(最終段落の語句を補って再送しました)

[ロンドン/ドバイ 4日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)の有力構成国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が、この冬に世界が深刻なエネルギー供給危機に見舞われる場合には「相当規模の増産」を実行する準備態勢ができている――。両国の考えに詳しい複数の関係者が明らかにした。

OPECとロシアなどの非加盟産油国でつくる「OPECプラス」が3日決定した9月の原油生産量の増産幅はわずか日量10万バレル。しかし、声明は加盟国の生産余力に言及するという異例の手に出た。生産余力が「非常に限られている」ことで、産油国として「重大な供給の混乱」に備え余力を温存する必要があると弁明したのだ。

一見するとOPECのリーダーたるサウジに増産余地がほぼないと読める。実際、フランスのマクロン大統領も先月、バイデン米大統領との会談でこの点を指摘していた。しかし3人の関係者の話では、サウジとUAEの2カ国には現状で「より大幅な」供給が可能。ただ供給危機がもっと悪化しない限り、実行はしないという意味だという。

関係者の1人は「欧州でこの冬に天然ガスの供給が足りなくなる可能性がある。新年には(欧州で)ロシア産原油の取引価格に上限が導入される可能性もある」と供給危機到来の恐れを指摘。「そうである以上現段階では、1バレルたりとも市場に投入するわけにはいかない」と語った。

関係者らはいざという場合のサウジとUAEの増産可能量を具体的に示さなかったが、サウジとUAEおよび他の加盟国に日量計約200万−270万バレルの増産余力があると指摘した。

ただ、OPECが増産能力を現実に示すことができるのは長期にわたって続く危機の場合だけという。関係者の見立てでは、ウクライナ侵攻を巡るロシアと西側諸国の対立が和らぐ気配が見えないことで、早ければこの冬にこうしたエネルギー危機がやってくる可能性がある。そうなればOPECが増産に動くとした。

現状での原油相場は、3月の今年最高値から戻り歩調にある。アナリストも値下がり基調でOPECプラスが供給を増やすのは割に合わないとの理屈も認めた。PVMのタマス・バルガ氏は「8月の生産余力が日量200万バレルに満たないのなら、OPECプラスは供給余力を温存し将来の混乱に対応できるようにする方を選ぶはずだ」との見方を示した。

米大統領が7月にサウジを訪問したことで、アナリストの間では今回の増産決定に期待が出ていた。結果的には1982年の生産枠導入以来で最小の幅にとどまった。しかし関係者の1人は「確かに少ない」と言いつつ、これが産油国としては「精いっぱいの善意だ」と強調。OPECプラスのほとんどの国が生産力増強のための十分な投資を何年も控えたことで、生産枠割当の達成すら四苦八苦しているのも事実なためだ。