[東京 17日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は17日、金融政策決定会合後の会見で、外為市場における急速な円安進行は「経済にマイナス」であり、為替市場の動向を十分注視する必要があると述べた。同時に、今のところ企業収益は高水準で推移し、設備投資も全体的にしっかりしており「さらなる緩和が必要なわけではない」との見解を示した。

黒田総裁は、為替相場について「経済・金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移するのが望ましい」と改めて指摘。重要なのは、円安によって収益が改善した企業が設備投資を増加させたり、賃上げしたりすることで経済全体として所得から支出への前向きの好循環が強まっていくことだと強調した。

日本経済はコロナ禍からの回復途上にある上、資源価格上昇による下押し圧力も受けており、金融面からしっかり支えていかなければならない状況だとの認識を示した。急速な円安は経済の先行きの不確実性を高め、企業による事業計画策定を困難にするなど「望ましくない」とし、「金融・為替市場の動向を十分注視する必要がある」と語った。

為替の動向を注視した上で金融政策の判断材料とするのかとの問いには、「為替レートをターゲットにして金融政策を運営している国はない」と否定した。

<金融政策、再点検の必要なし>

黒田総裁は、長短金利操作によってイールド・カーブ全体を低位で安定させ、経済の回復を支えるという考え方に変更ないと説明。今後も10年物国債金利がゼロ%程度で推移し、他の年限もそれとおおむね整合的なイールドカーブが実現するよう必要な措置を講じると述べた。

このところ欧米金利の動きに起因する金利上昇圧力で10年金利は変動幅の上限に近い状況が続いているが、それに応じて変動幅の上限を引き上げれば長期金利は0.25%を超えて上昇し、金融緩和効果が弱まると説明した。

黒田総裁は、現行の金融市場調節によって今後も適切なイールドカーブ形成が実現できるとし、現時点で金融政策の再点検は必要とは考えていないとした。

日銀は16─17日に開催した会合で、現行の大規模な金融緩和政策の継続を決定。合わせて「明らかに応札が見込まれない場合を除き、10年物国債金利0.25%での指し値オペを毎営業日実施する」と改めて表明した。

(杉山健太郎、和田崇彦)