頂点への道を着実に歩むこと3年——。BTS(防弾少年団)が一過性のブームに終わらないことは明白だ。今後も活躍が期待されるBTSは、”ポップアイコン”という定義に対する世界の見方も変えようとしている。そんな世界的なスーパーボーイズグループのメンバーが、音楽哲学、パンデミック、最新作『BE』(11月20日発売)のインスピレーション源となった体験など、絶え間なく変化する「成功」について語ったローリングストーン誌インド版のインタビューを完全翻訳でお届けする。

この記事の執筆に取り掛かる前日、筆者(ローリングストーン誌インド版ライターのRiddhi Chakraboty)は、BTSの全楽曲を聴くことにした。ヒップホップ、ジャズ、ブルース、まばゆいポップスといった彼らのそうそうたるディスコグラフィーに耳を傾けるのは、まさか今回が初めてというわけではないが、そうすることで今回のインタビューの意義を改めて痛感した。

BTSは、世間が言うような一夜限りの流行などではない。BTSの音楽チャートのトップへの躍進は、まぐれの結果でもなければ、「熱狂的な」ファンや視聴の見返りに金銭を与える行為によるものでもないのだ。筆者は、BTSはどうやってここまできたのか? そもそも彼らは何がきっかけで注目されるようになったのか? などを必死に解明しようとする主流メディアの記事やYouTube上に遍在するリアクション動画を頻繁に目にする。そこには憧れから拒絶、執着から不信感といったあらゆる感情があり、すべては「どうやって?」と「どうして?」という質問に帰着する。

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BTSの音楽は、特定のグループをターゲットにしたものではない。彼らの楽曲は、人生の異なるステージを経験した、すべての人のためにあるのだ。学生時代の経験、友人との絆(深まったものや壊れてしまったもの)、両親の期待、社会が押しつけてくる役割など、BTSの歌詞は地球に暮らす人の多くが経験することを扱い、競争社会という、避けられそうにない宿命へとつながっている。こうした人生のステージをテーマにすることでBTSのメッセージの中核は、人間であることの意味の探求と壮大な宇宙のなかでの自分自身の立ち位置の理解に結びつく。韓国出身の7人の青年たちのファンになったり、彼らと自分自身を重ねたりできるのは、何も限られた人だけではない。極めて単純明快だが、BTSのレガシーはすべての世代が触れ、夢中になれるものでもあるのだ。


ローリングストーン インド版『The Ultimate Guide to BTS』
Cover photo by Yeongjun Kim.

BTSのメンバーとともに今回のプロジェクトに取り組んだ2カ月間、筆者はプロフェッショナルとしての彼らについて多くを学んだ。写真撮影、ビデオ撮影、プロダクション、さらにはニューアルバムのリリースにともなうあらゆる仕事が連なり、彼らは多忙を極めていた。それに加え、10月に開催を控えたライブストリーミング公演『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』のリハーサルも同時進行でこなしていたのだ。『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』により、BTSは2020年リリースのアルバム『MAP OF THE SOUL:7』のツアーとして予定されていながらも、新型コロナウイルスの感染拡大によって中止された公演をようやく開催することができ、同公演は記録的な収益を上げた。メンバーの超多忙なスケジュールにもかかわらず、すべてがローリングストーン誌インド版の締め切りに間に合い、記事のリリースの目処も立った。このことから、BTSと彼らのチームがどれだけ正確さとタイミングに重点を置いているかを筆者は思い知らされた。彼らは、多くのオーディエンスが後にも先にも気にしないような細かい点にもこだわっているのだ。だが、技能とチームワークに対するこうしたコミットメントこそ、BTSが地球上の他のアーティストと一線を画す理由でもある。

