(この記事は27日午後6時42分に配信しました。)

植竹知子

[東京 27日 ロイター] - 国内主要生保の多くが、足元の円安進行の持続性について懐疑的にみていることがわかった。ロイターが27日までに聴き取りを行った2021年度下期の一般勘定資産運用計画では、為替ヘッジを付けない外貨建て債券「オープン外債」への投資に慎重な方針が目立つ。インフレは一時的で米金利の上昇も限定的とみる声が多い。

<来年3月末は今より円高との予想>

日本生命は今年度末のドル/円レート予想中央値を、足もとの水準より5円余り円高となる108円と予想、下期はオープン外債の残高減少を見込む。「日米金利差からドル高円安になりやすい局面だが、インフレが落ち着けば海外金利が一方的に上昇する状況ではない」(岡本慎一・執行役員財務企画部長)とみる。

かんぽ生命も、オープン外債に慎重姿勢を強めている。「海外金利は上がってきたが、昔と比べれば高金利ではない。為替のボラティリティーが大きい中でもあり、慎重スタンスでいる。円安がかなり進んでいるので、この水準から積極的に残高を増やすことは考えていない」(野村裕之・運用企画部長)という。

富国生命は、下期の外債投資は為替リスクをフルヘッジする方針を打ち出した。1ドル80─90円まで円高が進んだ2010年以降に積極的にドルのエクスポージャーをとり、利益を上げた経験がある同社だが、「債券の投資期間は長い。当初からオープンで投資する際は、今の為替水準がコストとして持てるかどうかだが、今のドル円はやや高いという印象だ」(鈴木善之・財務企画部長)と話す。

<米利上げ開始は23年以降との見方>

ドル/円は20日、114.70円と約4年ぶりの高値を付けた。多くの生保にとって4月に示した年間の予想レンジの上限とほぼ同水準だ。市場では、一段高を予想する声もあるが、多くの生保は今年度の予想レンジをほとんど修正していない。

ドル高の背景には米国のインフレ高進と金利上昇があり、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、FRB(連邦準備理事会)の利上げ開始時期を22年後半にほぼ2回と織り込んでいる。しかし今回、国内生保からは「異論」が多く聞かれた。

明治安田生命は、米国の利上げ開始時期は23年度に入ってからで、市場の織り込みよりも後ずれすると見込む。27日時点のドル/円レートは同社想定レンジ(107─114円)のほぼ上限だが、今後、FRBが利上げを急がないとの姿勢の理解が進めば、足もとの円安傾向は一定程度是正されるとみて、年度末のドル円予想を111円で据え置いた。

日本生命も、米国の利上げ開始時期は23年後半とみている。供給制約については「海外企業へのヒアリングでは、今が一番厳しい状況であるが、能力増強投資などをしており、徐々に回復に向かっていくとの見方が聞かれる」(岡本氏)という。

インフレ懸念も市場ほどは強くない。住友生命は、「資源価格の上昇やワクチン代の支払いなどの実需、各国のインフレや利上げ思惑の高まりによってドル高円安に振れているが、今後は落ち着いていく」(藤村俊雄・運用企画部長)との見方から、年度末のドル/円予想を112円で維持している。

一方、第一生命は、早ければ22年後半にも利上げが開始されると想定。日米金利差に起因した緩やかな円安が基本線として、年度末のドル/円を115円と予想している。オープン外債については「為替が今ぐらいの水準であればフェイバー(好都合)で、大きな増減は見込んでいない」(甲斐章文・運用企画部長)という。

※「国内主要生保の2021年度下期資産運用計画・市場見通し」一覧はこちらでご覧いただけます。

(植竹知子 取材協力:佐野日出之 編集:伊賀大記)