政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三内閣総理大臣)が作成した「経済財政運営と改革の基本方針2020」によると、「フェーズⅡの働き方改革に向けて取組みを加速させる」としている(=関連記事)。ジョブ型雇用への転換と効率的で成果重視の人事システムをめざすものだが、解雇規制改革に一切手を付けないままでは不十分である。少なくとも、現在、議論がストップしている解雇無効時の金銭救済制度の創設を並行して行う必要がある。

 同会議によると、従業員のやりがいを高めるためのフェーズⅡの働き方改革に向けて取組みを加速させるという。具体的には、メンバーシップ型からジョブ型雇用への転換と、より効率的で成果が的確に評価される働き方への改革を打ち出した。

 要するに、これまでの能力中心の年功的雇用形態から職務中心の成果重視型雇用形態への移行を訴えたものだ。ジョブ型雇用が広まれば、職務や勤務場所に限らず、企業間労働移動の活発化が期待できる。個別企業内でのみ有効な能力評価ではなく、一定の広がりをもった企業横断的な評価がより可能となるためである。

 日本の解雇規制は、この労働移動を抑制する効果がある。しかし、労働者保護の観点から考えると、安易な規制緩和は行えない。厚労省内においても、解雇規制緩和に関する議論は全くなされておらず、準備が整っていない。

 今後、政府全体として欧米型人事システムであるジョブ型雇用の拡大をめざすなら、少なくとも解雇無効時の金銭救済制度は、並行して制度化を実現してもらいたい。労使双方が納得のいく労働移動を促すことができるかもしれない。解雇に関する具体的規定がほとんどない現状のままジョブ型雇用の拡大といっても説得力が乏しい。

 解雇無効時の金銭救済制度は、最長2025年度までの取組み事業とされ、現在、スケジュールがストップしている。見解が激しく対立する課題であることは分かるが、明らかに時間が掛かり過ぎる。来年には、明確な具体的方針を決定すべきだ。