ラッパーのRM(ラップモンスター/アールエム)、SUGA(シュガ)、J-HOPE(ジェイホープ)、そしてボーカルのJIN(ジン)、JIMIN(ジミン)、V(ヴィ)、JUNG KOOK(ジョングク)から成るBTSがローリングストーン誌インド版の表紙を最後に飾ったのは、2017年9月——彼らが欧米の音楽チャートを席巻する前のことだった。当時のローリングストーンとの会話でBTSのリーダーのRMは、欧米のオーディエンスの間でBTS人気が高まっている理由は、流行に対する人々の熱狂にあると考察し、「世界のオーディエンスは、流行にもっと敏感なんだと思う。Billboardやポップミュージックの世界で何が起きているかわかってるんだ」と語った。それ以来、BTSは記録を破り、いくつもの新記録を打ち立て、(とりわけ有色人種や欧米以外の)ボーイズグループが波のように次々と現れては消えてゆく音楽業界でメジャーアーティストとしての地位を確立した。BTSは、アジア人男性とK-POP、さらには女性主体のファンを抱えるアーティストに向けられる先入観を壊し、かつては欧米の基準によって拒絶されてきたすべての人に門戸を開いた。頂点への道を着実に歩むこと3年、BTSが一過性のブームに終わらないことは明白だ。今後も活躍が期待される彼らは、ポップアイコンの定義に対する世界の見方も変えようとしている。BTSがすっかり定着したことには、一種の安心感がある。有色人種——とりわけ、見過ごされてきたアジアの人々——の足場を築こうと闘う彼らの姿勢は、私たちに力を与えてくれるのだ。


10月の数週にわたり、筆者はBTSと何度か連絡を取り合った。このインタビューは、インドと韓国を行き来する活気に満ちたやりとりであり、メンバーの超多忙なスケジュールに対応するため、数日間延期されていた。BTSのメンバーは、筆者が期待するより多くの質問の答えてくれたことはもちろん、いままで語られることがなかったアーティストとしての側面とアイデンティティについても話してくれた。そこには、特定の楽曲に取り組んでいるときの思考のプロセス、壮大な映画のような世界観のテーマの着想源となった恐怖、絶え間なく変化する成功の意味なども含まれる。他のインタビューでは話題にならないようなテーマを取り上げ、過去の作品とメンバーが経験した人生の捉え方の変化に焦点を当てた。私たちの世代のもっとも重要なアーティストのひとつであるBTSの創作の過程を垣間見せてくれる貴重な内容であり、筆者は何かとんでもなく大切なものを託されたような気分になった。

ーBillboard Hot 100(訳注:米Billboardが発表しているシングルチャート。「Dynamite」は9月5日付の同チャートで初登場1位を獲得)、初登場1位獲得おめでとうございます。「Dynamite」がこの偉業を達成する予感はありましたか?

V:「Dynamite」がここまで成功するなんて、思ってもいなかったよ。僕らはただ、この困難な時代にほとばしるエネルギーと希望のメッセージを伝えたかったんだ。目標を達成させてくれた僕らのファンことARMYのみんなに感謝している。

ーいままで日本語の歌詞の楽曲を頻繁にリリースしてきましたが、今回の「Dynamite」では思い切って英語でのレコーディングを行いました。英語での制作プロセスには、どんな違いがありましたか? 外国語でのレコーディングおよびパフォーマンスの難しさは?

V:英語の発音には、特に気を使ったよ。僕らにとって初めての全編英語の楽曲だからね。でも、全体的には楽しいプロセスだった。いつも外国語で歌うときは、メッセージを明確に伝えることにより重点を置いているんだ。

ー音楽チャートの成功の他に、ソロであれチームであれ、アーティストとして進化するための重要なターニングポイントは何だったと思いますか?

SUGA:世界中のオーディエンスの前でライブをし、ツアーを回るようになってから、アーティストとして一歩前進できたと思った。


「僕らの人生の栄養素として喜びと悲しみ、そして光と闇の調和が必要なんだ」——RM。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ーアルバムのタイトル・トラックを選ぶプロセスについて教えてください。タイトル・トラックは、アルバムをもっとも象徴する楽曲ですか? あるいは、他の要素も考慮されているとか?

RM:たいていの場合、アルバム全体のテーマをいちばん的確に表現しているのがリード・シングルだね。

ーRMに質問です。『LOVE YOURSELF 轉 TEAR』(2018)のライブストリーミングの際、「FAKE LOVE」のデモを披露してくれましたね。最終的にリリースされた楽曲と比べて、より荒削りでロックな雰囲気でした。作曲あるいは受け取ったデモから最終的にアルバムの収録曲になるまでに楽曲はどのような変化をたどるのでしょうか?

