新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う医療受入れ態勢の逼迫を主要因とし、緊急事態宣言が発出された。世界的にみて高水準にあるはずの日本の医療が、懸念すべき状態に陥りつつあるのは、ひとえに厚生労働省の危機対応のまずさにある。コロナ禍が収束し次第、組織改編に急いで取り組むべきだ。基本的に厚生と労働関係部署を再分割して負担を軽減し、危機対応できる政策提案能力とスムーズな指揮命令系統を構築しなければならない。

 先進諸国と比較しコロナ感染者が圧倒的に少ない一方で、病床数や医師数でも見劣りしない日本において、なぜ医療態勢の崩壊が叫ばれるのか。官邸の意思決定に問題があるが、その前に厚労省が主導的立場に立って、病床の確保などに向けた有効な対策を打つべきであった。時間的余裕を有していたにもかかわらず、実施すべきことがなぜできなかったのか。大きな原因の一つに医療行政における政策提案能力の欠如がある。

 危機対応に大きな課題が残った以上、コロナ禍収束後、急いで組織改編に取り組むべきである。いつまた同じようなパンデミックに襲われるか分からない。厚労省は他省庁と比較し膨大な業務量を抱えているのが実態で、まずは職員の負担軽減を真剣に考えるべきであろう。

 厚労省の業務量の実態は、他の官庁に比べて随一といわれている。定員1000人当たりの国会答弁数、委員会出席時間数、審議会などの開催回数に加え、訴訟件数の全てでトップである。20歳代後半の職員の約半数が「やめたいと思うことがある」と回答しているショッキングな調査もある。接触確認アプリの運用も失態続きだ。

 厚労省は、国民の命と仕事を司る重要官庁である。労働政策に対する専門能力強化という側面からも組織改編が重要といえよう。統合していなければ厚生・労働間の政策連携ができないという意見があるが、国民の視点からは受け入れられない理屈である。

 一般報道では、菅総理が省庁のあり方を検証する意向を示しているという。必ず実行に移してもらいたい。