東京都はさきごろ、1カ月間の公募を経て、育児休業の愛称を「育業」に決定した(本紙7月11日号2面既報)。「業」には仕事という意味のほか、「努力して成し遂げること」という意味があり、育児は「業」に当たるという。「育児のために仕事を休む」のではなく、「大事な仕事である育児に取り組む」との考え方へのマインドチェンジを進め、男女を問わず誰もが「育業」できる社会をめざすとしている。

 都は愛称公表に合わせ、男性の育休取得率向上を目的に、取得率が高い企業を「TOKYOパパ『育業』促進企業」として登録する制度の創設を発表した。

 育児を「業」と位置付けるこの愛称に対する意見は人それぞれだろう。だが、改正育児介護休業法が今年4月から段階的に施行され、10月には出生時育児休業(産後パパ育休)の創設を控えるタイミングでの愛称の決定・公表は、事業者や働く一人ひとりが育休への関心を持つきっかけになるのではないか。

 厚生労働省の調査によると、令和2年度の育休取得率は女性81.6%、男性12.65%と、依然として男女差が大きい。都では、職場の理解の得づらさを理由に取得をためらう人が多いことが背景にあるとみており、愛称決定を通じて育休取得に対する社会の意識転換を狙うという。

 企業が、職場の理解や雰囲気を醸成していくためには、改正育介法に沿った取組みを適切に実施することが重要になるだろう。

 改正法では、育休を取得しやすい環境づくりに向けて、育休・産後パパ育休に関する研修実施や相談窓口の設置、自社の取得事例の提供、取得促進に関する方針の周知――のうち、いずれかの措置を講じるよう義務付けている。従業員の意識を変革するためには、研修を管理職だけでなく全労働者に対して実施するのが望ましい。経営トップが会社の方針を明示することも、取得の心理的なハードルを下げるうえではとくに重要だ。

 愛称の発表で育休が注目されたことを契機に、各企業は改正法に基づく取組みを着実に実行してもらいたい。