RM:メンバー7人が関わっているから、楽曲を最終的にリリースするまでにはいつも多くのことを調整するんだ。僕らのボーカルとトーンはかなり独特だから、曲の調(キー)についてみんなが合意するのが難しいときもある。でも、試行錯誤を繰り返しながらあれこれ試して、ようやくみんなが納得できるものを見つけるんだ。


ー楽曲をリリースした後のフィードバックの重要性について教えてください。どちらかと言うと、自分がやりたいことを世に送り出し、世間の評価は気にせず、自分を信じるタイプですか?

JIN:レーベル、プロデューサー、そしてファンの意見は全部大切だよ。彼らのフィードバックは貴重だ。だって彼らは、僕らのことを第一に考えてくれるから。でも、自分たちがオーディエンスに伝えようとするメッセージに集中するようにしている。だって、そもそも僕らが音楽に携わっている理由は、そこなんだから。外部からのフィードバックは、こうしたメッセージをさらに深掘りし、音楽にもっと反映させる上で僕らを助けてくれるんだ。


「正直なところ、自己受容と自信喪失は、あまり触れたくないテーマなんだ。僕のダークサイドを見せたくなかった。でも、プロデューサーのパン会長と話し合ったおかげで、ありのままの自分を表現できるようになった」——JIN。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ー楽曲に合ったフィーリングあるいは完璧なサウンド、レコーディングで重視するのは?

JUNG KOOK:僕は、俄然フィーリング重視だな。限界を決められるのは好きじゃないんだ。

ークリエイティビティやインスピレーションが途切れたときは、どのように対処していますか? プロダクションのスケジュールにプレッシャーを感じることは?

JUNG KOOK:なるべくプレッシャーを感じないように、自分のやりたいようにするよう心がけているよ。クリエイティブな気分のときは最高だけど、そうじゃなくても、それはそれでOKさ。

ーBTSの楽曲の多くは、”共感”がテーマですね。私は長年のBTSファンですが、きっかけは『花様年華』(2015)でした。このシリーズに取り組んでいた同時、ここまでの共感を得ると予測していましたか? これほどの反響が予想外だったとしたら、その理由は?

JIMIN:『花様年華 pt.1』のおかげで僕らは韓国の音楽番組でアワードを受賞し、ファンを増やすことができた。最初の成功がこれほどのヒットになるなんて誰も思ってなかったけど、BTSが前進する上での重要な足掛かりになった。そのきっかけがなぜこのアルバムだったかは、よくわからない。でもJINは、『花様年華 pt.1』のヒットを予測していたって言い張るんだ。というのも、J-HOPEが「これはヒットしない」っていう曲に限って当たるから。


ー時間の経過とともに、BTSの楽曲のなかで「成功」の意味が変化していくのが見事です。その代表例は、個人的には歌詞の使い方だと思います。「I want a big house, big cars, big rings(大きな家と車と指輪がほしい)」という歌詞は、デビュー曲「NO MORE DREAM」、『MAP OF THE SOUL : PERSONA』(2019)の収録曲「HOME」、『MAP OF THE SOUL : 7』(2020)の収録曲「Interlude : Shadow」など、数年にわたってBTSの楽曲で使われていますが、それぞれ意味が違います。それに加え、歌詞を変えて「I want」の部分を省略した別バージョンの「NO MORE DREAM」をライブで披露したこともあります。デビュー当時と比べて、成功の意味が変わってきているのでしょうか?

J-HOPE:若い頃は、デビューこそが成功だと思っていた時期もあった。自分が「成功」だと信じていたことを初めて経験したとき、何かが欠けていることに気づいた。それが僕の学びの旅の始まりだったんだ。成功について語るのはちょっと恥ずかしいよ。だって、僕はまだ学びの途中だから。成功の意味や基準は、人によってさまざまだ。自分で定めたレベルの成功を手に入れるために全力で努力するって考えることで心が休まる。これがいまの僕にとっての成功なんだ。

ーそれに付随してJ-HOPEに質問です。2018年のミックステープ『Hope World』(2018)に収録されている「Airplane」は、子どもの頃から夢見た人生を生きていることに気づいた瞬間を描いた楽曲だと前に語っています。すべてが非現実的に思えるような、そんな瞬間をいまも経験することはありますか?

