今年5月に日本を訪れた外国人の数は390万8900人(推計値)。

10年前と比べおよそ214万人、20年前と比べると330万人以上増加しています。

経済効果が見込まれる一方で、環境問題などが生じていて、福岡県内の寺院では外国人からのみ参拝料を徴収するいわゆる「二重価格」を設定しました。

世界最大級の釈迦涅槃像で知られる南蔵院

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福岡県篠栗町の南蔵院。
世界最大級の釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)で知られ、いつも多くの観光客で溢れています。

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近年は海外から訪れる人も多く、今では参拝者の半数以上が外国人という日もあるそうです。

外国人観光客から300円の参拝料を徴収

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RKB 奥田千里 記者
こちらチケット売り場ですが、外国人観光客が参拝料を支払っています」

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南蔵院では今年5月、外国人観光客から1人あたり300円の参拝料の徴収を始めました

日本人や日本在住の外国人には請求せず、徴収した料金は清掃員や警備員の人件費などに充てられます。

なぜこのような取り組みを始めたのでしょうか。

「トイレ汚くなり境内は荒らされた」

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南蔵院 林覚乗 住職
「トイレが汚くなる、境内は荒らされる、ドローン飛ばしたり、音楽かけて踊ったり、その横で人が拝んでいるんですよ仏さんを。その後ろで音楽かけて踊ってそれをYouTubeに流す。そういうのが横行していました」

南蔵院では、近年、外国人観光客によるごみのポイ捨てや騒音などいわゆるオーバーツーリズムが深刻化。

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これまで団体客から参拝料を徴収したり、複数の言語で注意を呼びかける看板を設置したりするなどの対策を行ってきましたが、状況は改善されませんでした。

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南蔵院 林覚乗 住職
「『看板あるでしょ』って言ったら『見てません』とか『無かった』とか言われるから、目に付くところに置いたんですけど見ません。見ていても無視する。改善はしないですね。いろんな苦情がうちにきたので、根本的に分けようということになりました」

「二重価格」は発展途上国が多い

観光地などで、外国人向けに高い料金を設定する「二重価格」は、発展途上国などで用いられることが多いと専門家は話します。

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立教大学・観光学部 西川亮 准教授
「かなり外国人の観光客と自国の文化が相当差があるという国で用いられている手法だと思います」

財源が増えるというメリットがある一方、差別的だという意見もあるということで徴収した料金の使い道を十分に検討する必要があると指摘します。

立教大学・観光学部 西川亮 准教授
「価格が違うということは、それによって受けられるサービスが違うということにつながってくるというのが消費者側が期待する部分かなと思いますので、徴収されているのであれば、その分外国人の観光客に対して日本の文化ですとかそういったものを伝えていく仕組みですとかそういうのがあれば納得がいくのかなと思います」

外国人観光客の反応は

二重価格を導入した南蔵院では、参拝料を請求され引き返す外国人観光客もいるそうですが、この日の取材では、批判的な意見はほとんど聞かれませんでした。

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アメリカからの観光客
「この美しい空間と静けさを感じられることは、参拝料を支払うことで得られる特権だと思います」

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フィリピンからの観光客
「清掃や管理をしている人にお金を払う必要があるでしょうし、300円はそれほど高くないので問題ないと思います」

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福岡市から訪れた人
「頭ごなしに外国人だから払えと決めつけてそういう請求をしているなら差別だと思うけど、そういう観点じゃ無くて、使い方のルールとかがどうしても日本の方と違うから、メンテナンス費もかかっちゃうということなら差別ではないのかなと思います。それが1つのリスペクトの気持ちの表し方として請求されているものなら払います」

二重価格で問題は解決した?

南蔵院によりますと、二重価格を設けたことで、これまで抱えていた問題が少しずつ解消され始めたそうです。

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南蔵院 林覚乗 住職
「踊ったりいろいろするような、後うちは境内で飲食はできませんので、そういう目的で来ていた人たちがいたんですけど、そういうのはなくなりました。普通のエチケットを守ってもらえればそれだけでいいんです。後は何も言わない。トイレもきれいに使う、ごみも捨てない、注意したらそれに従ってもらう、それだけのことです」

南蔵院では今後も参拝料の徴収などを通じて、外国人観光客に日本文化への理解や参拝マナーの順守を強く呼び掛けていくということです。