[東京 22日 ロイター] - 日銀が4月27―28日に開いた金融政策決定会合では、外為市場で円安が急速に進む中、金融政策と為替相場の関係について議論が展開されていたことが明らかになった。複数の委員が短期間での過度な変動が先行きの不確実性を高め企業の事業計画の策定などを難しくする面があると指摘する一方で、1人の委員は「需給ギャップや失業率ギャップがいまだに大きく、インフレの基調が極めて低い現状に対しては円安がプラスに働く」と語った。

日銀が22日、決定会合の議事要旨を公表した。何人かの委員は、日銀の金融政策が為替相場のコントロールを目的としているわけではないことを対外的に丁寧に説明していく必要があると述べた。

この決定会合では連続指し値オペの運用が明確化され、10年物国債0.25%での指し値オペを原則毎営業日実施することが決まった。ある委員は「海外勢を中心に10年物国債金利に関するさまざまな憶測が生じ、それが一定期間続いている現状を踏まえると、指し値オペの運用を明確にしておくことは有効だ」と述べた。

<物価高、ディマンド・プル型にシフトとの声も>

会合では「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が取りまとめられ、振れの大きい生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)は2024年度にかけて緩やかに伸び率が拡大する見通しとなった。

1人の委員は「価格転嫁の広がりは、資源価格上昇という外生的な要因をきっかけとしたものだが、デフレ期にはみられなかった動きだ」と指摘。

別の1人の委員は、需給ギャップの改善や労働需給の引き締まりにより「サービスを含むより幅広い品目に物価上昇が広がり、先行きの基調的な上昇率は2%に向けて徐々に伸びを高めていく」と述べた。「先行きの物価上昇の中身がコスト・プッシュ型からディマンド・プル型へと移行していく中で、基調的な物価上昇率は徐々に強まっていく」(ある委員)との声もあった。

<家計のインフレ実感、「CPI以上」>

黒田東彦総裁は6月6日の講演で、家計や企業の物価観やインフレ予想の変化に触れ「家計の値上げ許容度が高まっている」と述べたが、世論の強い批判を浴びて発言を撤回した。

4月の決定会合では1人の委員が「家計や企業の予想物価上昇率に見られ始めている変化を一過性のものとせず、物価目標を持続的・安定的に達成するためには、現在の金融緩和を継続する必要がある」と述べた。

個人消費については「最近の物価上昇に伴う家計のマインド悪化等に注意が必要だが、ペントアップ需要の顕在化に向けた環境が整いつつあり、旅行関連消費を中心に持ち直していく」(1人の委員)との指摘もあった。

その一方で、ある委員は「家計のインフレ実感が消費者物価上昇率以上に高まっている可能性がある」と指摘。「賃金上昇ペースがインフレ実感に追いつかないもとでは、インフレに対する否定的な見方が家計に広がる恐れがある」として物価動向や金融政策について従来以上に丁寧な情報発信に努めていく必要があると述べた。

<先進国、金融緩和縮小が不十分なリスク>

日本を除く先進国が緩和縮小や金融引き締めに動く中、何人かの委員は「当面の利上げペースが加速した場合の経済の下振れリスクだけでなく、やや長い目でみて、金融緩和縮小がインフレ抑制に十分な効果を持たなかった場合、結果としてさらに強力な引き締めが必要となるリスクにも留意する必要がある」と指摘した。米国の金融部門のバランスシートが拡大傾向にあるとして「金融引き締めの影響が過去の局面に比べて大きくなり得るため、注視する必要がある」(1人の委員)との声も出た。

調整が続く中国の不動産セクターについて、1人の委員は「会計監査の遅れにより大手企業の決算開示延期の動きがみられる点には 注意する必要がある」との認識を示した。

(和田崇彦 編集:内田慎一、田中志保)