がけん引し急速に戻ってきた。今後についても、世界の鉄鋼生産の60%を占める中国が減産を打ち出しており「消費が伸びる中で中国が減産するため、一層タイト感が増してくる」とみている。コモディティー価格を抑えたい中国政府の取引規制強化などで、足元では鋼材価格や鉄鉱石価格がやや軟化したが「需要そのものが強いため、ずるずると下がっていくとは考えていない。足元(の価格)くらいで止まるのではないか」との見方を示している。

世界鉄鋼協会(WSA)は4月、21年の世界の鋼材需要が前年比5.8%増の18億7400万トンになるとの見通しを発表している。一方、中国は21年から25年にかけて2億3600万トンの鉄鋼生産能力を削減することを計画している。

同社の22年3月期の連結事業利益予想は前年比4倍の4500億円で、14年度以来の高水準を見込んでいる。森副社長は、旺盛な鋼材需要と原料価格の落ち着きを背景に「海外事業は上振れると思う」と述べた。

今年3月に公表した中期経営計画では、グローバル粗鋼能力1億トン体制を打ち出している。欧州アルセロールミタルとのインドでの合弁会社、AM/NSインディアの拡充に加え、ASEAN、中国ですでに設備を持つ会社を買収し「時間を稼ぎながら、すぐに立ち上げることで、進めていきたい」と述べた。自国産化、地産地消の流れにある中で、海外事業については「これまでは下工程で、実際に製品を作るラインを世界に作ってきたが、それでは付加価値が足りない。一番の利益の源泉は、一貫製鉄所の鉄源の部分に集約される」とし、一貫製鉄所の買収や資本参加を進める方針を示した。

世界中の鉄鋼メーカーがしのぎを削るなか、今後多額の研究開発が必要となるのが脱炭素の技術開発。森副社長は、脱炭素の技術開発に関連する買収については「あれば考えることになると思う」としながらも、「それほど、技術が進んだ、あるいは、非常に魅力的な技術を持った会社が具体的にあるわけではない」と指摘。国内外で協力できるところは協力しながら、大型電炉での高級鋼量産製造、高炉水素還元、100%水素直接還元という3つの技術開発を進める方針を改めて示した。

*インタビューは1日に行った。

(清水律子、大林優香 編集:田中志保)