ダイバーシティ、SDGs、多様性…。日に日に社会は変化し、職場でも新しい時代の「常識」や「コンプライアンス」が重視されるようになってきました。時代が大きく変化する時、社会の常識も大きく変化するはずです。ドラマ『知らなくていいコト』では、週刊誌の編集部を舞台に、日夜奔走する女性記者・真壁ケイト(吉高由里子)の活躍や葛藤が描かれます。

このドラマでも、これまでの常識の枠組みから外れたセリフがたくさん出てきます。その時、どのように自分の価値観を変え、新しい常識を取り入れれば良いのでしょうか。コミュニケーションのプロである沢渡あまねさんに、変化する新・常識にどう対応したらよいのか聞いてみました。

知らなくていいコトに学ぶ新・常識

あまねキャリア工房代表 沢渡 あまねさん

業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士。人事経験ゼロの働き方改革パートナー。日産自動車、NTTデータなどで、広報・情報システム部門・ITサービスマネージャーを経験。現在は全国の企業や自治体で働き方改革、社内コミュニケーション活性、組織活性の支援・講演・執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。著書『職場の問題地図』『運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本』『仕事ごっこ〜その“あたりまえ”、いまどき必要ですか?』『仕事は「徒然草」でうまくいく〜【超訳】時を超える兼好さんの教え(⇒)』ほか多数。


【1】ハッタリって、仕事に必要?

真壁ケイト(吉高百合子)は、編集会議で世の中への怒りをぶちまけます。ビジネスの世界では「ハッタリも度胸のうち」と言われ、ハッタリを使って重要な局面を乗り切ることも、時には必要になります。仕事や社会生活において、ハッタリはどれぐらい必要なのでしょうか。

知らなくていいコトに学ぶ新・常識

ビジネス現場ではこう動こう【評価】★★☆☆☆沢渡あまねさん
ハッタリは必ずしも悪ではありません。個人的にもハッタってでもスピード感を持ってチャレンジする人を好意的に受け止めることが多々あります。とはいえ、後先考えずにやみくもにハッタリを使うのは要注意。「コンプライアンスに反さないか」「社会や組織にとって不利益にならないか」について考慮することは大前提です。守るところは守った上で、ハッタリましょう。
信念のあるハッタリで仕事のチャンスを引き寄せよう

職場では、まだ十分なスキルや準備ができていなくても意欲を示すという「ハッタリ」を言うことで新しい仕事のチャンスを掴めることがあります。これからの時代、必要な場面で「ハッタリ力(りょく)」をうまく活用するためには2つのポイントがあります。

1)信念があるか

ハッタリを言ってでも動かしたい人がいるか、引き受けたい仕事があるか。ハッタリを使ってでもやりたいと思う仕事があったら、「どれぐらいその仕事をやりたいのか」という本気度を上司などに訴えてみるといいでしょう。

2)不完全な自分でもチャレンジしたいか

自分のスキルがやりたい仕事に取り組むために十分なレベルに達していない時、充分なスキルが身につくまで待つ必要はありません。答えのない今の時代、たとえ50点のスキルしかなくても、今はじめることが成果に繋がるかも知れません。

100点満点のクオリティになるまで待っていたらいつまでたっても何もできません。不完全な自分でもチャレンジするという勢いも大切だと思います。

ハッタリを使うときのポイントは?

ハッタリを使うときに大切なことは、オープンマインドで共感者を増やすことです。なぜその仕事をやりたいか、自分がその仕事をやると、どんなメリットがあるのか。そんな正直な気持ちをオープンにすることで、意外な理解者や協力者を味方につけることができるでしょう。

とはいえ、良かれと思って言ったことが結果として相手を傷つけてしまうこともあります。どのようなことが人を傷つけるのかについては人生経験を重ねたり、読書やアニメ・映画・ドラマ鑑賞などを通じて疑似体験し、豊かな感受性を培うしかないのかもしれません。

【2】常識から外れた新ビジネス・サービスに直面したら?

DNA検査の結果から相性の良い人を紹介する「DNA婚活」サービスを取材することになったケイト。昭和の後半〜平成にかけて、結婚は恋愛してするものだという常識が一般的でした。
DNAで結婚相手を決めるという婚活サービスに対して、ケイトは戸惑いを感じますが、これからは恋愛だけで結婚を決めるのではなく、科学的な根拠をもとに結婚する人も増えるかもしれません。
これまでにない新・常識に対して、それをどう捉えて取り組んでいくとビジネス現場で役立つでしょうか。

知らなくていいコトに学ぶ新・常識

ビジネス現場ではこう動こう【評価】★☆☆☆☆沢渡あまねさん
時代の変化にともないルールはどんどん変化し、以前はダメだと言われていた常識も良しとされるようになってきました。多様性が大事にされるこれからの時代、これまで見たこともないサービスに出会ったら、それを面白がるくらいの視野の広さが必要だと思います。
時代の変化に応じて常識をアップデートしよう

ビジネスの現場では、「これまでの社内外における常識が、グローバルな目線で見たときにも常識なのかどうか」を客観的に判断した方がいいですね。日本では常識とされてきたビジネスも、グローバルレベルでは時代遅れであることも大いにあるでしょう。今こそ、事業や組織のあり方を改めて見つめ直すべき時が来ていると思います。

今まで常識だと思っていたことは、果たして時代が変わっても同じように常識だと言い切れるでしょうか。「常識から逸脱している」と思いこんでいたことが、いつしか新しい常識になっていることもあるはずです。

常識は、視野の広さに比例します。「これって非常識?」と感じた瞬間に、自分の視野の狭さについて疑ってみてほしいと思います。それに加えて、社会やテクノロジーの変化に敏感になり、自分自身の常識をアップデートしていくことも必要です。

