[北京/上海 15日 ロイター] - 中国の7月の主要経済指標は軒並み予想に反して減速した。工場生産や小売りが政府のゼロコロナ政策に圧迫された。国家統計局の報道官は会見で、国内経済回復の勢いが鈍ったと述べた。

国家統計局が15日発表した7月の鉱工業生産は前年同月比3.8%増加したものの、6月の3.9%増から伸びが鈍化した。ロイターがまとめた市場予想の4.6%増も大幅に下回った。

7月の小売売上高も前年比2.7%増と、伸び率は前月の3.1%を下回り、市場予想の5.0%に届かなかった。

1─7月の固定資産投資は前年比5.7%増加。1─6月は6.1%増、市場予想は6.2%増だった。

キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「経済再開に伴う一時的な押し上げ効果が薄れ、住宅ローンの返済ボイコットが不動産セクターを一段と悪化させる中、7月のデータはロックダウン(都市封鎖)後の回復が失速していることを示唆している」と指摘。

「中国人民銀行(中央銀行)は既に支援を強化してこうした逆風に対応している。ただ、信用の伸びは政策緩和にかつてほどには反応しないため、一段の景気悪化を防ぐには十分ではないだろう」とした。

中国経済は第2・四半期は前年比でマイナス成長を回避したものの、7月は新型コロナウイルスが再び流行し、製造業拠点や人気観光地を含む多くの都市がロックダウンを実施した。

雇用情勢は依然脆弱。調査に基づく全国の失業率は5.4%で6月の5.5%からわずかに下がったが、若年層の失業率は高止まりし、7月は19.9%と過去最高を記録した。

不動産業界も低迷が続く。7月は未完成物件の購入者がローン返済を拒否する動きも出て混迷が深まった。国家統計局のデータに基づきロイターが算出した主要70都市の新築住宅価格は前年比で2015年9月以来最大となる0.9%の下落。

1─7月の不動産投資は前年同期比6.4%減と1─6月(5.4%減)から減少ペースが加速し、2020年3月以降で最大の落ち込みとなったほか、不動産販売(床面積ベース)も前年比23.1%減少し1─6月(22.2%減)を上回る減少率となった。

国家統計局の報道官は、7月に景気回復の勢いが鈍ったと指摘した。ただ、さまざまな困難に緒面しながらも中国経済は底堅さを保っているとも述べ、回復が持続すると予想した。

報道官は7月の統計が弱かった理由として、世界経済の鈍化と高インフレに加え、散発的なコロナ感染拡大や南部での熱波を挙げた。

華宝信託のエコノミストは「7月の統計は輸出を除き全て期待外れだった。実体経済の借り入れ需要は依然弱く、今後数カ月について慎重な見方がされていることを示す」と述べ、7月はコロナ流行と猛暑が経済活動を低迷させたと指摘した。3四半期の国内総生産(GDP)予想を4─4.5%増と1%ポイント引き下げ、「年後半に5─5.5%成長を達成することも一段と厳しくなった」と述べた。

12日発表の7月の人民元建て新規融資は6790億元で前月(2兆8100億元)から急減した。中国人民銀行(中央銀行)は15日、流動性供給措置の1年物中期貸出制度(MLF)の金利を予想外に引き下げた。MLF金利の引き下げは今年2回目となる。

チャイナ・チーフ・エコノミスト・フォーラムのディレクター、ワン・ジュン氏は、当局は新たな支援措置を打ち出すのでなく、既存政策の実施に重点を置くと予想する。「現在、典型的な流動性のわなに直面している。いくら与信を緩めても、企業も消費者も借金を増やすことに慎重になっている。一部で前倒しで返済する動きもあり、リセッション(景気後退)の前兆かもしれない」と述べた。