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長時間労働に対する是正の動きが強まる中、「残業ゼロ」運動というかたちで労働時間の削減に精力的な企業は多い。しかし、単に「労働時間を減らそう!」と呼びかけただけではなかなか減らないもの。組織として、個人として、効率的に仕事を進めることが何より求められる。

今回は「残業ゼロ」を実現するための効率的な仕事術について、『ゼロ秒思考』などの著者であるブレークスルーパートナーズ株式会社の赤羽雄二氏に紹介していただく。

赤羽雄二(あかば ゆうじ)

ブレークスルーパートナーズ株式会社 マネージングディレクター
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリード。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。


世界的にも例がない日本の長時間労働と生産性の低さ

日本企業の長時間労働と生産性の低さは世界中に広く知られています。日本の労働生産性はOECD加盟35カ国の中で22位※、主要先進7カ国では、1970年から連続で最下位です。生産現場の生産性の高さは広く知られている通りですので、足を引っ張っているのは間接業務、すなわちホワイトカラーの労働生産性ということになります。

多くのビジネスパーソンが、会議の多さやその長さ、また膨大な書類の作成に問題意識を持っていることと思います。

※出典:日本生産性本部

ほとんどの仕事は数倍速くできる

私はコマツからマッキンゼーに転職したときの経験、マッキンゼーをやめて独立したときの経験、また長年にわたる大企業の経営改革やベンチャー支援の経験から、ほとんどの仕事はやり方次第で今より数倍速くできると考えています。

みんな、あまりにもムダが多いし、少しでもスピードアップしようという努力をほぼしていないからです。「早く家に帰りたいな」とか、「この仕事早く終わらないかな」と思うことは多々あっても、「じゃあ、今週この仕事を1割早く終えるようにしよう」といった努力をしないのです。

多くの人が「山積みの仕事を何とか片付けよう」とか「もう木曜日になっちゃった。あしたの夕方までに何とか終わらせなくちゃ」というところで止まっているようです。したがって、会議や書類削減という会社・部門レベルの解決策もさることながら、個人として一人ひとりのスピードアップが劇的にできると考えています。それには以下のようなチャレンジがあります。

【チャレンジ1】日々加速……仕事を日々加速する
1)単語登録

単語登録を200語ほどすると「自分はこんなに早くメールを書けたんだっけ?」と驚くほどになります。「グーグル日本語入力のほうが早い」という人がよくいますが、細かく単語登録したほうが的確に自分の思った通り、最小ストロークで書けるようになります。短文も、よく使うURLも、よく使うメールアドレスも、会社住所も全部単語登録できますので、メールを書いたり、書類を作成したりするのが楽しくなります。

2)書類テンプレート作成

書類を作成するごとにテンプレートを作成すると次から3分の1〜半分の時間で作成できるようになります。テンプレートを作成する際には、書類の表紙や前書き、後書きなどはもちろん残しておきますし、パターンがあれば複数の文例を並べておきます。

3)文例フォルダの作成、活用

メールの文章で謝罪、依頼、変更通知など、また使いそうなものはすべてメールごと「文例フォルダ」に入れておきます。私はデスクトップに文例フォルダを置いています。再利用しそうなメールはデスクトップにドラッグアンドドロップしてコピーをつくり、ファイル名の最初に日付をつけて投げ込んでおきます。ただ、Gメールの場合は、デスクトップ上にコピーをつくれませんので、パワーポイントかメモ帳で「文例ファイル」を一つつくり、そちらに文例を貼っておくとよいと思います。

4)ショートカットキー利用

PC操作上のショートカットキー活用は絶対に必要ですが、他の方のPC操作を見ていると初歩的なものも使ってないことが多く、驚きます。ウィンドウズの場合は、「コピー → Ctrl+C」あたりは常識でしょうが、「コピーして削除 → Ctrl+X」になるとやや心許なく、「ブラウザを閉じる → Ctrl+W」を知らない人が多いようです。プレゼンのとき、一生懸命カーソルを右上のXマークまで数秒かけて持っていこうとするので、すぐわかります。

【チャレンジ2】先手必勝…困難な仕事ほど、すぐに着手する

残業ゼロは簡単なことではありません。長年、仕事を続けていると困難な仕事が多くなります。どうしてもそういう仕事は後回しにしてしまいがちですが、後回しにすると必ず難しくなります。時間に追われ、人にも相談しづらく、プレッシャーも四方八方からかかってくるからです。

「先手必勝」と念仏のように唱え、一番難しい仕事に目をつぶって飛び込んでみるしかありません。何回かやっていると、だんだんと習慣となっていきます。そうなるまで、同期4〜5人で仲間をつくり、「先手必勝会」をやってはいかがでしょうか。週1回、始業前あるいは金曜18時などに集まって、「今週(来週)はこの残業削減について先手必勝するぞ!」と宣言し合うだけです。それだけでも大いに違います。

あとは、「こういう先手必勝をして残業削減の成果を上げました」というブログを書くことです。読書記録としてのブログを書いている人は多いと思います。その仲間ですね。人と言い合う、宣言する、というのが気持ちの弱さを補ってくれます。

【チャレンジ3】仕込み万端…普段から準備しておく、仕込んでおく

シェフや板前さんにとって仕込みが重要であるように、仕事の質もスピードも仕込みが鍵になります。仕事においての仕込みとは、次のようなものを指します。

・残業削減を始めるため、自分の過去2週間の時間の使い方を整理しておく

・スピードアップすべき業務を洗い出すため、仕事の速い先輩を観察しておく

・企画書をつくることがわかっていたら、関連情報を先に集め始めておく

・新しい業務につくときに、経験のある先輩、同僚、友人から話を聞いておく


この他にも、実戦的なチャレンジがあります。詳しくは『最少の時間で最大の成果を上げる 最速のリーダー』(KADOKAWA刊)にて記載をさせていただきました。

また8月8日に実施予定の『最少の時間で最大の成果を上げる 最速のリーダー』発売記念セミナー前編では、「自分の残業ゼロを実現する仕事術」についてより詳しくお話しさせていただきます。ご興味のある方はぜひご参加ください。

■セミナー紹介

『最少の時間で最大の成果を上げる最速のリーダー』発売記念セミナー 前編 | ブレークスルーパートナーズ