ドナルド・トランプ政権下で台頭した「ミリシア」と呼ばれる極右武装勢力が利用するソーシャルメディア「My Militia」で、FBIビルの爆破を予告した男が逮捕された。

現地時間10日、当局は州をまたいだ恐喝容疑で米ニューヨーク州スタテンアイランド出身のブライアン・メイオラナ(54歳)を逮捕、起訴した。

裁判資料によると、検察側はメイオラナ被告がソーシャルメディアを使って抗議運動参加者や政治家に暴力をふるうと脅したと主張。メイオラナ被告は「『ターナー日記』を実現させなくては」という内容の投稿をしたようだ。『ターナー日記』とは連邦政府への抵抗を描いた1978年の小説で、白人至上主義者や極右過激派の愛読書。「FBIのビルを現実に爆破するのだ。選挙人制度が終焉を迎えた今……頭文字の略語で表されるすべての政府機関を狙った攻撃は日常茶飯事となるだろう」

「被告のような人間が、単に選挙結果への恨みから、選挙で選ばれた職員や合法的な抗議活動家、法の番人を脅迫している疑いがある時に、司法省は何もせず傍観するわけにはいきません」。ニューヨーク州東地区検事局のセス・デュシャルム連邦検事代理はこう述べた。メイオラナ被告の弁護人、ジェイムズ・ダロウ氏はローリングストーンのコメント取材を辞退した。

噂によると、メイオラナ被告はあからさまに暴力的な発言をしていたようだ。訴状によると、彼は数千人のユーザーが地元のミリシアとつながることができるWEBサイト「My Militia」に、Proud Patriot Sailorというハンドルネームでプロフィールを掲載し、武器についての情報を投稿していたとみられる。情報サイトViceによると、MyMilitiaの所有者は、イリノイ州ネイパービルで水道修理とカビ除去作業の会社を経営するジョッシュ・エリス氏。この春、ロックダウンに反対する抗議運動を主催した1人でもある。サイトは全米のミリシアや関係者を結ぶネットワーク網を形成している。また自作の手榴弾や火炎放射器、爆弾などの作り方をユーザーに伝授する『The Anarcihsts Cookbook(アナーキストの料理本)』と題したPDFを掲載するなど、武器製作に関する情報の宝庫だ。

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My Militiaのフォーラムは、連邦政府への反乱や憲法修正第2条万歳の煽情的な妄想にとりつかれた大勢のユーザーで大いに盛り上がっている。だが明らかに実用的な機能も兼ね備えている。カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校の憎悪犯罪・過激思想研究センターのブライアン・レヴィン所長は、近所のミリシア支部を探している人、あるいは新ミリシアの創立メンバーを探している人同士をつなげるという意味で「ミリシア連中にとってのTinderのようなもの」とたとえている。「サイト上の全員が爆弾魔だと言うつもりはありませんが」と、レヴィン所長はローリングストーン誌に語った。「もし私が爆弾魔なら、きっとサイトをチェックするでしょうね」(My Militiaにコメント取材を依頼したが、返答は得られなかった)。


大手ソーシャルメディアへの不満

My Militiaの人気スレッドは、現代の市民闘争の在り方を熱っぽく予想するものから、バイデン政権になれば武器が押収されて共産主義化するという根も葉もない主張をめぐる論争、はたまた極左グループAntifaに対して宣戦布告すべきか否か、といったものまで多岐にわたる。州のミリシアのスレッドに寄せられた投稿は、実際に行われるオフ会やイベント募集がほとんどで、ローリングストーン誌が見た限りでは暴力行為をあからさまに呼び掛ける投稿もいくつか見受けられた。「愛国主義者諸君、共産主義の独裁者バイデンと、奴のサンフランシスコの売女は、共産主義運動の手を借りて選挙をのっとった。我々はこの4年間戦ってきた以上に、共産主義者に対して抵抗に抵抗を重ねなくてはならない」という内容の投稿は、さらにこう続く。「世界がいまだかつて見たこのない光景を見せてやらねば」。極左への宣戦布告に関するスレッドには、「諸君、今年の狩りのシーズンは面白くなりそうだ」という投稿もある。別の投稿は、左派がバイデンに加担して選挙を「盗んだ」ことに言及し、「今回、最後の無血クーデターが行われた。こうした出来事の後は平和ではいられない。歴史をひもといてみろ。こうした出来事の後には必ず血が流れる。裁判所が機能しなくなれば他に行き場がないのだから」と書いている。

