[ロンドン 25日 ロイター] - 米政府は、対ロシア制裁下の特例として米国人にロシア国債の元利払いに関する取引を認めてきた措置の期限延長を見送った。

25日にこの措置が失効し、ロシアが約100年ぶりに外貨建て債務で大規模なデフォルト(債務不履行)を起こす事態が避けられなくなりつつある。

今後の展開に関する主な疑問と答えは、以下の通り。

<何が起きるか>

米財務省外国資産管理室(OFAC)は3月2日、米国の個人や団体がロシア国債の支払いに限り、ロシアの財務省、中央銀行、政府系ファンドと取引するのを容認する通達を出した。

この措置のおかげで、ロシアは幅広い金融制裁を科せられながらも、これまで何とか国債の元利払いを継続してきた。2月22日以降で支払いを実行したドル建て債は計7本に上る。

ただ、米財務省は24日、特例措置を延長しないと表明。直接関係してくるのは米国のロシア国債保有者だけだが、国際金融システムにおけるドルの存在感が圧倒的なため、他地域の保有者もロシアの支払いを受けるのは難しくなるだろう。

<影響を受けるロシア国債の規模>

ロシアの外貨建て債の残高は約400億ドル。このうち年内に支払いが発生するのは20億ドル弱となる。

外貨建て債は3種類に区分される。1つ目は、通常通り海外で決済される従来の債券。2つ目は、2014年のロシアによるクリミア強制編入後に発行され、ロシア連邦証券保管振替機関(NSD)における決済と代替通貨支払いの指定条項がある債券。3つ目は、18年以降の発行で、やはりNSD決済が指定されている上に、代替通貨にルーブルが追加された債券だ。

<デフォルト発生時期>

27日にはドル建て債で7125万ドル、ユーロ建て債で2650万ユーロ(2800万ドル)の利払い期限を迎える。ロシア政府はOFACの特例措置失効をにらみ、先週時点で支払い手続きを開始した。

NSDは既にそれぞれの金額を受け取り、27日に外貨で利払いを履行すると表明。

2つの債券の目論見書には「NSDの名で登録されたグローバルボンドに関する元金と利子(追加分を含む)の支払いについては、登録保有者としての資格においてNSDへの支払いが可能になる」と記されている。

一部の専門家とロシア財務省は、この文言のような形で支払いは履行されるとみなす立場だ。

しかし、NSDが受け取った資金が、実際の国債保有者の口座に移動するかどうかは分からない。数多くあるデフォルトの定義に従えば、債権者の口座にお金が入らなければ、デフォルトの要件を構成する。

債権者側は25日時点では、まだ、銀行口座に入金されてないと明かした。もっともロシアには27日の利払い期限後も30日の猶予期間がある。

<次の支払い期日>

債権者が27日に資金を受け取った場合、ロシアは次に6月23日と同24日に支払い期日を迎える。

6月23日は5月27日と同じように、NSD決済が指定された債券だ。ただ、1億5900万ドルの支払いが必要な6月24日の場合、1998年の発行で海外での決済が義務付けられている。

そのため専門家の見立てでは、OFACの特例措置なしだとロシアは支払いを実行できない。

この債券の利払い猶予期間は、15日に設定されている。

<「信用事由」が認定されるか>

大きな問題が1つ存在する。それは、支払い遅延の可能性がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の損失補てん支払いを発生させる「クレジット・イベント(信用事由)」に該当すると認定されるかどうかだ。

国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)が信用事由だと認めた場合、CDSの売り手が買い手の損失を穴埋めしなければならない。

JPモルガンは、ロシア国内で決済可能な債券において、NSDが支払金を受け取った場合、CDSの買い手への損失補てん発生にはつながらないと予想。同社アナリストチームは、顧客向けノートで「このお金がその後、債券保有者に移管されないとしても、CDSの信用事由認定回避条件としては十分ではないか」と述べた。

ただし、ロシアが6月24日に支払うことができないと、猶予期間後に信用事由の認定があってもおかしくない。

JPモルガンの計算では、ロシア関係のCDSの名目残高は現在25億4000万ドル。このうち16億8000万ドルは、ロシア自体のCDS、残りは新興国指数に絡むCDSだという。