「子どものなりたい職業」の上位に挙がるほど人気のYouTuber。動画投稿を副業にして、収入を増やしたいと考えている会社員も多いことでしょう。そこで、サラリーマンYouTuberとして人気上昇中の「サラタメ」さんに、YouTuberとして成功のコツ、そしてサラリーマンとの両立のコツについてうかがいました。

サラリーマンYouTuber

プロフィール
サラタメさん

サラタメさんプロフ東京生まれ、東京育ちの30歳。ブラック企業から超人気のホワイト企業に転職し、宣伝・広報関連の仕事に従事。現在は、サラリーマンYouTuberとして活躍。顔出しすることで職場に迷惑をかけたくない、忖度が生まれて本音で語れなくなる、知らない人に道で指を指されるのは嫌という理由で、あえて顔出しをせずに活動。チャネル登録者数は約25万人(2020年2月時点)。

サラタメさんのYouTubeチャンネル
サラタメさんのTwitter@SALATAME_media


サラリーマンYouTuberになるために知っておきたいこと

YouTubeを始めてわずか1年3カ月で、チャンネル登録者約25万人を獲得したサラタメさん。副業を始めたきっかけ、テーマや切り口の模索など、YouTuber活動を成功に導いた秘訣を教えてもらいましょう。

YouTubeを始めた理由と黒字化までの道のり

私が副業を始めたのは、“細く長く楽しく働く”を目指すのに最適な方法だと思ったからです。社会人3年目のとき『LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略』を読み、「この先100歳まで生きるのなら、死ぬまで楽しく働く準備をしておかなくては」と思ったことがきっかけです。

大企業に勤めていても将来はどうなるかわかりませんし、定年後の人生も長い。だったら、大企業で出世を目指すより、「ワークライフバランスのとれた会社で働きながら、時間をかけて個人で稼ぐ副業も育てていこう」と考えました。そうすれば、もしも本業でリストラされても副業で食べていけますし、定年退職した後も副業で収入を得られますし、副業が人生の楽しみにもなりますから。

当時は、新卒入社した大手企業で宣伝・マーケティング関連の仕事をしていました。帰宅は毎日のように終電、週1、2回はカプセルホテルに泊まるような日々でした。そこで、まず実行したのが転職です。27歳のとき、ワークライフバランスのとれる中小企業に転職し、前職のスキルを活かせる宣伝・広報関連の仕事に就きました。

転職活動と並行して、さまざまな副業についてリサーチを始めました。ブログ、投資、転売などの活動方法について、また収益の仕組みや成功している人の収入などについて調べたのですが、どうも気乗りがしませんでした。すでに稼いでいる人がいるということは、勝ち組が決まっているようなもの。ブログは手軽に始められそうでしたが、文章力に自信があるわけではない私には魅力的に思えなかったのです。

耳が暇なサラリーマン市場×話すのが得意という強み=YouTuberに

どれも難しいなと思っていたときに、ピンときたのがYouTubeの可能性でした。私自身、忙しい前職時代でも移動中の耳は暇だったので、よくVoicy(音声配信を行うボイスメディア)やオーディオブックを聴いていました。ところが、それらにはコンテンツが少なかったので、次のものはないかと探し始め、YouTubeを聴き始めていたのです。

すると、無名の人のチャンネルでも意外に楽しめましたし、正直それほど話すのが上手ではない人もいて、「これなら自分にもできそうだ」と思えたのです。「耳が暇なサラリーマンの市場がある」という自分の経験に基づく直感と、「しゃべるのが得意」という自分の強みを信じて、2018年11月、とりあえずYouTuberとして走り出しました。

開始当初から伝えたいテーマが明確にあったわけではありませんし、人に教えられるような知見があるとも思っていませんでした。ですから、日々感じたことや自分の転職経験、それまでに勉強した副業などについて、1カ月間ほぼ毎日投稿を続けました。しんどい作業でしたが、その結果、転職や収入に関する話題に視聴者の関心が集まるということがわかり、2019年2月からは転職にテーマを絞って投稿することにしました。

それまでは1日に数人増える程度だったのですが、3月下旬に投稿した某大手総合ITベンダーのリストラのニュースにからめた転職の動画がバズり、チャンネル登録者数がグンと伸びたのです。その理由を「ニュースの検索需要に紐づけたからだ」と考えた私は、検索需要を意識した動画を投稿することにし、その結果5月中旬には1万人に達するまでになりました。

さらに大きな市場を見据え、「転職」から「書籍」をテーマに

サラタメさんブックレビュー

とはいえ、転職というテーマは関心を持っている人の母数自体がまだ小さく、2〜3万人が限界だろうと考えていました。そこで、「もっと市場規模が大きく、まだ手垢のついてないテーマは何か」と考え、書籍をテーマにすることにしました。

もともと読書は好きでしたし、その感想を話すと周りの人たちが面白がってくれたからです。そして、書籍動画の反応がよくなってきたところで、ビジネス書を中心とした書籍紹介に完全にシフト。現在は、週1本のペースでビジネス書を中心とした書籍動画を投稿しています。

ビジネス書を紹介する際には、“難しすぎないこと”を心がけています。YouTubeは隙間時間に聞き流されることが多いので、考えながら理解していく内容ではなく、聞くだけで内容がわかるようにまとめることが大切だと考えているからです。

ちなみに、近ごろは出版社から「本を紹介してほしい」と献本のオファーを頻繁にいただくのですが、献本を紹介し始めると依頼を受けて行う案件ビジネスのようになり、忖度が生じかねません。私としては、自分のコンテンツを好きなように長く続けていくためにも“シンプルに自分が面白いと思った本を選んでいる”というスタンスを守りたいので、本は自費で購入し、読んでよかった本を紹介することにしています。

