労働時間制のさらなる弾力化を急げ――厚生労働省は、現在、裁量労働制の適用拡大を念頭に専門家による議論を進めているが、併せて高度プロフェッショナル制度の拡大に向けた方策も打ち出すべきである。高プロ制は、2018年に成立した働き方改革関連法により新設したもので、翌19年4月の施行から3年が経過した。投資やイノベーションの促進による生産性向上を労働面から後押しすることが、日本産業・社会にとって重要である。

 厚労省は、専門家を集めて裁量労働制の適用拡大に向けた議論を活発化させている。先ごろまとまった裁量労働制導入影響分析によると、裁量制適用者の方が非適用者より週1時間超長く働く傾向にあるが、睡眠時間には大きな影響なく、却って適用者の方が健康状態が良いと答える確率が高いことが分かっている。また、適用者の約8割が満足感を示した。

 とくに、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大とできる限りの導入手続き簡素化などについて方向性を決め、早期法案化を求めたい。近年注目されているジョブ型社員の普及促進にとっても、裁量労働制の見直しが必要である。

 並行して実施すべきなのが、高プロ制の改善だ。労働基準法上の労働時間規制が適用されないため、深夜・休日に働こうが、何時間残業しても抵触しない。金融商品の開発やファンドマネージャー、トレーダー、新たな技術・商品の研究開発業務などで、年収1075万円以上の労働者に絞って適用している。

 しかし、導入企業はかなり限定的なのが実態。制度導入までの手順が複雑で、導入した際のメリットも分かりにくいほか、高い年収要件も障壁となっている。厚労省内では、まだ同制度見直しに向けた議論はなされていないが、数年後の法改正をにらんだ検討を開始して欲しい。

 というのも、長期間にわたる日本産業の停滞に歯止めを掛ける必要があるからだ。働く者のニーズの多様化などに対応しながら、投資やイノベーションを活発化し、全体の生産性を高めるために、労働時間弾力化が一助となろう。