[東京 17日 ロイター] - 日銀は16─17日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決めた。リスク要因として、金融・為替市場の動向やその経済・物価への影響を「十分注視する必要がある」と異例の言及を行う一方、10年物国債金利0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施すると改めて表明した。

<「為替」に異例の言及>

日銀は、外為市場での急速な円安進行を受け、声明文で「金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」とした。歴史的な円高局面にあった2011年には、「国際金融市場の動向」との表現を用い、円高が経済のリスク要因だと警戒感を示してきた。今回のように「為替」という文言を使用するのは異例。

政策金利の目標は賛成8、反対1で据え置きを決定した。短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。片岡剛士委員は長短金利引き下げで金融緩和を強化することが望ましいとして反対した。

日銀は「明らかに応札が見込まれない場合を除き、10年物国債金利0.25%での指し値オペを毎営業日実施する」と改めて表明した。米金利の急上昇で国債金利に上昇圧力が波及。国債先物では日銀の政策修正を試す投機筋の売り圧力が強まり、日銀は連続指し値オペの対象をチーペスト銘柄に当たる10年物国債の356回債に拡大していた。

日銀は、当面は新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を講じると表明した。政策金利は、現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移すると想定しているとした。

<輸出・生産の判断引き下げ>

声明文では、景気の現状判断について「新型コロナウイルス感染症や資源価格上昇の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している」との文言を維持した。

輸出・生産について「基調としては増加を続けているが、足元では供給制約の影響が強まっている」とし、4月展望リポートでの「供給制約の影響を残しつつも、基調としては増加を続けている」から判断を引き下げた。海外経済については「一部に弱めの動きが見られるのの、総じてみれば回復している」とした。

一方で、個人消費は「感染症の影響が和らぐもとで、サービス消費を中心に持ち直している」として、4月の「感染症によるサービス消費を中心とした下押し圧力が和らぐもとで、再び持ち直しつつある」から表現を強めた。

経済の先行きは、ウクライナ情勢などを受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、新型コロナ感染症や供給制約の影響が和らぐもとで回復していくとの見通しを示した。

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面はエネルギーや食料品の価格上昇の影響で2%程度で推移するものの、「その後はエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していく」とした。

日銀は2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続すると改めて明記。マネタリーベースについては、コアCPIの前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。

(和田崇彦編集:石田仁志)