[東京 22日 ロイター] - 日本の防衛省が洋上への設置を検討している迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、もともとの陸上配備案に比べて2倍以上の建造費がかかる可能性があることが分かった。運用開始も最長3年遅れるという。事情に詳しい関係者が明らかにした。

北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す中、日本は秋田県と山口県の陸上自衛隊駐屯地にイージス・アショアを1基ずつ配備することを決定。要となるレーダーには米ロッキード・マーチン<LMT.N>製を採用した。

しかし、発射した迎撃ミサイルのブースターを安全な場所に落下させられない恐れがあるとして、6月に計画を断念。レーダーは解約せずに流用し、リグや艦船に載せて洋上に設置する案を進めている。

同関係者によると、リグに設置した場合の建造費用は、秋田と山口両県に置く案と大きく変わらないが、艦船に搭載する場合は1基4000億円以上かかる可能性があるという。護衛艦や民間商船に載せるほか、イージス艦を増やす案がある。2県に建造する陸上案は1基およそ2000億円と見積もっている。

維持・管理コストも、陸上案より膨らむ。燃料費がかさむほか、海水対策費などが必要となる。リグや艦船自体を運用する人員も必要となる。運用開始も遅れる見通しで、「洋上に配備場所を移すことで、さらに2─3年必要になる」と、同関係者は話す。

防衛省はロイターの取材に対し、洋上案のこうした費用と配備年数は承知していないと回答。同省は年末までに陸上設置案の代替策を決定する方針だ。

ロッキードで海外事業を統括するトム・ローデン副社長は「日本が必要とするいかなるものもサポートする。テーブルの上にないオプションはない」と回答。「日本が自国の防衛に必要とする能力を提供することに注力している」と答えた。

防衛省はロッキードからレーダー2基を350億円で取得。これまでに約半額を支払った。当初は2025年以降に運用を開始する予定だった。

(Tim Kelly 日本語記事作成:久保信博)