J-HOPE:楽しいという純粋な気持ちから生まれた僕らの歌とダンスが世界中にここまでインパクトを与えたなんて、いまでも信じられないよ。誰もこんなことになるなんて思いもしなかったから、なおさら感慨深いよね。BTSがBillboard Hot 100のトップだなんて、いまだに信じられない。

ー『DARK & WILD』(2014)であれ、『花様年華』シリーズであれ、初期のアルバムを手がけていた頃のあなたは、思春期の青年でした。一人前の大人として成功したいま、こうした作品を振り返ってみて、若者が音楽から感じ取るべきものに対する見方は変化しましたか?

RM:もっと若い頃は、悲しみに対処するには悲しみしかないと思っていたけど、年を重ねたいまは、必ずしもそうではないことに気づいた。僕らの人生の栄養素として喜びと悲しみ、そして光と闇の調和が必要なんだ。

ー『MAP OF THE SOUL : 7』は、人間の心を形成するさまざまな要素を取り扱うと同時に、名声を築いてゆくBTSの変化とも深く結びついています。BTSのパーソナルな面を世界のオーディエンスにさらけ出すのは、大変でしたか?

J-HOPE:このアルバムは、7人のメンバーが一緒に歩んできた7年間を振り返っているんだ。いまの僕らを形作ったストーリーを語ったり、率直な方法で僕らの正直な想いを表現したりしている。例えるなら、過去7年間の壮大で緻密な日記を紐解くようなものさ。このアルバムは、ありのままの僕らをさらけ出している——こうした方法で自分たちを表現できることを誇らしく感じると同時に、とても恵まれていると思ったよ。


「若い頃は、デビューこそが成功だと思っていた時期もあった。自分が「成功」だと信じていたことを初めて経験したとき、何かが欠けていることに気づいた。それが僕の学びの旅の始まりだったんだ」——J-HOPE。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ー『MAP OF THE SOUL : 7』に収録されている「Black Swan」では、芸術への愛を失う恐怖が描かれています。これは、実体験にインスパイアされたものですか? それとも、未来の漠とした恐怖に関するものでしょうか?

JIMIN:以前は、自分のしていることに対する純粋な熱意が消え、タイトなスケジュールや責任に疲れ果てたあげく、いつかは「仕事」としてしか捉えられなくなることに恐怖を感じていたんだ。

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ー『MAP OF THE SOUL : 7』には、とりわけ『Skool Luv Affair』(2014)、『WINGS』(2016)、『O!RUL8,2?』(2013)といったアルバムや、「Sea」や「SAVE ME」などの過去の楽曲を想起させる素晴らしいトラックがたくさんあります。『MAP OF THE SOUL : 7』が2020年にふさわしいアルバムとなり、2020年にしかるべき形で原点に戻った理由は何だと思いますか?

JIN:2020年はBTSのデビュー7周年だから、アルバム制作中は一緒に過ごした7年間を振り返ることができた。思い出をたどり、このプロジェクトには「リブート」というコンセプトが自然としっくりくるように思えたんだ。


「BTSをもっとも必要としているときに、彼らは私たちの人生に介入してくれる」。BTSのファンの間では、このように言われています。これは、私がBTSの音楽に出会ったときにも当てはまることです。こうした発言や、音楽とコンテンツを通じて多くの人の命を救い、世の中に貢献してきたことに対して、どう思いますか?

ーSUGA:BTSがファンのみんなの人生を変えたと言う一方、みんなのおかげで僕らの人生も変わる。僕らが伝えることばと音楽の重みを理解することができて心から感謝しているよ。音楽をどれだけ愛していようと、この仕事においてもっとも大切なのは、人々に聴いてもらうことだって気づいたんだ。僕らのメッセージと音楽に耳を傾けてくれるファンに感謝しているよ。

ARMY(訳注:BTSファンの総称)とは、どんな存在ですか?

V:ARMYは、ミュージシャンとして僕らが歩む道を照らしてくれる光だね。ARMYなしにいまの僕らはあり得ないし、これからも僕らがもっといい音楽をつくる上での導き手とモチベーションであり続けてくれるよ。

ーRMに質問です。以前、誰かの痛みを「100から99、98、さらには97」まで減らすことができれば「それだけでBTSが存在する意味がある」と話していました。あなたが手がけた楽曲やパフォーマンスを見て救われたと人から言われると、どんな気分になりますか?

