[オタワ 8日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)がインフレ抑制のための急速な利上げを示唆しているため、カナダが景気後退(リセッション)に陥るリスクは高まっている――。エコノミストからはこうした声が聞かれた。

カナダ中銀は前週、2会合連続で50ベーシスポイント(bp)の利上げに動き、政策金利を1.5%にした。これとともに、既に31年ぶりの高い伸びを記録した物価上昇率がさらに跳ね上がるのを防ぐ上で、必要なら「もっと強力に」対応する構えだと表明した。

中銀のビュードライ副総裁によると、利上げ打ち止めまでに利上げ幅が50bpよりも大きくなる可能性もあり、政策金利が景気に対して刺激的でも抑制的でもないとされる中立金利(推計2─3%)を上回る可能性がある。

エコノミストは、こうした力強く、前倒しでの利上げが需要を鈍化させることで、物価上昇に歯止めがかからなくなる事態は避けられるはずだと評価。一方で、かじ取りは非常に難しいと指摘した。一歩間違えば、せっかく旅行など主要サービス業が回復してきたカナダ経済に深刻な打撃を与え、最悪の場合はリセッションに突入しかねないとの見方を示した。

TDセキュリティーズのチーフ・カナダ・ストラテジスト、アンドルー・ケルビン氏は「私の考えではリセッションのリスクは高い」と述べ、インフレを目標圏に戻す上で、それほどに強烈な金融政策対応さえも必要になっているという現実があると指摘した。

カナダ国債のイールドカーブは2─10年のスプレッドが8日時点で14bpと先進7カ国(G7)で最小。投資家が経済の減速を織り込んでいる様子がうかがえる。カナダ経済の主なけん引役の1つだった住宅市場は、金利上昇とともに2月のピークから急激に冷え込んでいる。輸出数量も今年に入って4.9%減少している。

それでも足元の物価上昇率は6.8%。今後もさらに上振れそうな状況にある。失業率はまだ過去最低水準。企業が生産能力で対応しきれないほど需要が活発だと報告しており、積極的な利上げの妥当性は高まっているとも言える。

ビュードライ氏は前週、「(政策対応が)物足りないとインフレは上がり続け、やり過ぎれば経済がリセッションに入るかもしれない。われわれはその中間を狙っていく」と語っている。

短期金融市場は、中銀が年末までに政策金利を3.25%に引き上げる展開を想定しつつある。この金利水準は2008年以来の高さで、今年1月段階の0.25%を実に300bpも上回る。前回17年から18年にかけての引き締めサイクルでは、政策金利のピークは1.75%にとどまっていた。

このような急激な利上げは、G7で最も家計債務残高が大きいカナダ経済にショックを与えてもおかしくない。ただ、4月の住宅販売は前月比で12.6%も減少したのに、住宅需要の急激な減退が住宅価格に完全に反映されるのはまだ先になりそうだ。そのためエコノミストの見立てでは、中銀が消費者の物価予想の制御を続けようとするなら、中銀は経済がハードランディングするリスクをあえて引き受けるかもしれない。

キャピタル・エコノミクスのシニア・カナダ・エコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「中銀が最近発信する情報からすると、5月の住宅販売が2カ月連続で2桁の減少となっても彼らは動揺しないだろう。金融引き締めが最終的に必要とされる以上に進んでしまい、住宅価格の急落と大幅なリセッションにつながるとわれわれは懸念し続けている」と話した。