[東京 13日 ロイター] - 経済産業省は13日に審議会を開き、日本の脱炭素関連投資は今後10年で官民合わせて150兆円が必要になるとの試算を示した。民間部門が予見性を持って投資を判断できるよう、政府が前例のない規模・期間の支援措置を示す必要があるとした。出席した萩生田光一経産相は、「先行投資者優位の大競争が既に始まっている」と語った。

脱炭素社会への道筋を示すクリーンエネルギー戦略の中間整理に盛り込んだもので、岸田文雄首相が看板政策として掲げる「新しい資本主義」の実現会議に報告する。議論は年内続けていく。

今回の中間整理は、投資を引き出すため予算措置、規制・制度的措置、金融パッケージ、脱炭素に積極的な企業が集まる枠組み「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」の段階的発展、グローバル戦略を5本柱に掲げた。このうち予算措置は「既存技術も含めてできるところから着実に取組を進める必要があり、研究開発支援にとどまらない支援策を講じることが必要」とした。支援対象や支援手段は、今後検討する。

岸田首相が今月初めにロンドンの金融街で講演し、「国の長期的方向性や予見可能性を高め、企業が将来の期待成長率を導きだせるよう、基金等を活用して、予算単年度主義を打破していく」と表明したことに平仄(ひょうそく)を合わせた形だ。

<脱ロシア、コスト上昇抑制に政策総動員>

中間整理にはエネルギーの安定供給確保についても盛り込み、予期せぬ供給力不足が発生した場合の備えとして、一定の条件下で休止電源を再稼働する仕組みについて検討を行うとした。また、脱炭素電源への新規投資について、初期投資に対し長期的な収入の予見可能性を付与する制度措置を2023年度の導入を目途として検討する。

再生可能エネルギーは2050年の主力電源と位置付け、最大限の導入に向けた取り組みを進めるほか、省エネや熱利用の効率化などにも取り組むとした。

原子力発電については、エネルギー基本計画で示した2030年度の電源構成20―22%の目標達成に向け「安全性の確保を大前提に、地元の理解を得ながら再稼働を推進する」とした。また、運転サイクルの長期化等による設備利用率向上の取り組みも進める。

クリーンエネルギー戦略を今回検討する中でウクライナへの軍事侵攻が発生し、ロシアへのエネルギー依存からの脱却も主要な論点として浮上した。脱ロシアを目指すなかで「EU(欧州連合)と日本はこれまで以上に、エネルギーコストの上昇を意識せざるを得ない可能性」があると指摘、「コスト上昇をできる限り抑制させるためにも、政策を総動員することが求められる」とした。

「再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素の効果の高い電源の最大限の活用」という4月8日の岸田首相の発言を引用し「エネルギー安定供給確保に万全を期し、その上で脱炭素の取組を加速する」とした。

(清水律子)