今年も春季賃上げ交渉がスタートする。例年にも増して、賃上げには厳しい外的環境が揃っているが、わが国はいまデフレに逆戻りするかどうかの瀬戸際に立たされいる。今年こそ3%をめざす労使の取組みを強く求めたい。

 春季労使交渉では、ここ6年間にわたり賃上げ率2%台前半をキープしてきた。令和元年の賃上げ率は、前年を下回ってはいるが、2.18%を達成している。しかし、圧倒的多数の中小零細企業への波及効果は薄く、結果として経済の好循環を形成できなかった。インフレ目標も未達成のままだ。厳しいデフレスパイラルからは脱したものの、経済規模の停滞が続いていることは否定できない。

 本紙で人事賃金問題の解説などをお願いしている賃金コンサルタントによる今春賃上げ予測によると、2%台に届くか微妙な状況である(=関連記事)。

 プライムコンサルタントの菊谷寛之代表は、賃上げ率2.1%程度と指摘している。賃金システム研究所の赤津雅彦代表は2%に届かない可能性を表明した。ただ、昨年は、企業の内部留保などを考慮すると、3.1%の賃上げ余力があったはずという分析結果もある。いずれにしても2%程度の賃上げでは不十分としかいいようがない。

 まして、日本を取り巻く外的環境は年々厳しさを増している。米中貿易戦争の激化やイギリスのEU離脱もほぼ決着した。国際通貨基金(IMF)によれば、2019年の世界経済成長率は下方修正され、世界金融危機以降で最も低い3.0%と予測し、「深刻な落ち込み」と総括している。国内においても消費税増税が強行されてしまった。

 わが国は今年、重大な岐路に立たされている。このまま手を拱いていると、オリンピック以後の経済は再びジリ貧に向かってしまう。大規模な補正予算を早期に成立させて実行するとともに、本紙賃金コンサルタントの予測を上回る賃上げを実現することが必要である。

 中小零細企業へのインパクトを考慮すれば、3%程度の賃上げ率を目標として欲しい。政府には、引き続き「官製春闘」の継続を求めたい。