生産性の向上や省力化を目的に、建設業ではICT(情報通信技術)の導入が進んでいる。さらに同技術は、本質安全化が図れるとして労働災害防止の有効なツールとして評価が高い。活用方法としてイメージしやすいのが、ドローンによる空撮と撮影した写真の解析などだろう。土木工事で人が立ち入れない場所を上空から監視することで土砂崩壊などの危険を回避する。基本的には無人であるため、人的災害は起こらない。このほか、建設機械をオペレータが遠隔操作する作業やVR装置を使った危険体感教育も当てはまる。

 無人化施工システム導入により本質安全化を図るICTが、さらに次の段階に入った。5G技術の導入だ。5Gとは第5世代移動通信システムのことをいう。大きな特徴は、「超高速化」「超多数同時接続」「超低遅延」の3点。超高速化による4Kや8Kといった高解像度の動画配信や、超多数同時接続によるIoTの普及、超低遅延による自動運転精度の向上、遠隔治療が可能となる。

 もっと簡単にいえば、通信速度が早くなる、一度に接続することができる台数が増える分、中継装置などの設置コストの削減にもつながる。こうしたメリットにより、インターネットへつながるIoT機器が、より普及することが見込まれるという。

 労働災害防止の分野でいえば、ITベンダー(ソフトウェアの供給元企業)と産業現場が一体となって、超高速・大容量の強みを生かしたシステムを開発しているところだ。今号特集Ⅰでは、日鉄ソリューションズの「安全見守りくん®」とNEC、錢高組などが参加するワーキンググループの安全帯未使用時にヘルメットから警告を出すシステムなどを紹介している。

 労働災害につながる不安全な行動や状態をいち早く検知して、作業者に警告を出すことで災害の未然防止に役立てる。このようなシステムが5Gにより、さらに高性能となる時代を迎えたというわけだ。

 恒常的な人手不足が問題となっている産業現場にとって、ICTは救いの手。今後もさらなる技術の進展が、期待される。