[ブリュッセル/ジュネーブ 25日 ロイター] - 国連気候変動枠組み条約事務局は25日公表の報告書で、各国が現行の温室効果ガス排出削減目標を達成しても、壊滅的な気候変動を回避するには十分でなく、「終わりのない苦痛」を味わうことになると警告した。

10月末に英グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開幕するのを前に同報告書は、現状では、気温上昇を産業革命前比で1.5度にとどめるという地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標が未達となることを浮き彫りにした。

エスピノサ事務局長は「気温が目標を上回って上昇すれば、世界の不安定化と終わりのない苦痛を招くことになる。とりわけ大気中の(温室効果ガス)排出量に関する貢献度が最も低い国・地域が痛みを負うだろう」と述べた。

報告書の分析結果によると、各国が現行目標を達成しても、2030年の排出量は10年比で16%増える見通し。専門家は世界の気温上昇を1.5度に抑えるには30年までに45%の排出量削減が必要と指摘している。

エスピノサ氏は「科学が示す理想の状況からわれわれは程遠い」と強調した。

報告書は、一段と野心的な目標を設定しない限り、今世紀末までに産業革命前と比べた世界の気温上昇が2.7度に達する可能性があると警告した。

<CO2濃度が20年に過去最高 >

これとは別に、国連の世界気象機関(WMO)は同日、温室効果ガスの世界平均濃度が2020年に史上最高水準に達したという報告書を発表し、世界は気温上昇阻止に向け「軌道を外れている」と警鐘を鳴らした。

報告書によると、大気中の二酸化炭素(CO2)の平均濃度は20年に413.2ppm(ppm=100万分の1)に急増。過去10年間の平均を上回る増加ペースとなった。

新型コロナウイルス感染に絡むロックダウン(都市封鎖)や景気減速に伴い、濃度は一時減少したものの、「温室効果ガスの水準や増加ペースに目に見える影響はなかった」と確認した。

WMOのターラス事務局長は、現在の温室効果ガスの濃度では、気温上昇を産業革命前比で1.5度にとどめるというパリ協定の目標を「はるかに超える」気温上昇を招くと警告。「軌道から大きく外れている。工業やエネルギー、輸送システムや生活全体を見直す必要がある」とし、月末に英グラスゴーで開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、気候変動を巡る取り組みの「劇的な拡大」を実現するよう呼び掛けた。

報告書はさらに、CO2の濃度が21年も上昇し続けている可能性があると指摘。WMO幹部は「排出量を可能な限り早急に削減する必要があり、避けて通ることはできない」と述べた。