本紙報道によると、大手企業を中心にテレワークを標準化する動き広がっている(7月27日号5面参照)。すでに、後戻りできなくなったというより、後戻りさせてはいけない。テレワークで、労働者側の負担が軽減されワーク・ライフ・バランスが向上するという側面がクローズアップされる傾向が強いが、企業側にも多くのメリットがあることを改めて認識し後退しないよう努力すべきである。

 7月以降、再び新型コロナウイルスの感染が拡大している。一旦は緩和に向かったテレワークも、再度引き締め方向にある。大手企業では、コロナ禍を逆手にとってテレワークを標準化しつつある。本紙では、富士通グループ、キリンホールディング、カルビーのケースを取材した。富士通グループは、約8万人を対象にテレワークを基本とする「ワーク・ライフ・シフト」を推進しているという。

 テレワークといえば、通勤の排除、育児・家事支援などが可能となり、労働者のワーク・ライフ・バランス向上がクローズアップされがちだが、企業側にも大きなメリットがある。とくに、研究・開発、営業、スタッフ職などの業務効率化や今後予想される大規模災害・再度のパンデミックへのスムーズな対応が可能となるほか、高齢者・障害者の活用、優秀な若手社員の確保にも効果が期待できる。労働力人口の減少が進むなか人材確保においてテレワークの標準化が欠かせなくなったとみていい。

 厚生労働省が把握した実施例によると、新卒採用に苦慮していた企業が募集要項に在宅勤務・モバイル勤務可能と記載した結果、毎年300人以上の応募が続いたという。障害者雇用の効果としては、雇用率が2.2%に上昇した例もある。オフィス維持に掛かる固定費削減効果も見逃せない。富士通グループのケースでは、オフィスの活用方法を効率化して、2022年までに半減する方針を打ち出している。

 中小企業では、テレワーク定着に向け手探り状態にあるといえるが、大手企業との競合の面からも後戻りはできなくなっている。