RM:僕にはこんなふうに言ってもらうほどの価値があるのかな? と疑ってしまう。でも、まさにこうした人たちが崖っぷちの僕の痛みを98、97に軽減してくれた。だから、僕らはお互い助け合っているんだ。

ーバラエティシリーズ「Run BTS!」、旅がテーマの「Bon Voyage」、リアリティ番組「In the SOOP」など、音楽以外にもさまざまなプロジェクトに携わってきました。そのおかげで、ここ最近はBTSのことをもっと深く知ることができました。こうしたシリーズを始めた理由と、そこから得た最大のメリットは何ですか?

JIN:こうしたプロジェクトは楽しいだけでなく、自然体のリラックスした僕らの姿をファンのみんなに観てもらえる。グループ内の絆も深まるよね。もう観てくれたかもしれないけど、「In the SOOP」の最新版では、韓国の絶景を一緒に堪能しながら、グループのメンバーとしてではなく、友人として旧交を温めることができた。

ーBTSではないときのあなたと私たちがスクリーンで目にするあなた、どうやってバランスを保っているのですか? 世間のイメージを守るのは大変ですか?

V:世間が僕に対して抱いているイメージが偽物なら、大変だろうね。でも、そうじゃないから全然苦じゃないよ。


「ARMYは、ミュージシャンとして僕らが歩む道を照らしてくれる光。ARMYなしにいまの僕らはあり得ない」——V。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ー小さな町と小さな会社というバックグラウンドにかかわらず、BTSは凄まじい成長を遂げましたね。BTSの先輩や先人たちが経験しなかった重要なステップの連続でした。この成功をどのように受け止めていますか? 師や導き手として尊敬する人物はいますか?

JUNG KOOK:最初の頃は、ここまで成功するなんて誰も思ってなかった。だからこそ、いまでも時々信じられないんだ。成し遂げたことにはとても誇りを感じているけれど、僕らがこの道を歩みはじめた理由を見失わないようにもしている。僕らにとってはパフォーマンスと音楽制作がすべてで、どれだけ成功してもこの方法で僕らのメッセージを伝え続けたいと思っているよ。最初の一歩から僕らを導き、いまの僕らへと成長させてくれたプロデューサーのパン会長には、特に感謝している。

ーBTSの最大の強みと、未完成な部分は?

JUNG KOOK:メンバー同士の関係が僕ら最大の強みだ。グループの透明性は、僕らがリスナーのみんなに発信している正直なメッセージを通じて楽曲に反映されている。個人はもちろん、グループとしても僕らは未完成であり続けるよ。どんなに努力しても、改善の余地はいつもあるって僕らは長年かけて学んだから。


ーBTSの社会奉仕活動への取り組みはとても有名です。国際連合児童基金(ユニセフ)とタッグを組んだLove Myselfキャンペーンは、その代表例ですね。社会奉仕活動に取り組むようになったきっかけは何ですか? 人に与えるというメッセージを今後はどのように広めたいと思っていますか?

RM:音楽であれ行動であれ、僕らは、かねてから世界にポジティブな影響を与えたいと思っていた。ユニセフのLove Myselfキャンペーンのようなパートナーシップのおかげでこの気持ちを広められたことに感謝しているよ。たくさんのチャリティ活動に参加しているARMYのみんなにもお礼を言いたいな。

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ーここからは、それぞれのソロ活動やハマっていることについて少し話していただきましょう。SUGAは、プロデューサーおよびソングライターとして多彩なアーティストの楽曲を手がけてきました。BTSのアーティスト兼プロデューサーのSUGA、ソロ名義のAgust D、EPIK HIGH、Suran、Heize、IUといったアーティストのプロデューサーとしてのSUGAの楽曲をどのように区別しているのでしょうか? それぞれの音楽のアプローチ方法に違いはありますか?

SUGA:この3つの役割がフォーカスしていることはそれぞれ違うから、アプローチ方法に違いがあることは間違いないね。BTSのメンバーとしては調和に、Agust Dの場合は音楽の荒削りさに、他のアーティストの場合はプロデューサーとしてマス市場における人気にフォーカスしているよ。

ー今年の5月に「The Philosophy of Agust D(Agust Dのフィロソフィー)という記事を執筆したのですが、そこではファンにとってAgust Dがどのような存在で、それが私たちの世代と社会のなかでどのような意味を持っているかを考察しました。あなたにとってAgust Dとは、どんな存在ですか? カタルシスのツール? 人類の救世主? それともまったく別の何かでしょうか?

