[18日 ロイター] - 米国全土では何千人もの労働者が賃上げや働く環境の改善を求めてストライキを続けている。ハリウッドのメークアップアーチストやカメラ技術者らは週末に交渉がまとまってストを回避したものの、ストを行っている労働者は雇用市場の需給ひっ迫などによって一段と意気軒昂の様子だ。

加工食品大手ケロッグの北米におけるフロストフレーク生産をほぼ一手に担うテネシー州メンフィスのシリアル工場で働くケビン・ブラッドショーさんは、会社が約1400人の従業員を対象に医療保険や退職給付金、休暇などの削減を進めていることに心中穏やかでいられない1人。テネシーやペンシルベニア、ネブラスカ、ミシガンにある同社の工場では、対象従業員が5日からストに入った。

メンフィス工場に置かれた「パン・菓子・たばこ労働者および穀物製粉者の国際組合」の副支部長を務めるブラッドショーさんは「もういい加減にしてほしい。われわれは過去最高の業績になった企業に何かを与え続けることなどできない」と語気を強める。

ハリウッドの制作スタッフ6万人は16日にストを回避したが、その直前までいったことは、わずかばかりの賃上げや賃金据え置き、その他の条件悪化にはうんざりだという組合員の声がいかに強いかを物語っている。今回ケロッグ側からコメントは得られなかったが、同社はこれまで報酬の水準は業界トップだと言い続けてきた。

労組関係者が不満を抱くのは、新型コロナウイルス危機の際に多くの組合員がいわゆるエッセンシャルワーカーだとみなされていたのに、経営側からそれに見合う扱いを受けていない点だ。ただバイデン政権が労働者に同情的なことや、8月に労働市場から退出した人が過去最大を記録するなど人手不足が進んでいる流れを受け、労組は企業がどこまで報いる決意があるのかとことん試そうとしている。

コーネル大学の労働アクショントラッカーによると、今年に入ってからは少なくとも176件のストが発生しており、10月だけで17件が確認できる。米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL−CIO)のシュラー会長は先週、「労働者はより良い契約とより良い生活を求めてストを行っている。パンデミックでわれわれの社会システムの格差が浮き彫りになり、労働者は自分たちの健康を危険にさらすひどい仕事に戻るのを拒んでいる」と述べた。

米国の労働運動は今年、アマゾン・ドット・コムのアラバマ州にある物流倉庫で労組結成の動きが阻まれるといった幾つかの挫折はあったものの、指導者たちは成果を上げるための条件が整ってきたとの感触を得ている。カリフォルニア大学バークレー校のハーリー・シャイケン名誉教授は「労使関係においてわれわれは新しい時代を迎えた。労働者は主導権を握る立場になった今、取り戻すべき多くの『失地』があると思っている。われわれが目にしているのは、少なくとも中間層にとどまるか、そこに復帰するための闘いだ」と指摘した。

<より大きな分け前>

米労働者のデータに基づくと、1983年に20%あった被雇用者の労組加入率は昨年時点で11%を割り込んだ。しかしギャラップが今年8月に実施した調査によれば、労組に肯定的な米国民は68%と1965年以降で最高水準となり、この比率は18歳から29歳までだと約78%に達する。

労組指導者の期待を高める要素の1つとして、バイデン大統領は現代の歴代大統領で最も労組寄りだという見方が彼らの間で広がっていることも影響している。バイデン氏は4月、労働者の組織化を促進するための作業部会を立ち上げた。同氏は2カ月前、アマゾンの労組結成問題で組合を組織するのは労働者が持つ正当な権利だと主張する場面もあった。

実際、複数のセクターでは労働者の不満が爆発している。農業機械ディアの場合、全米自動車労組(UAW)に加入し、時間給労働者の9割に当たる1万人が先週、会社が提示した労働契約を拒否してストを継続。彼らは賃金と退職給付金の上乗せを求めており、UAW支部ディレクターはこれを「パイのより大きな分け前」と呼んだ。

ディアはコメントを拒否。ただUAWメンバーがスト賛成を決議した後、従業員の業界最高の給与水準を維持したいと述べた。

カリフォルニアの13の病院と数百カ所の医療センターで働く2万8000人余りは今月、圧倒的多数でストを承認した。経営側に求めているのは賃上げとともに、働き手を増やしてパンデミックによる負担増を軽減することだ。

1日からストを継続しているニューヨーク州バファローの医療従事者約2000人もそうした要求に同調する。看護師のキャシー・ケリーさんは、自身が働く病院は5年間ずっと人手が足りていないと語り、「もう我慢できない。多く与えるばかりで何も得られないではないか」と怒りをあらわにした。

(Ben Klayman記者)