仮に、会社の中でこれまでの常識から外れた新しいサービスを提案しようと考えた場合、大切なのは2人目の協力者を見つけることです。古いビジネスを変えたいと思っている自分以外の仲間を見つけて、味方につける。いきなり大きな舞台を立ち上げるのではなく、ほんの数人でもいいので小さくトライアルすることから始めるのもいいと思います。

もちろん、これまでの常識を大切にしている人たちを否定したり、批判するのはおかしいと思います。これまでの常識を大切にしてビジネスをすることも、素敵な選択肢の一つです。その選択を否定して、何が何でも新しい価値観にアップデートせよというのは、価値観の押しつけです。誰かに自分の常識を押しつけてしまいそうになった時は、「その常識は自分や相手を幸せにしているのか?」と、立ち止まって考えてみてほしいと思います 。

【3】人の心が満たされる働き方とは?

「振り込め詐欺」の犯人に恋をし、大金を貢いだ70歳の女性被害者にインタビューしたケイトの記事は純愛ラブストーリーとして大きな評判となりました。その記事を読んだ編集長(佐々木蔵之介)は、「今の時代、華やかな仕事があっても、大事な家族があっても、金がわんさかあっても、それだけじゃ人の心を満たすのは難しい」とケイトに言います。
では、お金やモノだけでは人の心は満たされない時代、何を大切に生き、どうやって働けば人の心は満たされるのでしょうか。

知らなくていいコトに学ぶ新・常識

ビジネス現場ではこう動こう【評価】★★☆☆☆沢渡あまねさん
心の命ずるままに素直に生きる。それが「無力感」「先行き不透明感」が漂う時代に必要なこと。働く目的を「誰を幸せにするか? 誰を幸せにしたいのか?」「現在・未来において、誰を幸せにするのか?」に設定すると満足感が得られやすいと思います。
仕事や日常で心が満たされる瞬間を増やすためには?

心が満たされる仕事がしたいと思う人は、「自分の仕事は誰を幸せにしているか」「現在・未来において誰を幸せにするのか」を仕事の目的に置いてみると良いでしょう。例えば、お客さまに喜んでいただいたり、取引先の売り上げに貢献できると、充実感が生まれますよね。

また、今は仕事をしても心が満たされない人も、何年かがんばって成果が出れば心が満たされるかも知れません。どんな仕事ができれば満たされるのか、自分の仕事で誰を幸せにするのかを、一度立ち止まって考えてみるとよいでしょう。

仕事ではなく日常生活では、次の2つを大切にしてみると心が満たされる瞬間が増えると思います。

1)【心が満たされるMethod 1】たくさん居場所をつくる

満たされない心を抱えているなら、安心して自分をさらけ出せる居場所を増やしてみましょう。居場所が一つだけしかない人は、どうしてもその1カ所にしがみついてしまいがち。趣味仲間やSNSの友だち、ママ友・パパ友さんコミュニティでもかまいません。積極的に行動してたくさんの居場所をつくり、自分のさみしさや弱さを満たしてあげるとよいと思います。

2)【心が満たされるMethod 2】素直に生きること

これまでの常識を疑い、勇気を持って素直に生きてみましょう。例えば、昨年末も「会社の忘年会に出たくない」という声がSNSにあふれました。その感覚は、おかしなことではないと思います。

「職場の忘年会には出席すべき」という常識を疑い、自分の大切な時間とお金を別なことに使いたいと思う人がいて当然です。常識や暗黙の了解、こうすべきという固定概念を取り払い、自分の心が満たされる環境に身を置くことを、素直に選択できるといいですね。

【まとめ】時代に合った常識で、人生もアップデートしよう

これから先、いよいよ人生100年時代がやってきます。長い人生を幸せに生きるためには、これまでの常識に捉われず、楽しく生きる選択肢を貪欲に追求した方がよいと思います。

例えば、日本ではまだ離婚・再婚や、人生を通じて繰り返しパートナーを探すことはそれほど一般的になっていませんが、北欧のスウェーデンでは自分の価値観の変化に応じて、ポジティブに離婚や再婚を選択し、その時の自分にマッチするパートナーを選ぶ人がたくさんいます。

常識をアップデートし、心の命ずるままに生き、自分が幸せだと思える人生を送ることを大切にしてみてはいかがでしょうか。

<番組情報>
『知らなくてもいいコト』(日本テレビ 水曜 22時〜)

吉高由里子演じるケイトは週刊誌の記者。日夜ゴシップや詐欺事件などのスクープを狙っている。その母親(秋吉久美子)が死ぬ時に残した遺品などから、ケイトは自分が殺人犯の子どもなのではと疑い始める。日々の仕事のなかでスクープを狙いながら、自らの出生の謎に迫る“お仕事系ヒューマンドラマ”。脚本は『セカンドヴァージン』『大恋愛』などの大石静。出演は吉高由里子、柄本佑、重岡大毅、佐々木蔵之介、秋吉久美子、小林薫 ほか


WRITING:石川香苗子
新卒で大手人材系会社に契約社員として入社し、2年目に四半期全社MVP賞、年間の全社準MVP賞を受賞。3年目はチーフとしてチームを率いる。フリーライターとして独立後は、マーケティング、IT、キャリアなどのジャンルで執筆を続ける。IT系スタートアップ数社のコンテンツプランニングや、企業経営・ブランディングに関するブックライティングも手がける。学生時代からシナリオ集を読みふけり、テレビドラマで卒論を書いた筋金入りのドラマ好き。テレビやドラマに関する取材記事・コラムを多数執筆。