[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米大統領は9日、わずかな例外を除いて全ての連邦政府職員に新型コロナウイルスワクチン接種を義務付けると発表した。また、従業員100人以上の企業に対し、従業員のワクチン接種もしくは週1回コロナ検査を義務化する規則を策定する。

バイデン氏はホワイトハウスで演説し、ワクチン接種を忌避する人々に対し「われわれは辛抱強く待っていた。しかし我慢も限界にきている。あなた方の拒否の代償をわれわれ全員が払っている」と強調した。

感染力が強いデルタ変異株の流行で国内のコロナ感染者が急増する中、これまでで最も強制力の強いワクチン政策に踏み切った格好。連邦政府職員は特定の例外を除き、75日以内にワクチンを接種しなければ解雇される。

職員は従来、ワクチン接種をするか、定期的な検査を受けるかのどちらかが義務付けられていた。米国ではコロナ対策は政治問題化され、ワクチン接種やマスク着用の義務化は個人の権利を侵害しているとの主張も一部である。

米疾病対策センター(CDC)によると、ワクチン接種完了者は対象者の62%強にとどまっている。

バイデン大統領は「われわれは厳しい状況にあり、しばらく続く可能性がある」と危機感を示した。

<共和党は提訴の構え>

バイデン氏は、選択の自由や景気への影響を理由にマスク着用およびワクチン接種の義務付けに抵抗している「特異的な少数派の政治家」がコロナ感染を拡大させていると批判。

政府の保健政策を監視する下院委員会の有力共和党委員、キャシー・マクモリス・ロジャース氏はバイデン氏による「恐怖心、統制、義務付けの利用」を批判した。

共和党全国委員会はワクチン義務化を巡りバイデン政権を提訴すると表明した。

<違反する企業には罰金も>

バイデン氏の計画によると、 高齢者向けの公的医療保険「メディケア」と低所得層向けの「メディケイド」の対象医療機関の医療従事者1700万人以上にもワクチン接種を義務付ける。

米労働者の約3分の2に相当する約1億人が一連の措置の対象となる。

民間企業による従業員のワクチン接種あるいはコロナ検査義務化の規則は、労働省傘下の労働安全衛生局(OSHA)が数週内に公表する見通し。実効性を確保するため、規則に従わない企業には違反1件当たり約1万4000ドルの罰金を科す考え。

さらに、娯楽施設に対しても入場者にワクチン接種証明あるいは検査の陰性証明の提示を義務付けるよう求め、各州に学校職員への接種を義務化するよう呼び掛けた。航空機や電車、バスでのマスク着用義務の違反者に対する罰金も引き上げる。

バイデン氏は、コロナ検査体制を拡充するため、国防生産法に基づいて検査キットのメーカーに生産加速を要請する見通し。ウォルマート、アマゾン・ドット・コム、クローガーを含む小売大手は今後3カ月間は検査キットを原価で販売する見込み。

連邦政府職員の労組はこの日、ワクチン接種義務化を受け入れる姿勢を示した。

デルタ流行により秋の新学期からの学校再開を前に懸念が強まり、企業は相次ぎオフィス再開計画を延期している。ホワイトハウスは、政府は全土でワクチン接種を義務付けることはできないが、公立校学区や企業などに接種を義務付けるよう促したと説明した。