[東京 21日 ロイター] - 岸田文雄首相(自民党総裁)は21日の党首討論で、日銀の金融政策の影響は為替だけでなく中小零細企業や住宅ローン、景気にも及ぶため総合的にみる必要があると指摘し、円安を是正するため政策を変更する必要はないとの見解を示した。その上で「金融政策と為替に対する対応、それぞれ整理をして政策を考えていくべき」と述べた。

<金融政策、「今は触るべきでない」>

立憲民主党の泉健太代表は「円安を放置するのかどうか問われている。政府・日銀は円安の見直し、ゼロ金利見直しに取り組むべき」と指摘し、利上げの必要性を訴えた。これに対し岸田首相は、金融政策は為替に影響するが「中小・零細企業や、住宅ローンの金利を通じて景気に影響を与えるため総合的な判断が必要」との認識を示した。

国民民主党の玉木雄一郎代表が、経済のデフレギャップを踏まえ「金融引き締めはあり得ない」と述べると、首相は「金融政策を今触るべきでないという点で(考えが)一致できる」と応じた。その上で、金融政策の具体的な手法については「日銀が判断すること」との政府見解を改めて示した。

為替について岸田首相は、今月10日に財務省と金融庁、日銀が急速な円安進行について「憂慮している」との認識を共有したことについて触れ、今後の状況をみながら必要であれば適切な対応を行うと確認していると説明。為替は「しっかり注視をしていかなければならない」とし、為替に対しては金融政策とは別に「それぞれ整理をして政策を考えていくべきである」と述べた。

物価高騰対策には財政を活用するべきとの玉木代表の指摘に首相は「共感する」と応じ、「(足元の)物価高騰はエネルギーと食料品の高騰が中心で、そこに政策を集中するのが大事」と語った。

自民党内で50兆円規模の補正予算を要望する声が出ているが、岸田首相は物価高対策として補正予算を組む意向について問われ、「まずは今用意した政策を実行していきたい」と答えた。

<対中国・韓国、対話は重要>

日中関係に関しては、岸田首相は「双方にとって重要であるというだけではなく、地域や国際社会の平和と安定にも大きく影響する」とし、中国とは「安定的で建設的な関係を維持することは大事」と述べた。

韓国についても、関係を安定させるためには朝鮮半島旧労働者問題などの課題で前進を図ることが重要であるとする一方、「国と国との約束が守られないと議論ができない」とも述べた。

中国、韓国ともに首脳会談は予定されていないが、岸田首相は「対話は重要」であるとの認識のもと、実現に前向きな姿勢を示した。

共産党の志位和夫委員長からは、企業の内部留保への課税の必要性についての質問が出た。岸田首相は、課税は検討していないとした上で「企業にペナルティーを与えるのではなく、賃上げ・設備投資のインセンティブを与える環境整備をする」と述べた。

志位委員長はまた、防衛費の対国内総生産(GDP)比を北大西洋条約機構(NATO)並みの2%を目指す場合の財源などを質問。首相は「NATOとは防衛費の物差しが違う」、「政府として数字ありきと一度も言ったことがない」と答えた。

日本維新の会の松井一郎代表から、憲法改正に必要な3分の2の改憲勢力を保持しつつ与党が発議しない理由を問われた岸田首相は、「改憲の中身について3分の2結集できる議論を進めていきたい」と述べるにとどめた。

討論会には、公明党の山口那津男代表、れいわ新選組の山本太郎代表、社民党の福島瑞穂党首、NHK党の立花孝志党首も参加した。