SUGA:Agust Dは、僕という人物の一面に過ぎないよ。ひょっとしたら、本当の僕をより正確に表現する存在かもしれない。これは、僕が思っていることを自由に表現するための色んな方法のひとつだから、そこまで深く考えていないんだ。


「BTSがファンのみんなの人生を変えたと言う一方、みんなのおかげで僕らの人生も変わる。僕らが伝えることばと音楽の重みを理解することができて心から感謝しているよ」——SUGA。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ー個人的には、ミックステープ『D-2』(2020)に収録されている「People」が大好きです。この楽曲は人間がいかに無常な存在であるか——とりわけさまざまな経験を経て変化する人間の姿を歌っていますね。ここ数年であなた自身が変わった、あるいは進化したことで、特に誇らしく思っていることはありますか?

SUGA:僕らはみんな変化する。でも、当初の目的とか色んなことに固執しないといけないと言って変化を悪いものだと主張する人もなかにはいるよね。変化は人間にとって自然なもので、それがポジティブである限りは良いものだと思う。こういう考え方ができるようになれたことが嬉しいな。

ー歌のスキルアップとギター練習に取り組んでいると言いましたが、きっかけは何ですか? 進捗はどうですか?

SUGA:ずっと聴いてきた90年代のフォークミュージシャンみたいになりたいってふと思ったんだ。特定のジャンルに限定する気はないよ。もっと年を重ねたら、弾き語りができるようになりたいなって。ほんとそれだけ。


ーVに質問です。Twitterにクリップの断片を投稿したことをきっかけに、あなたのソロのミックステープに関する憶測が飛び交っています。クリップで披露したブルージーな雰囲気に加え、他にどのようなジャンルを探求しましたか? いままでリリースしたシングルとの違いは?

V:いまは、色んなジャンルを模索しているよ。広く深く、多彩なスタイルを試しているところなんだ、だから、もっとディープな楽曲はもちろん、いままで僕がやったことのないスタイルの楽曲も出てくるはず。

ーアートと写真への愛が音楽に影響を与えることも?

V:アート、写真、いまの気分——たくさんのことにインスパイアされているし、そのときの気分は必ず書き留めるようにしているんだ。

ー表現力に満ちた多彩なボーカルのトーンはもちろん、表情もとっても豊かですね。どちらもパフォーマーとしてのあなたの最大の強みです。これらは、もともと備わっていたのでしょうか? それとも努力して磨き上げたのですか?

V:色んな表情を試してみたよ。いっぱい練習したし、今後も練習を続けるつもり。色んなジャンルの表現ができる人になりたいんだ。

ーJIMINは、Vと一緒に「Friends」というトラックを手がけました。個人的には、Vはあなたの親友であるだけでなく、ソウルメイトだと思っているので、このトラックにはとても感動しました。制作にかかった時間はどれくらいですか? 1曲でふたりの関係を表現するのは大変だったのでは?

JIMIN:僕らの作曲スキルは、まだ少し鈍っているんだよね。だから、この曲を仕上げるまでかなり時間がかかった。でも、僕らにとっては楽しい体験だった。昔の記憶をたどってはひとつずつ曲に取り入れて、かけがえのない作品を作ったよ。

ーシンガーとしてのJIMINとダンサーとしてのJIMINの違いはありますか?

JIMIN:特にないよ! ふたつを別のものとして考えたことはないんだ。

ー規律と鍛錬——多くのファンは、あなたのこうした点を尊敬しています。卓越性を追求する上でのモチベーションは?

JIMIN:僕らを待っていてくれるファンの存在と、もっと優れたアーティストに成長した未来の自分の姿。


「以前は、自分のしていることに対する純粋な熱意が消え、タイトなスケジュールや責任に疲れ果てたあげく、いつかは『仕事』としてしか捉えられなくなることに恐怖を感じていたんだ」——JIMIN。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ーJINに質問です。ソロ曲「Epiphany」やBTSのアルバムシリーズ『LOVE YOURSELF』などを通じて、アーティストとしての自己受容と自信喪失を表現したいと思ったきっかけは何ですか? 「Epiphany」の歌詞では、「Im the one I should love(僕が愛すべき存在は、僕自身なんだ)」とさえ歌っています。いまのあなたは、自己受容という旅路のどの地点にいるのでしょうか?

