子育てをしやすい会社作りを、助成金等を活用して進めて行きましょう

 一時期待機児童数がかなりの数に上り、「保育園に入れない」ことが社会問題化されました。保育園整備が進んだこと、企業主導型保育事業等保育園以外の受け入れ場の整備、児童数の減少により一時期に比べて待機児童数は大幅に減少しました。結果として企業主導型保育事業の新規募集は令和3年度で終了になり、令和4年度は中止となりました。

 ただし、少子高齢化対策のため企業としても様々な子育て支援策を実施することが社会的な責務とも言えます。育児介護休業法も令和4年4月と10月に改正され様々な育児休業を取りやすい仕組み作りが行われています。

 今回は、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を活用した企業での子育て支援策整備及び内閣府が実施する企業主導型ベビーシッター利用者支援事業「ベビーシッター派遣事業」を解説します。

両立支援助成金による子育て支援策の整備

 両立支援等助成金には「職場復帰後支援」として復職後に子の看護休暇や保育サービス費用の補助制度を創設した場合に助成されます。

 助成額と概要は下記になります。

① 子の看護休暇の詳しい要件は下記です。

・平成30年4月1日以降、新たに法律を上回る子の看護休暇制度を整備したこと
・対象労働者の育児休業からの復帰後6カ月以内に、10時間以上の子の看護休暇を取得させたこと
・対象労働者を育児休業開始日、およ育児休業が終了してから支給申請日までの6カ月以上継続した期間について、雇用保険被保険者として雇用していること
・対象労働者の休業開始前に育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ていること

(育児介護休業規定例(子の看護休暇))
第・・条 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇用される者を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の世話をするため、および当該子に予防接種または健康診断を受けさせるために、就業規則に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができます。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とします。
2 子の看護休暇は、時間単位、もしくは1日を単位として取得するものとします。始業時刻、終業時刻から連続しなくても時間単位で取得可能です。中抜けも可能です。
3 取得しようとする者は、原則として事前に会社に申出るものとします。
4 第1項の休暇は有給とします。

② 保育サービス利用補助制度の詳しい要件は下記になります。

・平成30年4月1日以降、新たに保育サービス費用補助制度を整備したこと
・「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」(内閣府)を受給していないこと。
・対象労働者の育児休業からの復帰後6カ月以内に、保育サービスの費用補助を3万円以上実施したこと(通常の保育園通園に係る必要補助は支給対象外になります)
・対象労働者を育児休業開始日、および育児休業が終了してから支給申請日までの6カ月以上継続した期間について、雇用保険被保険者として雇用していること
・対象労働者の休業開始前に育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ていること

(育児介護休業規定例(保育サービス利用料補助))
第・・条 会社は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して、当該子に係る臨時的・一時的な保育サービス(ベビーシッター、一時預かり、ファミリー・サポート・センター、家事支援サービス等)の費用の半額を補助する。ただし、1カ月当たり3万円を上限とする。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」

 ベビーシッター派遣事業は、事業主が実施団体である「公共社団法人全国保育サービス協会」へ利用の申請を行い、承認され割引券が発券されると事業所の労働者がベビーシッターサービスを利用した際に割引を受けられるという事業です。概要は次の表のとおりです。

【対象者児童】乳幼児または小学校3年生までの児童(身体障害者手帳の交付を受けている場合などは小学校6年生まで)
【割引額】1枚あたり2200円
【使用条件】対象児童1人につき1日(回)2枚 1家庭につき1カ月に24枚まで
【事業主負担】割引券発行枚数1枚につき70円※
※労働者数が1000人以上の事業主は180円/1枚

 利用までの流れは次のとおりです。

 承認までに約10日間かかりますので余裕を持って承認申請するようにしましょう。労働者が自身で割引券の取扱いがある事業者を探し、ベビーシッターを依頼する必要はありますが、サービス利用にあたり1回4400円割引されるのは労働者にとってありがたい福利厚生です。

 注意点としては、令和4年度より割引券が紙ではなくQRコードの電子割引券の運用となったことがあげられます。ベビーシッターサービスを利用される労働者の方は、利用申込時に「割引券を利用する」旨忘れずに伝えるようにしましょう。伝えなかった場合、割引券QRコードを読み取る機器が持参されず適用されないことがあります。

まとめ

 待機児童数が多い時は事業所内保育事業や企業主導型保育事業を活用して企業内で保育施設の整備が望まれた時もあり、様々な助成金の対象になった時もあります。しかし、保育園も多く整備され待機児童数が大幅な減少をしている現在、企業が新たに事業所内で保育施設を整備することは各種助成金等も無くなった今は現実的では無いと言えます。

 今回の紹介した両立支援等助成金(育児休業等支援コース・職場復帰後支援)や企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を上手に活用して「子育てのしやすい会社づくり」を進めて行きましょう。

筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)

大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント

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