勝負のカギは、サラリーマン目線を活かした切り口

私がここまで視聴者を増やすことができたのは、“サラリーマン目線”を活かした切り口にこだわって勝負してきたからだと考えています。キャンプや料理などの趣味をテーマにするのも楽しいでしょうが、芸能人が参入してきたら勝ち目はありません。芸能人や専業インフルエンサー、大御所YouTuberと同じ土俵に立っても、見た目のインパクトや更新頻度などで到底かないませんから。

もう1つこだわっているのは、特定のターゲットをイメージして動画をつくることです。私のターゲットは同年代のサラリーマン。ですから、自分自身や友人の〇〇君(具体的な人物名)の反応を想像しながら、台本をつくり、話し、動画にしています。

サラリーマンとYouTuberを両立させるコツとメリット

本業では仕事の効率化を意識し、副業は長い目でとらえて、スムーズに運用していける仕組みを構築し、両立を図っているサラタメさん。副業を持ったことで、本業にプラスになったこともあるようです。

隙間時間の有効活用とアウトソーシングで両立

約15分の動画を1本完成させるのに、台本作成、読みの練習、録音、撮影、編集などで12時間ぐらいかかっています。それ以外にも、紹介本の選定や投稿スケジュールの作成などの企画、読書する時間なども必要です。こんな風に、YouTuberはやらなければいけない作業が非常に多いうえ、録音や撮影、編集など、自宅でしかできない作業が大半なので、とても効率がいい副業とはいえません。

そこで、本業と両立させるために実践しているのは、隙間時間を有効に使うこと。そのために、自宅以外でできる作業を洗い出し、読書や企画立案、台本作成などは、通勤時間やランチタイムを活用しています。

もう1つ、自分でなくてもできることはアウトソーシングしています。具体的には、アニメーションをつける作業や編集作業など。最初は自分でやってみたのですが、膨大な時間がかかり、「これでは自分が疲弊してしまう」と感じ、規模を拡大していくためにも外注し、スムーズに回せる仕組みをつくることにしました。

何より、最後まで視聴してもらうには、最初の15秒程度で視聴者の心をつかむことが肝心です。パワーポイントを張りつけてしゃべるだけの動画ではどうしても見劣りしてしまうので、そこはプロに任せたほうがクオリティが上がるという判断もありました。外注すればコストがかかるので最初は赤字でしたが、「続けていけばいつかは黒字になるだろう」と考えたのです。

本業では、仕事の効率化を強く意識するようになりました。何しろ、自宅で行う作業が多いので一刻も早く帰宅したいわけです。「子どものお迎えがあるから」と帰宅を急ぐパパ・ママ社員と同じようなハラハラ感ですね(笑)。

YouTuberを副業にしたことで得られたメリット

《プレゼンスキルや論理的に考える力が向上》
YouTuberを副業にしたことで、本業にプラスになったこともあります。1つは、プレゼンスキルが飛躍的に向上したこと。仕事のプレゼンは相手も聞く態勢になっていますが、YouTubeの相手は自分に全く関心のない人たちです。スタートで関心を持ってもらえないとすぐに離れてしまうので、情報を精査し、結論を先に伝えて出だしで心をつかむ論理構成力が身に付きました。しゃべるのはもともと得意なほうですが、声の出し方や間の取り方で注意をそらさない工夫をするなど、話術にも磨きがかかっていると思います。

《YouTuberとしての知見が本業に役立っている》
私の場合は、本業である宣伝・広報の視点が養われたこともメリットです。SNSやTwitter、YouTubeなどの運営業務も担当しているので、どんな年代の人がどんなことに関心を持っているかといった市場の感覚、動画をどう見せるのが効果的かといったクリエイティブ面の感覚が養われ、実務でも大いに役立っています。

《普通のサラリーマンでは会えないような人に会えた》
大手企業の会長宅に招かれたり、有名インフルエンサーと対談をしたりと、サラリーマンとして働いているだけだったら会えないような人と会う機会を得らえたことも、YouTuberという副業のおかげです。

YouTuberを始めるべきか迷った時は…

この先5Gで通信環境がもっと動画向きになれば、YouTubeはさらなる伸長が望めるでしょう。そういう意味では、プラットフォームと一緒に成長できると期待しています。ただし、YouTubeを本気でやろうとすると、1本の投稿にかなり時間がかかるので、手軽にできるブログほど副業に向いているとはいえません。裏を返せば、だからこそ競合が少ないともいえるのですが…。

私の2019年の副収入は、月平均40万円程度。投稿本数やバズり方によってムラがありますし、毎月10万〜20万円の外注費もかかっています。今でこそ黒字ですが、赤字の時期もありました。いずれにしても、私の場合YouTubeの広告収入は労働に見合うものではありません。ですが、それ以外のメリットも大きいので、満足しています。自分の経験から言えることは、収入アップを主目的にするのではなく、「最終的に自分はどうなりたいのか」を意識し、収入以外のメリットにも目を向けることが大切だということです。

【YouTuberを副業にしたメリット】

読書の知識をアウトプットすることで自分の身につく YouTubeの経験が、宣伝・広報の仕事に活かせる ビジネスYouTuberとして突出することで、すごい人に会える ビジネスYouTuberとして認めてもらうために勉強する 得られた知識で転職や業務委託が可能になる

最後に、YouTubeを始めるべきか迷っている人へ、私が考えた3つの判断基準を紹介します。

(1)どうしても伝えたいことがある
(2)人から「教えてほしい」と言われるような知識がある
(3)コミットできる時間がある(スタート時は最低毎日3時間)

3つのうち、2つ当てはまれば「オススメ」。3つとも当てはまるなら「ぜひ」やってみてください。

インタビュー・文:笠井貞子