[東京 27日 ロイター] - 日銀が16―17日に開いた金融政策決定会合で、資源高や為替の円安により値上げが広がっているものの、「前向きの循環の下での物価目標が実現されたとは言えず、金融政策は現状維持が適当」との指摘が出ていたことが明らかになった。日本では負の需給ギャップの下で賃金上昇を加速させる労働需給環境には至っておらず、「金融緩和を縮小している欧米諸国の経済環境とは異なる」といった意見もあった。

日銀が27日、決定会合で出た「主な意見」を公表した。この会合で日銀は、金融政策の現状維持を賛成多数で決定した。

同会合の声明文は、為替について「金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」と異例の言及をした。委員からは「急激な円安の進行は、先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするため、経済にマイナスに作用する」との意見が出ていた。

日銀は10年債0.25%での指し値オペを引き続き原則毎営業日実施することも決めたが、会合では「海外からの金利上昇圧力は今後も続くとみられる中、金融市場調節方針を実現するため、指値オペの毎営業日実施を続けることが適当」との意見が出ていた。

<賃上げ傾向「確実」になるまで緩和継続を>

日銀は、賃金上昇を伴う形での物価目標の持続的・安定的な実現が必要とのスタンスを採っている。会合では、金融緩和の継続が「企業による持続的な賃上げを後押しするために有効」との意見が出た。「賃上げ傾向が確実になり、物価目標を持続的・ 安定的に実現するまで、金融緩和を継続すべき」との声もあった。

この会合前、黒田東彦総裁が「家計の値上げ許容度が高まっている」と講演で述べたことが世論の批判にさらされた。会合では、物価目標の実現には「家計の購買力や予想インフレ率を引き上げる必要がある」との指摘が出たほか、物価上昇による家計負担は「世帯所得や地域における支出ウエートのばらつきによっても異なる点に留意が必要」との意見も聞かれた。

<感染増でも、景気落ち込み「小さくなってきている」>

日本経済は新型コロナウイルスの感染状況が浮き沈みを左右する展開が続いてきたが、ある委員は「ウィズ・コロナが定着する下で、感染者数の増加に対する景気の落ち込み度合いは小さくなってきている」と指摘した。

一方、今回の決定会合で現状判断を引き下げた輸出・生産について、ある委員は「中国でのロックダウンを受けた供給制約から、4月展望レポート時点の想定よりも(輸出・生産への)下押し圧力が強まっている」と述べた。「ロックダウン解除後も上海の経済活動の正常化には時間が必要だ」として、中国経済の成長鈍化や世界的な供給制約の長期化への懸念を示す声もあった。

米国の急ピッチの利上げについて、ある委員は「米国の住宅市場やレバレッジド・ローンに変調が起きないか、動向を注視していく必要がある」と語った。

(和田崇彦 編集:田中志保)