[6日 ロイター] - 岸田文雄首相は日本時間5日夜、訪問先の英国で記者会見し、資産凍結の対象拡大などロシアへの追加制裁を発表するとともに、ジョンソン首相との間で訪問部隊の「円滑化協定」に大筋合意したことを明らかにした。岸田首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と述べ、海洋進出を強める中国を念頭に、武力を使ったロシアによる現状変更の試みを繰り返し非難した。

<追加制裁は4項目>

ロシアへの追加制裁は4項目で、資産凍結の対象に個人約140人を加える。銀行も対象を広げる。輸出禁止の対象となるロシア軍事団体をさらに約70団体拡大するほか、量子コンピュータといった先端的な物品を禁輸とする。

岸田首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない、こうした危機感を背景に日本の対ロシア政策を転換した」と説明。主要7カ国(G7)と協調し、制裁など毅然とした対応を実行しているとした。ロシアに高い代償を払わせることが、国際社会に間違ったメッセージを発しないためにも重要だとも語った。

岸田首相は4月29日からインドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、バチカン、英国を訪問し、各国首脳と会談した。東南アジア3カ国では、アジア唯一のG7構成国として、ロシアによるウクライナ侵略に対して国際社会が結束して対応することが重要であることを説明。各国と、力による一方的な現状変更はいかなる場所でも許されないことを確認したという。

タイとは日本から防衛装備品を輸出することを可能にする協定に署名。5日に会談した英ジョンソン首相とは、自衛隊と英国軍が互いの国に訪問して協力活動を行う際の法的枠組み「円滑化協定」を結ぶことで大筋合意した。岸田首相は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け「協力の具体化を進めることができた」と外遊の成果を強調した。

岸田首相は日本帰国後も外交日程が続く。5月23日に日米首脳会談、同24日に日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会議を開く予定。岸田首相は、台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障だけでなく、国際社会の安定にとっても重要だと語った。

英国が環太平洋連携協定(TPP)への加入に前向きな姿勢を示していることについては「ハイスタンダードで自由で公正な経済秩序を形成していく上で、大きな意義がある」と指摘した。1月の日米首脳会談でバイデン米大統領に直接米国のTPP復帰を求めたことも明らかにし、「英国とも連携しながら引き続き米国に対してTPP復帰を粘り強く働き掛けたい」との考えを示した。

<6月にも水際対策緩和へ>

国内の政策については、大型連休後の感染状況を見極めた上で、新型コロナウイルス対策を段階的に見直していく考えを示した。会見に先立って行った投資家向けの講演では、6月にも他のG7諸国並みに円滑に入国できるよう水際対策を更に緩和していく考えを示していた。

足元のウクライナ情勢に伴う原油価格・物価の高騰の影響は、喫緊の課題であると同時に「エネルギー供給など日本経済に構造的な影響をもたらす可能性もある」と述べた。中長期的な視野を持ちつつ、先手先手で対応し、新型コロナからの回復を確かなものにするためにも万全の経済運営を行っていくと語った。

(杉山健太郎 編集:久保信博)

*内容を追加しました。