NY市場サマリー(1日)ドル下落・国債利回り低下、株まちまち
10月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.8%増加。伸びは前月から加速し、市場予想と一致した。同時にFRBが物価の指標として注目するPCE価格指数の前年比同月比は6.0%上昇と、伸び率は9月の6.3%から鈍化し、インフレ圧力緩和の兆候を示唆した。
その他の米指標では、供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業総合指数(NMI)が49.0と、2020年5月以来初めて50を下回り、約2年半ぶりの低水準となったほか、10月の米建設支出は年率換算で前月比0.3%減少した。
11月26日までの1週間の新規失業保険申請件数は1万6000件減の22万5000件となった。市場予想は23万5000件だった。
オアンダのシニアアナリスト、エドワード・モヤ氏は「消費者は支出を続けている」とし、同時に米失業保険の継続受給件数が増加していることに言及。「失業率は今後上昇し始める見通しで、FRBの引き締めサイクルが終盤に差しかかっているという見方を支える」とし、「市場は利回りの低下継続とドル安が一段と進むと想定するだろう」と述べた。
パウエルFRB議長が11月30日、インフレとの戦いはまだ終わっていないとしつつも、「早ければ12月にも」利上げペースを減速させる可能性があると述べたことで、投資家の間では安心感が広がった。
2日発表の米雇用統計に注目が集まっている。
主要通貨に対するドル指数は104.66まで下落し、8月11日以来の安値を付けた。200日移動平均線を割り込み、一段安となる可能性を示唆した。
ユーロ/ドルは1.05340ドルと、6月29日以来の高値を付けた。
ドル/円は一時135.24円と、8月18日以来の安値に沈んだ。
英ポンド/ドルも1.23115ドルと、6月27日以来の高値を更新した。
FRBのミシェル・ボウマン理事は1日、利上げサイクルの影響を評価するために利上げペースを緩めるべきだが、なお過度に高水準で推移するインフレ率を引き下げるため、政策金利は当面十分に制約的である必要があると述べた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、過度に高い物価上昇圧力を抑えるためには追加利上げが必要との見解を改めて示した。
金融市場は、フェデラルファンド(FF)金利が来年5月に4.87%を付けピークを迎えると予想。前日のパウエル議長の発言前は、5%超の水準に達することが見込まれていた。
中国の新型コロナウイルス規制緩和への期待から、豪ドルは9月13日以来の高値となる0.68470米ドル、ニュージーランドドルも8月15日以来の高値となる0.64000米ドルを付けた。
<債券> 米債利回りが低下した。10月の個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが鈍化したことを受けた。
米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業総合指数(NMI)は49.0と2020年5月以来初めて50を下回り、約2年半ぶりの低水準となったことを受け、米債利回りは序盤に低下幅を縮めたが、終盤にかけ再び低下した。
指標10年債利回りは10週ぶりの低水準、2年債利回りは10月上旬以来の低水準を付けた。
ペン・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ピーター・ダフィー氏は「市場が見ているものは、インフレ率が非常に高い水準から低下することを示唆する様々な指標の組み合わせだ」と述べた。
2年債利回りは11.4ベーシスポイント(bp)低下の4.258%。10年債利回りは16.2bp低下の3.539%。2・10年債の利回り格差はマイナス72.0bpとなった。
30年債利回りは17.1bp低下の3.652%。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物は2.495%、10年物は2.363%だった。
インフレ期待指標として注目されるドル建て5年先5年物インフレスワップは2.516%だった。
<株式> まちまちで取引を終えた。FRBの利上げが影響を及ぼしつつあることを示す経済指標を消化する一方、ダウ工業株30種は顧客管理ソフト大手セールスフォースへの売りに押されて下落した。
S&P総合500種は前日、FRBの利上げ減速期待から3%超上昇し、今年4月以来初めて200日移動平均線を上回った。
セールスフォースは8.3%急落。ブレット・テイラー共同最高経営責任者(CEO)が来年1月に退任すると発表したことを嫌気した。
年間利益見通しを引き下げたディスカウント小売大手のダラー・ゼネラルは7.5%安。会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセールも、11月の売上高の伸びが減速したことを受けて6.6%下落した。
エヌビディアやメタ・プラットフォームズが1%超上昇する中、ナスダック総合はプラス圏で引けた。
業種別ではS&P500の主要11部門のうち7部門が下落。金融や主要消費財が下げを主導した。
米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数は1万6000件減の22万5000件となった。市場ではFRBの利上げによる労働市場への影響を巡り手掛かりを得ようと2日発表の雇用統計に関心が集まる。
<金先物> 米利上げ幅縮小観測を背景とした金利低下、ドル安を追い風に大幅反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比55.30ドル(3.14%)高の1オンス=1815.20ドル。これは8月中旬以来、3カ月半ぶりの高値水準。
<米原油先物> 対主要通貨でのドル下落などを受け、4日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比0.67ドル(0.83%)高の1バレル=81.22ドルだった。2月物は0.48ドル高の81.14ドル。
この日午前、欧米メディアが欧州連合(EU)の外交筋の話として、ロシア産石油 の価格上限を巡り、暫定的に合意に至ったと報道した。市場は、石油輸出国機構(OPE C)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が4日に開催する閣 僚級会合で決定する産油量に引き続き注目している。
ドル/円 NY終値 135.27/135.30
始値 136.23
高値 136.33
安値 135.22
ユーロ/ドル NY終値 1.0522/1.0526
始値 1.0437
高値 1.0533
安値 1.0435
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 107*07.00 3.6039%
前営業日終値 103*04.50 3.8230%
10年債(指標銘柄) 17時05分 105*04.00 3.5103%
前営業日終値 103*16.00 3.7010%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*30.25 3.6661%
前営業日終値 100*06.75 3.8280%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*16.00 4.2358%
前営業日終値 100*07.75 4.3720%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34395.01 -194.76 -0.56
前営業日終値 34589.77
ナスダック総合 11482.45 +14.45 +0.13
前営業日終値 11468.00
S&P総合500種 4076.57 -3.54 -0.09
前営業日終値 4080.11
COMEX金 2月限 1815.2 +55.3
前営業日終値 1759.9
COMEX銀 3月限 2284.1 +106.0
前営業日終値 2178.1
北海ブレント 2月限 86.88 ‐0.09
前営業日終値 86.97
米WTI先物 1月限 81.22 +0.67
前営業日終値 80.55
CRB商品指数 279.4643 ‐0.2921
前営業日終値 279.7564