[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が15─16日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)では、当局者が量的緩和縮小(テーパリング)に関する議論を既に開始したかどうかや、インフレ加速を懸念しているかについて手掛かりを得るため、市場の関心は声明文などのメッセージに向けられる。

超過準備預金の付利(IOER)を引き上げる可能性も注目されている。

投資家の注目点を以下にまとめた。

<テーパリング議論を議論>

FRBは毎月1200億ドルの米国債と住宅ローン担保債(MBS)購入の縮小を開始する際、何としても市場の混乱を最小限に抑えたい考えだ。これまでのところ、縮小に関する「議論についての話し合い」を近く開始する可能性があると示唆するにとどめている。

資産購入の縮小はFRBの超緩和的な金融政策の正常化に向けた第一歩と考えられており、状況に何らかの進展が見られたかどうかに市場の関心は寄せられている。

FRBが予想より早期にテーパリングに踏み切る可能性が示されれば、国債が売り込まれ、結果としてリスク許容度が低下して株価が下落するかもしれない。

多くのアナリストはテーパリングに関する発表について、8月のジャクソンホール会議まで待つことになると予想。実際の資産購入縮小は今年終盤か来年序盤になるとみられている。ただ、一部の市場参加者はインフレ加速を踏まえると、長く待てばリスクも大きいと指摘する。

<高インフレは定着しつつあるか>

経済活動の再開に伴い、インフレ率はFRBが目標とする2%を大きく上回っている。当局者が最近のインフレ加速に違和感を感じているかどうかを示す手掛かりを市場は探るだろう。

先週発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比5.0%上昇と、約13年ぶりの大幅な伸びを記録した。

ただ、米国債市場ではCPIについてほとんど懸念が生じておらず、利回りは3カ月ぶりの水準に低下。10年債利回りは14日に1.46%と、3月に付けた1年ぶりの高水準である1.78%から大きく低下した。

パウエルFRB議長は4月FOMC後の記者会見で、インフレ率は今後上昇する見通しだが、そうした動きはほぼ確実に一過性のものであり、FRBが想定よりも早く利上げに動かざるを得ないような持続的な問題には発展しないと明言した。

<ドット・チャートで23年利上げ派は増えるか>

市場の関心は、FRB当局者の政策金利見通し分布(ドット・チャート)に向けられている。

3月会合のドット・チャートでは、18人のメンバーのうち7人が2023年末までに利上げがあると予想、12月の5人から増えた。来年にも利上げに踏み切ると見込んだメンバーは12月時点でゼロだったのに対し、3月は4人となった。

一方、今回、メンバーの22年と23年のインフレ率予測が引き上げれれば、FRBが従来の想定よりも高インフレが長引くと見込んでいると受け止められる可能性がある。

<リバースレポ取引が過去最高、付利金利の引き上げあるか>

もう一つの注目点は、短期金融市場の混乱に対応するため、FRBが超過準備の付利金利(IOER)と翌日物リバースレポ金利を引き上げるかどうかだ。

米財務省は短期国債の発行を減らしており、短期金融市場の参加者は質の高い短期資産の不足に直面している。FRBの債券買い入れなどを背景に銀行は余剰預金を抱えている。

FRBのリバースレポ・ファシリティーでは、一定の資格を満たした金融機関がFRBに翌日物資金を貸し出し、担保として米国債を受け取れる。リバースレポ・ファシリティーの取引額は14日、過去最高の5840億ドルに達した。

財務省は、今後も短期国債の発行額を減らし、債務上限も近づいていることから、リバースレポ取引の需要は引き続き拡大することが予想されている。

IOERを引き上げれば、短期金利の低下圧力をある程度まで緩和できる。一部のアナリストはフェデラルファンド(FF)金利が5ベーシスポイント(bp)を割り込まない限り、FRBがIOERを調整する可能性は低いと予想している。FF金利は11日時点で6bp。

<常設のレポファシリティー>

FRBは5月に公表した4月のFOMC議事要旨で、参加者が常設のレポファシリティーのメリットとデメリットについて説明を受けたことを明らかにし、一部の市場関係者を驚かせた。

投資家はFRBが常設レポファシリティーに関する詳細を明らかにするかに注目する見通し。米国債市場は2019年9月─20年3月に流動性不足に見舞われたが、「大規模な混乱が再び起きても最後の貸し手がいる」という自信が投資家の間で強まれば、そうした事態が起きる可能性を減らすことができる。