[国連/ジュネーブ 17日 ロイター] - ニューヨークのロシア国連代表部では6月のある晩、アフリカや中東、中南米、アジアの国連大使を招いて国家記念日「ロシアの日」を祝う盛大な式典が開催された。

ロシアのネベンジャ国連大使は、名指しこそしなかったが、ロシアと同国の文化を消し去ろうとしている諸国がいると糾弾した後、集まった各国大使に向けて「あなた方の支援と、いわゆる反ロシア十字軍に信念に基づいて反対する姿勢を示してくださったことに感謝します」と発言した。

西側諸国は、ロシアがウクライナに侵攻した直後から国際社会でロシアを外交的に孤立させる取り組みを進め、当初は国連総会でロシア非難決議が採択されるなど成果を収めた。しかし、そうした努力を維持するのがいかに難しいかが、ロシア国連代表部が開いた今回の式典で改めて確認された。

ウクライナの戦争を巡り、国連が収束に向けて何も手を打てそうにない中で、一部の国からは開戦から半年近く経った今もウクライナが世界中の注目を過分に集めているとの不満や懸念が聞かれる。西側諸国も、国際的な会合を開く以外、ロシアを孤立させるために思い切った外交手段を行使しにくいと自覚している。

シンクタンクの国際危機グループの国連担当ディレクター、リチャード・ゴーワン氏は「戦争が長引くとともに、ロシアに罰を与えるための有意義な方法を見つけるのが難しくなってきた」と述べた。

複数の外交官や専門家に話を聞くと、幾つかのケースでは、西側は少ない支持しか得られない事態を恐れ、国連でロシアに対する具体的な措置を働きかけることを控えている。投票では棄権が増加しており、公にロシアを批判することにより慎重な構えの国が増えていることが伺われるためだ。

6月には欧州連合(EU)がロシアにおける人権侵害調査のため国連の専門家を起用する計画を検討したが、国連人権理事会に加盟する47カ国の半数近くが反対に回る恐れがあったために棚上げした、と複数の外交官が明かした。

ドイツのコンラート・アデナウアー財団のジュネーブ事務所長、オラフ・ウィーンツェク氏は「諸国は自問自答している。ロシアをこらしめる陣営に属するのがそれほど賢明なことなのか、と」と語った。

<強気のロシア>

ジュネーブのロシア国連代表団は、ロシアが世界的大国である以上、孤立させるのは不可能だと西側もよく分かっているはずだと指摘した。

ロシアは国連安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国の1つで、制裁など重大な措置が発動されるのを自ら阻止できる。また、西側の対ロシア外交への支持を広げないようにする取り組みも活発化させている。

例えば国連総会は4月の緊急特別会合で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を採択したが、それに先立ってロシアは賛成票を投じる国は「非友好的」とみなして報復すると警告した。

トーマスグリーンフィールド米国連大使は、ロシアが世界的な食料危機は西側の制裁に原因があるといった事実と異なる主張を駆使し、一部の国を揺さぶることに成功していると認めた。それでも、だからと言ってロシア支持の拡大につながっている訳ではないとしている。

<戦争終結努力なしに疑問の声>

ロシアのウクライナ侵攻から1週間を経た3月初め、国連総会は緊急特別会合で軍の撤退要求などを盛り込んだロシア非難決議を約4分の3の賛成で採択した。

しかしアジアのある外交官は「(ロシアを外交的に孤立させる試みへの)支持は弱まってきている。3月の決議が盛り上がりのピークだった。今後は『レッドライン』を越えない限り、さらなる行動を取ろういう意欲は出てこない」と解説した。

何人かの外交官は、レッドラインとして(1)核兵器ないし化学兵器の使用(2)民間人の大量殺害(3)ウクライナ領土の併合――などを想定している。

西側は、国連機関の重要ポストの選挙に的を絞ったロシア排除作戦では成功を収めた。例えば国連児童基金(ユニセフ)の執行理事会メンバー改選では、1946年の創設以来で初めてロシアが理事会メンバーの地位を失った。

しかし5月の世界保健機関(WHO)総会において行われたロシアの行動を非難する決議を巡る投票の場には、約30カ国が姿を見せなかった。このうちの半分はアフリカ諸国だ。

アフリカの外交官の1人は「われわれにとって最も不思議なのは、このような戦争が事実上、無期限に続くように仕向けられているように見えることだ」と述べ、西側がウクライナに武器を供給し、戦争終結のための本格的な話し合いが行われていないと指摘した。

ウクライナはロシアを国連から追放すべきだと訴えている。ただそうした例は過去になく、手続き的には安保理が勧告し、総会で決議しなければならないが、安保理の段階でロシアが勧告成立を阻止できる。

またプーチン大統領が任命した大使らの信任を取り消すという選択肢も考えられるものの、総会で少なくとも過半数の賛成がないと実現しない。

(Michelle Nichols記者、Emma Farge記者)