新型コロナウイルス感染症が拡大した令和2年の雇用情勢に大きな異変が生じている。毎月勤労統計調査によると、30年間にわたって増加を続けていたパートタイム労働者が減少に転じる一方、名目・実質の現金給与総額がともに下落幅を拡大した。経済全体を見据えた強力なテコ入れが不可欠であり、全国民に対する再度の一律定額給付の実行が求められる。

 常用雇用指数のパートタイム労働者をみると、平成2年の調査開始以来、初めて前年比減となった。元年の前年比4.2%増加から2年は一転して0.3%減少している。女性パートタイム労働者の就労率が高い飲食、宿泊などでダメージが大きかったことを物語っている。

 賃金も下落幅を拡大している。元年の名目の現金給与総額は、同年秋の消費税増税などの影響もあり、6年振りに前年比0.4%減少した。2年はこれを上回る1.2%減少となり、リーマン・ショック時以来の大きな下落となった。2年連続の賃金下落は、サラリーマンの家計に痛手となろう。

 実質の現金給与総額の下落はさらに深刻だ。長期間にわたって減少傾向が続いているなかで、2年も1.2%減少に。特徴的なのは、一般労働者の賃金減少が最大の要因となっていることである。相対的に賃金水準の低いパートタイム労働者の割合が減少すれば、実質賃金は増加する傾向になるはずだか、焼け石に水である。

 パートタイム労働者が初めて減少するとともに、名目・実質の現金給与総額が揃って下落幅を拡大する事態は、ダメージの大きい業種を超えて、国民全体が疲弊している証左とみることができる。現金給与総額の下落幅は、実は卸売・小売よりも製造業(3.5%減少)の方が大きい。

 アメリカでは「救国計画」として、200兆円規模のコロナ対策を打ち出している。個人現金給付が対策の柱である。日本は、ここで躊躇していると、経済対策に大きく水をあけられ、再び取り返しがつかない低迷状態になりかねない。世界に倣って、再度一律定額給付を行うべきだ。