JIN:正直なところ、自己受容と自信喪失は、あまり触れたくないテーマなんだ。僕のダークサイドを見せたくなかった。でも、プロデューサーのパン会長(訳注:BTSの所属事務所、ビッグ・ヒット・エンターテインメントのパン・シヒョク氏)と話し合ったおかげで、ありのままの自分を表現できるようになった。いまは、こうした僕の一面を受け入れ、自分自身を愛する方法を学んだと思う。

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ー自由時間で聴くお気に入りのジャンルは何ですか? こうしたジャンルをBTSでも追求したいと思いますか?

JIN:いちばん好きなのはポップス。でも、このジャンルにはいちばん自信がないな。グループとしてポップミュージックを探求するうちに慣れていくはずなんだけどね。


ー座右の銘は?

JIN:ハッピーに生きること。

ー次から次へと偉業を達成していますが、どのように今後の目標を設定していますか?

JIN:あまり深く考えてないよ。大好きな人たちといまを生きるだけでハッピーだから。Carpe diem(訳注:「いまを楽しめ」という意味のラテン語)だね!

ーRMは、2018年に2作目のミックステープ『mono』(2018)をリリースしました。この作品には、最初のミックステープ『RM』(2015)とは明らかに異なる無防備さ、オープンさ、やわらかさがありました。ソロアーティストとしての変化について詳しく聞かせてください。

RM:『mono』以後、僕のカラーとアイデンティティはふたたびガラリと変わった。でも、当時は僕のダークでモノクロームな一面を表現したかった。人生で同じような場面にいる人の癒しになっていればいいな。

ー「Namjooning(訳注:RMの本名キム・ナムジュンを使った造語)」という単語は、自分の時間を楽しんだり、自然のなかを散策したりすることとして、BTSファンの間ではすっかり定着しました。自信が発信した健康的なテーマをARMYが取り入れ、実践していることに対してどう思いますか?

RM:すごく感謝しているけど、同時に責任も感じてる。僕が音楽を始めたのは、自分のストーリーを語り、多くの人にポジティブな影響を与える存在になりたかったからなんだ。だから、今後も努力を続けてその成果を共有できたら光栄だな。

ーRMは読書も好きですね——執筆しようと思ったことは?

RM:読書しているときは、誰もが自分だけの専門分野を持っていることに気づくんだ。僕が本を書くかって? わからないな。でも、決してあり得ないアイデアではなさそうだから、もっと知識と経験を積んだら、いつか書くかもね。

ーJ-HOPEは、アーティストとしてだけでなく、自らの苦悩について語るときに若い頃の自分によく言及しますね。いまのJ-HOPEのどんなところを見て、若き日のチョン・ホソク(J-HOPEの本名)は誇らしい気分になると思いますか?

J-HOPE:パッションと夢を実現するための努力! ステージに立つ以外は、いままで何も望まなかったから、こうした意欲のおかげでいまの自分があるんだと思う。

ー「Blue Side」は、アーティストとしてのあなたのよりメランコリックで内省的な面を垣間見せてくれました。こうした面を今後もっと深堀りしようと思いますか? アーティストとして解放するべきダークなJ-HOPEがいるのでしょうか?

J-HOPE:人間として、誰もが闇を抱えていると思うんだ。音楽には、こうしたダークサイドを美しく表現できる機能があることに感謝しているよ。新しいジャンルを探求し、僕自身のストーリーを語り続けたいと思っている。その瞬間のために最善の努力をしているから、楽しみに待っていてほしいな。

ーJUNG KOOK、次の質問はあなたにぴったりだと思います。コンテンツづくりにおける最大の喜びと、最大の課題は何ですか? これは、純粋な音楽の範疇を離れたものなのでしょうか?

JUNG KOOK:何よりもまず、「カラー」とどれだけ自然に消化できるかがいちばん大事だと思う。それと、馴染みがあるけれど、どこか珍しくて新しい何かを見つけて、ベストを尽くして改善するのも大切——いつも難しいんだけどね。


ーあなたの撮影スタイルは、どんなメディアからインスピレーションを得ているのですか?

