日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会は4月21日、連名で「最低賃金に関する要望」を発表し、中小・小規模事業者の経営実態を十分に考慮した納得感のある最賃引上げを実施すべきと提言した。生計費、賃金、企業の支払い能力を前提とした議論に基づき、経済実態と整合性のある最賃引上げを要望する内容といえる。現状、国が目標とするインフレや賃上げが達成できていない実態を考慮すれば3%を上回るような前年の引上げを踏襲すべきではない。

 最賃は2016年度以降、全国加重平均1円の引上げとなった一昨年度を除けば、名目GDP成長率や消費者物価、さらに賃上げ率を上回る3%超の引上げが続いた。早期に全国加重平均1000円を達成し、セーフティーネット強化を図る方向性は支持するとしても、経済実態と遊離した引上げは受け入れられない。

 毎月勤労統計調査の令和3年度の現金給与総額を例にとると、32万604円で、前年比0.7%増加しただけである。パートタイム労働者に絞っても9万9971円で、0.9%増加に留まっている。

 日本の最賃は、欧米先進諸国と比較して確かに低水準にあるといえるが、数十年にもわたって経済の低迷状態が続き、現在においても賃金自体の引上げがままならないという側面を忘れてはならない。中小・小規模事業者においては、依然として新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が続いているうえ、直近の原材料価格高騰にも対処しなければならない。

 日商が2月に実施したアンケート調査の結果では、現在の最賃額が「負担になっている」と回答した中小企業の割合は65.4%に達し負担感が増しているという。最賃引上げによって、地域事業者の経営を圧迫し、雇用維持にマイナスの影響が生じれば、元も子もない。

 上記3団体は、最賃引上げ自体に反対しているわけではない。法が定める生計費、賃金、支払い能力に基づく明確な根拠のもとで納得感のある引上げを求めているのであり、当然の要望であろう。