「社員が突然診断書を持ってきた」、「以前と比べて様子がおかしい」、「初めての休職者への対応方法が分からない」、「仕事中いつも酒臭い」、「奇妙な行動をとっている」――企業のメンタルヘルス対策への取組みはこのような相談に始まる。企業の代表者はもちろん、とくに担当者にとっては最も頭を悩ます問題といっても過言ではない。

 その内容は、セルフケアラインケアの研修、衛生委員会のサポート、職場復帰プログラムの策定、休職規程の作成、担当者への教育など内容が多岐にわたるため、十分なヒアリングを行い適切なアドバイスを行っていく。

 2018年4月からの5カ年計画である第13次労働災害防止計画をみると「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合を80%以上にする」といった目標があるが、まだまだその割合は低い。

 しかし、メンタルヘルス対策は今、企業に一番求められているものであり、これからの企業発展のためには欠かせないものであるということを確信している。メンタルヘルス対策は正しい知識と対応力を身に着けることによって、一緒に働く仲間だけでなく大事な家族を守ることができるのだ。

 メンタルヘルス対策の具体的進め方については、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に沿って行うことが有効的であろう。その中に記載されている①メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供、②職場環境等の把握と改善、③メンタルヘルス不調への気付きと対応、④職場復帰における支援――の4点について、社員の意識を高めていくことが重要だ。

 ここで、管理職が部下から相談を持ちかけられた場合のポイントを紹介しよう。

 それは、傾聴を心がけること、批判をしないこと、自分の体験談を押し付けないこと、そして、解決してあげない=専門家につなぐことだ。誰しも相談をされると何とかしてあげたい、力になりたいと思うであろうが、専門家でない場合は間違った知識や情報を提供してしまって状況を悪化させたり、自分がトラブルに巻き込まれたりする恐れがある。そうした事態を回避するためにも、これらのポイントを労働者へ周知するような機会を、企業が定期的に設けることが望ましい。

 最近は担当者が独りで抱え込んでしまうといったケースもたびたびみられるので、そうならないためにも社会保険労務士を活用し、快適な職場環境の形成と企業の発展に是非結び付けていただきたい。

コーディアル社会保険労務士事務所 代表 高橋 美紀【福岡】