大手ソーシャルメディアネットワークから締め出された、と投稿するユーザーもいる。大手ソーシャルメディアではこれまで以上に、暴力やヘイトスピーチをあおる投稿を禁じるガイドラインを強化している。「政治犯罪者が縛り首になるのを見たい、と書いたせいで7日間FBから締め出された」 アリゾナ州のミリシアのスレッドで、とあるユーザーはこう投稿した。「あいつらは、この後自分たちがどうなるか考えたくもないし、思い知らされたくもないだろうな……(笑)」 FacebookやTwitterからの締め出しで、My Militiaでの活動が活発化するのは当然だとレヴィン所長は言う。「大手商業プラットフォームが取り締まりを強化すれば、ここなら大丈夫だろう、ということで、My Militiaのようなサークル的プラットフォームの重要性が高まるのです」

My Militiaが暴力事件と結びついたケースは、メイオラナ被告の逮捕が初めてではない。2017年にはマイケル・ハリというユーザーが、イリノイに拠点を置くミリシア「White Rabbits」のメンバーと共謀してインディアナ州ブルーミントンのモスクを爆破した。彼は逮捕の数日前にMy Militiaに投稿し、地元の町の住民を「搾取するFBIや警察当局」に対抗すべく、武器を取ってともに戦おうと全米のミリシアに呼びかけた。彼は無罪を主張し、現在公判中だ。


反ファシスト・キャンペーン「MyMilitiaChallenge」

『Cultural Warlords: My Journey into the Dark Web of White Supremacy(原題)』の著書でジャーナリストのタリア・ラヴィーン氏はここ数カ月間My Militiaを監視しているが、選挙結果を受けてサイトの文言が過熱しているのを恐怖のまなざしで見つめている。「この数週間、いくつもの新たな動きがありました。大勢の人々が大挙しています」。これをうけて彼女はただちに#MyMilitiaChallengeという反ファシスト・キャンペーンを立ち上げた。ミームやくだらない投稿でサイトをあふれさせ、一時的にサイトをクラッシュさせようという試みだ(エリス氏はLetFreedomRingというハンドルネームで、Antifa主導によるDDOS一斉攻撃があったと投稿し、ユーザーに警告した。だがラヴィーン氏はそこまで手の込んだものではないとして、こうした分類に反論している)。

同サイトのドメイン登録会社GoDaddyと、サーバーをホストする有限会社Fluid Hostingにネガティブなイメージを与えることも#MyMilitiaChallengeのねらいだ。同サイトはかつてPayPalのアカウントで寄付を募集していたが、PayPalからアカウントを削除されて久しい。とはいえ、他の企業は見て見ぬふりを決め込んでいるとレヴィン所長は言う(Fluid Hostingの代表者は、ノーコメントの声明を発表した。GoDaddyの広報担当者は、同サイトのドメインが登録されていることは認めたが、サイトのコンテンツがGoDaddyのサーバー上にないため、「弊社としてはこれ以上、コンテンツに関して手を打つことはできません」と述べた)。

「推測で恐怖をかきたてることを唯一の目的とする状況下では、こうしたサイトは無害とは言えません。アメリカで今、市民間の緊張状態が高まっていることを考えればなおさらです」とラヴィーン氏は言う。「緊張状態が高まり、銃を手にした人が横行するような状況は飛び火する可能性があります」。たとえ大多数ではないにせよ、サイトのユーザーの多くがやっているのはLARP――実質的には、国内テロのシナリオを想定したシミュレーション――だとしても、「武装集団を組織しようという意図は隠せません」と彼女は語る。

from Rolling Stone US





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