レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロがギターの未来を語る。さらに、彼が黒人であることを飲み込めず、バンドの政治性を(今更)批判するファンについても。

トム・モレロが先ごろ、ロサンゼルスの自宅からローリングストーン誌の取材に応じてくれた。ギターを軸にしたロックについて言えば、トム・モレロ自身は「消えかけの灯りに逆らって暴れている」のだという。ポッドキャスト「Rolling Stone Music Now」とビデオシリーズ「RS Interview: Special Edition」双方に収められた直近のインタビューで、数あるトピックと並んで、彼が手にした楽器の緊迫した未来について言及した。

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「90年代のはじめには、誰もがギターミュージックなんて終わったと確信していた」とモレロは語る。彼は新しいフォトブック『Whatever It Takes,』や、オーディオブック『Tom Morello at the Minetta Lane』のなかで自らのキャリアを振り返ってもいる。

「というのは、いまじゃDJがギターをサンプリングできるから、もうギターのプレイヤーなんか必要なくなるんだっていうね。だから思ったんだ。もし奴らのやってることを自分のギター、この2本の腕、マーシャルのアンプで演奏してやったらどうなるか試してやろう。DJを時代遅れにもできるかもしれない、って。それには失敗したんだけどね! 戦いに燃料を注ぐ方法だった。(2018年のソロ・アルバム)『ジ・アトラス・アンダーグラウンド』でやったのはまた別の方法で。ギターをこれまで同様にヘヴィに、これまで同様に同時代的に鳴らしたいと思った。今もヘヴィなギター・ミュージックを続けているよ。未来を見据えたものを」

「リフ主体のロックも、ギター・ソロも好き」と彼は続ける。

「けど、もう19枚もレコードをつくってしまったし、そういうことを自分で繰り返したくもない。ギター・ミュージックはジャズみたいな道をたどるかもしれないし、そうやってクラブでのショーに格下げされてしまうかもしれない。またライヴをやるようになったとしてもね――とはいえ、そうなってしまうともあまり思ってないのだけれど。だってCOVID-19以前は、レイジでもフー・ファイターズでもレッド・ホット・チリ・ペッパーズでもナイン・インチ・ネイルズでもいいけど、こういうアクトは未だにたくさんチケットが売れていた。だから、期待しているんだ。これまでに作られたなかで最も偉大な楽器と僕が信じるあの楽器を手にとる、未来の世代がいるはずだって。エレキギターを提げて、ディストーションペダルを踏み、コードを鳴らす。あんな感覚は他にないし、これまでもなかった。これまでになかったようなやり方で、爬虫類のDNAにも共鳴するんだ」

モレロは同様に、彼の人種的アイデンティティと政治に関する姿勢について、大衆がしばしば見せる奇妙な混乱についても語る。なぜ一部のファンは彼が黒人であることを飲み込めないのか、いまだによくわからないんだと彼は語る。彼が育ってきたなかで直面してきた、あからさまな人種差別を思えばなおさらだ。

「すごく、すごく興味をそそられるね。(イリノイ州の)リバティヴィルで育つと、家のガレージには輪なわがあるものだった。ある時、近所の連中が車のトランクを開けると、輪なわが入っていて、しかもそいつらは、みんな白人の街でたったひとりの黒人のガキを表現するのに使われると想像できる、あらゆる言葉を使っていた。トランクの中に入らないかって誘われたんだ。まるで僕はユニコーンみたいだった。みんな髪をしょっちゅう触ってくるし、まさか自分たちと同じくらい知的だなんてことがあるのかい、なんておおっぴらに訊いてきた。その後に所属していたロックバンドは白人アーティストばかりかけるラジオ局でも曲がかかったし、僕の出自も典型的なアーバンのそれでもなかった。それで、InstagramとかTwitterで黒人としての経験について言及するといつでも、一定の割合のファンがすごく騒ぎ出すんだ。『お前は黒人じゃないだろ!』みたいにね。地元に戻ってリバティヴィルに顔を出したら、もう僕はファッキン黒人なんだよ! 『嘘をついてるだろう』って言われるんだけど、なにを話したらいいかもわからないよ!」

モレロにとって少なくとも当惑の種であるのは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがずっとラディカルな左派のバンドだった、というかなり明らかな事実をどうもわかっていなさそうな自称ファンの存在だ。「みんな一旦座って、"認知的不協和"をググるべきだ。自分の生活に当てはまるところがあるかチェックできるところがあるだろうから」と彼は語る。

「(共和党の)ポール・ライアン。もちろん、あいつがその代表例。保守派のクソ野郎のポール・ライアンは自慢げにレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのファンだってうそぶいていた。珍しいことでもない。これははっきりと言っておくけれど、どんなファンでも歓迎。音楽を聴いたり好きになったりするのに政治的なリトマス試験紙はない。人々の暮らしのなかで、音楽が贖いの力としてあるのを見てきたから。自分の経験からいっても、つまり、自分は最も女性嫌悪的で、悪魔崇拝的なメタル・ミュージックで育ってきた……でもザ・クラッシュとかみたいなバンドが、先生たちがしてくれなかったような仕方で自分とつながってくれて、人生を変えるような真実を教えてくれた。そう、だから保守的な傾向のある人にこそレイジだとか『ジ・アトラス・アンダーグラウンド』だとかをぜひ聴いて欲しい。でもね、気をつけないといけない。スプーン一杯のわずかな砂糖にも、ちょっとしたクスリがついているんだから」

From Rolling Stone US.