JUNG KOOK:特定のメディアにインスパイアされているわけじゃないんだ。撮影スタイルは、どちらかというと時間に左右されている。あることを試したらコンテンツが良くなるかもしれないけど、自然でエフォートレスな感じのほうが好きなんだ。そう考えると、僕の人生そのものがインスピレーションなのかも。

ーBTSとの人生を率直に歌った「Begin」と「My Time」が特に好きです。メンバーとともにスポットライトを浴びながら成長したのは、個人としてのあなたにどんな影響を与えましたか? 10年、20年、さらには30年後のあなたにどんな影響を及ぼしてほしいと思いますか?

JUNG KOOK:決して現状に甘んじてはいけないと教え、いつも改善と前進するよう僕にインスピレーションを与えてくれたのは、メンバーなんだ。歌、ダンス、撮影を通じて彼らと過ごした時間が徐々に僕という人格を形成したんだと思う。もちろん、ARMYは僕にたくさんのことを与えてくれたけど、メンバーと話したり、ステージに立ったり、食事をしたり、レコーディングをしたりといったシンプルなことがいまの僕を形作ったんだ。これからも前進する上で僕にとてつもなく大きな影響であり続けると思うよ。


「メンバー同士の関係が僕ら最大の強みだ。グループの透明性は、僕らがリスナーのみんなに発信している正直なメッセージを通じて楽曲に反映されている」——JUNG KOOK。Photograph courtesy of Big Hit Entertainment

ー『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』でステージに復帰したときの気分は? こうした「UNTACT(非対面)」イベントの最大のメリットは何だと思いますか?

JIMIN:オンラインコンサートという形でファンのみんなに再会できてワクワクしたよ。ARMYのみんなに直接会うことができたらもっと最高だけど、スクリーンを介してファンの姿を見たり、声を聞いたりしたときにすごく感動した。ファンと僕らの距離をようやく縮めることができ、最新技術に支えられた非対面コンサートという形で世界中のたくさんのファンとコミュニケーションを取れたことにほっとしたんだ。

ー『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』のプロダクションは圧巻でした。生のコンサートでは実現できないような、予想をはるかに超える特殊効果を交え、たとえ対面ではなくても、オーディエンスに忘れられない体験を提供しました。公演でもっとも印象的だった場面は?

V:僕が「Inner Child」を披露しているときにARMYのみんなを見てすごく感動したし、会えない寂しさが募ったよ。

ーパンデミックは、ニューアルバムの制作プロセスにどのような影響を与えましたか? このアルバムがいままでの作品と一線を画す理由は?

JIMIN:パンデミックのせいで当初予定していた計画の多くがストップしてしまった。でも、一歩下がって僕らと音楽に集中する機会を与えてくれた。この前例のない時期に感じたことをアルバムに反映させたんだ。それにコンセプト開発、作曲、ビジュアルデザインなど、プロダクション全体においても役割を担えた。

ーニューアルバムのタイトルを『BE』にした理由を教えてください。ニューアルバムが描く新時代は、現在までのBTSの進化をどのように表現するのでしょうか?

JIN:このアルバムは、いま僕らが生きている時代を綴った日記みたいなものなんだ。タイトルの『BE』は「being(存在すること)」を指し、僕らがいま感じている気分や想いを誠実に捉えている。誰もが楽しめるクールでリラックスした楽曲も満載だから、このアルバムが多くの人にとっての癒しになったらいいな。音楽を通じて現代を表現できるアーティストとして成長する機会を与えてくれるアルバムだと思うよ。

ーニューアルバムのリリースを控え、『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』公演を終えたばかりですが、相当な確率で今後も記録を破り続けるでしょうね。2020年もそろそろ終わりですが、いまの気分は? 締めの格言があればぜひ!

J-HOPE:みんなもうなずいてくれると思うけど、2020年はまったく予定通りに行かない年だった。現状がこうでなければ、ツアーで世界中を回っていたのに。でも「Dynamite」をリリースし、Billboard Hot 100で1位を達成できた。数え切れないほどの山あり谷ありのなか、僕らは「人生は続く」ことに気づいた。そしてこれは、ニューアルバム『BE』を通じてみんなに伝えたいメッセージでもあるんだ。このアルバムがみんなの癒しと心の拠り所になることを願っているよ。

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