このページでは、2021年7〜12月に配信した書評記事「今週の労務書」をまとめて紹介します。

『職場で取り組む予防・対策 ハラスメントの正しい知識と対応』梅澤 康二 著
“オワハラ”などにも言及――主に労務全般の対応を務めている弁護士である著者が、ハラスメントについて網羅的に解説しているのが本書。序盤では、基礎知識として各種ハラスメントの違法性や判断基準を説明し、後半には多くの詳細な事例を掲載した。

『労働組合の基礎―働く人の未来をつくる』仁田 道夫、中村 圭介、野川 忍 編
活動の意義を再認識――労働組合の役割や諸活動を、法学、経済学、社会学の側面から解説したのが本書。UAゼンセンの機関誌に掲載された連載をベースとしている。

『出産・育児による離職ゼロを実現!企業がつくる保育園』柴崎 方恵 著
時差通勤の活用も視野――育児期の社員の離職を防ぐ対策として効果的な企業主導型保育施設の設置や運営に関して、簡潔にまとめている。

『手続きすればお金がもらえる 図解 社会保障オールガイド2021―2022』田所 知佐・ドリームサポート社会保険労務士法人監修
受給対象や金額を明記――本書は、労災保険や雇用保険、健康保険、公的年金、介護保険など、令和3年4月1日現在の社会保障制度の基本的な内容を紹介するもの。

『中小企業の人材開発』中原 淳・保田 江美 著
顧客との接点が機会に――日本企業の99%は中小企業が占めている。しかし、これまで現場のデータ取得の困難さなどから、中小企業の人材開発はブラックボックスとなっていた。

『新標準の就業規則 多様化に対応した〈戦略的〉社内ルールのつくり方』下田 直人 著
良好なパートナー関係へ――従来の就業規則が労使間トラブルの未然防止を最優先しがちだったのに対し、本書では「良好なパートナー関係の構築」こそが“新標準”なのだと提案する。

『事例で学ぶOJT 先輩トレーナーが実践する効果的な育て方』田中 淳子 著
新卒の精神面サポートを――新入社員へのOJT教育のポイントをまとめた本書は、人事部門や教育担当者本人をはじめ、職場全体でそれを支える方法を解説している。

『経営人材育成論』田中 聡 著
新規事業創出の経験を――ミドルマネージャーを経営人材として育成するには、Off―JTや、管理監督業務を経験させる従来の方法だけでは、管理と経営の間にある溝を乗り越えるには限界がある。

『待ったなし! BCP[事業継続計画]策定と見直しの実務必携』本田 茂樹 著
シートで被災状況を確認――BCPとは何かとの基本に関する説明から始まり、策定の方法や実効性を高めるための見直し手法などを説く。

『企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践』石田 雅彦 著
働きがいある職場提供――本書は、国内の銀行や外資系投資銀行、外資系生命保険、国内生命保険など大手金融機関で人事業務全般を経験してきた筆者が、「企業価値向上」の観点から、企業の取り組むべき課題やその解決に向けた対策について解説したもの。

『サスティナブル・コーチング』合力 知工・市丸 邦博 著
根付かせる方法を解説――1990年代後半にアメリカから日本に上陸したコーチング。対話を通じて部下の自発的な行動を引き出す人材育成手法として、多くの企業が取り入れたが、組織文化として定着するところまで実践できている企業は少ないのではないだろうか。

『「日本版ジョブ型」時代のキャリア戦略 38歳までに身につけたい働き方のかたち』加藤守和 著
主体的なキャリア形成へ――職務に対する合意を前提とする海外のジョブ型雇用では原則、職務がなくなった時点で雇用解消となる。一方で新卒一括採用を基本とするメンバーシップ型雇用は、日本の厳しい解雇規制に結び付いてきた。では日本でも「ジョブ型」が取り入れられた暁には、大量のリストラが?

『職務給の法的論点』久保原 和也、西村 聡 共編著
要点・リスク読み解く――弁護士と人事コンサルタントが組んで執筆した本書は、職務給にまつわる法的なポイント、リスクをQ&A形式で紹介している。

『社員満足の経営 ES調査の設計・実施・活用法』吉田 寿 著
否定形使わない質問文を――本書では、ES(社員満足度)調査の手法や測定方法、有効活用法を解説している。調査票の作り方では、質問文の設定の仕方から説明。否定形を使わない、1つの項目に2つ以上の質問内容を入れないなど、基礎的だが気付きにくいポイントを指摘している。

『弁護士・社労士・人事担当者による労働条件不利益変更の判断と実務―新しい働き方への対応―』白石 紘一 編著
説明時の要点を解説――76のケースについて、不利益変更における実務上の注意点などを解説したのが本書である。賃金に関する各種手当の廃止といった典型例から、フレックスタイム制におけるフレキシブルタイムの変更、週休3日制の導入といったテーマまで幅広くカバーしている。

『ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機』濱口 桂一郎 著
導入済み企業も一読を――「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の定義を示したうえで、採用や退職、労働時間、賃金、労働組合などの雇用関係諸問題について詳細に論じている。浮かび上がってくるのは、いかに巷間でいわれる「ジョブ型」が本来のそれとはかけ離れているか。

『人材マネジメント用語図鑑』伊達 洋駆、安藤 健 著
視覚を通じて理解促す―― 本書は、人材マネジメントにおける24のキーワードと、各キーワードに関連する人事施策・制度を解説したもの。キーワードごとに、提唱した研究者名やその研究内容、活用する場面などを紹介。

『問題社員トラブル円満解決の実践的手法  訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』西川 暢春 著
タイプ別に指導法を指南――能力不足にもかかわらず改善の意欲がない、指示に従わず反論を繰り返す、ハラスメントで職場環境を悪化させる――本書はこうした「問題社員」が引き起こすトラブルを退職勧奨によって解決に導く方法を解説している。

『アンガーマネジメントトレーニングブック2022年版』日本アンガーマネジメント協会監修
衝動的なパワハラを防止――アンガーマネジメントは怒りの感情と上手く付き合うための心理トレーニングだ。厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」で、日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事が職場での「悪い叱り方、上手な叱り方」をプレゼンするなど、パワハラ対策としても注目が集まっている。

『職場のメンタルヘルス対策の実務必携Q&A 適正手続とトラブル防止の労務マニュアル』岡芹 健夫 著
復職・退職までを指南――本書は、デリケートな対応が求められる従業員のメンタルヘルス不調に関し、企業がとるべき対策を網羅的に紹介する。休職命令や復職・退職などの手続きについて解説する一方、最終章では“事前の備え”として欠かせない就業規則の規定例も示す。

『経営戦略としての取締役・執行役員改革』柴田 彰、酒井 博史、諏訪 亮一 著
役割明確化し牽制機能を――今まで「聖域」として手付かずだった取締役・執行役員の改革を――本書ではそんなテーマを掲げ、体制の再構築について解説している。従業員層にジョブ型制度を導入するなど、大きく人事制度を変革した企業であっても取締役・執行役員の処遇はそのままにしている現状が多いと指摘。

『詳解 労働法 第2版』水町 勇一郎 著
同一賃金の解説が充実――本書は、詳解の名のとおり、労働法分野におけるあらゆる論点を網羅しつつ、読みやすく理解しやすい文章で過不足なく解説する。

『三井物産が変える人材採用』三井物産㈱人事総務部著
「合宿選考」で見極め――人材を獲得するに当たり、30分の面接を3回実施するだけで何が分かるのか――三井物産が、そのような問題意識に端を発して行った採用プロセスの変革を自ら開陳した。