[東京 2日 ロイター] - パナソニック ホールディングスは2日、2023年3月期(国際会計基準)の連結営業利益見通しを従来の3200億円から前年比21.7%減の2800億円へ下方修正した。今期2度目の下方修正。中国市況の悪化でノートパソコン向け電子部品関連の需要が落ち込んだ上、原料高で車載向け電池の採算が悪化し、利益を押し下げた。IBESがまとめたアナリスト19人による営業利益の予想平均値は3359億円だった。

クリスマス商戦が不振に終わり、ノートPCの生産台数が大幅に下振れたことで、電子デバイスや電子材料などの需要が低迷した。半導体メーカーの投資意欲の弱含みや半導体不足で自動車生産台数の成長が鈍化したことも業績に影響した。梅田博和・最高財務責任者(CFO)は会見で、第3・四半期(10―12月)対比で第4・四半期(1―3月)の方が「大変厳しくなる」と述べた。

第3・四半期に限っては、特に電池事業を手掛けるパナソニックエナジーが大幅な減益となった。車載向け電池では、原材料の高騰が響いた。梅田CFOは、原料高の影響を価格転嫁するのにタイムラグがある上、調達先を複数化するなどの対応で「23年度以降は平準化されてくる」との見方を示した。その上で「旺盛な需要が継続しており成長戦略に変更はない」と述べた。

米ネバダ州にある電気自動車(EV)向け電池工場に関して米国政府に補助金を申請しているが、細則による規定などが公表されず金額を精査出来なかったため、今期の業績に織り込めなかったが、来年度から寄与するとの見通しを示した。

営業利益以下を下方修正した一方で、パナソニックコネクト社傘下のサプライチェーン(供給網)管理ソフトを手掛ける米ブルーヨンダ―が、想定以上に売り上げを伸ばしたこともあり、連結売上高は従来見通しの8兆2000億円を据え置いた。ブルーヨンダーは、第3・四半期に黒字転換した。

米カンザス州に建設するEV向け電池の新工場については、22―24年度の3年間で5000―6000億円を投じると発表した。事業会社の負担分を超えるパナソニックグループからの投資は、既に成長領域への戦略投資として公表している4000億円の範囲内にとどまるとした。梅田CFOは、25年度以降も投資が続くとの方向性も明らかにした。

同時に公表した2022年4─9月期の連結営業利益は、前年同期比14.6%減の2342億円だった。

(浦中美穂)