トーべヤンソン・ニューヨーク(TJNY)のギタリスト、アートディレクター/グラフィックデザイナー森敬太による連載第10回は、TJNY名誉メンバーのtofubeatsを招集。あふれでる余談を増量版としてお届け!(2021年5月20日、オンラインにて収録)

座談会参加者 : 森敬太(ギター担当、グラフィックデザイナー)/オノマトペ大臣(ラップ担当、サラリーマン/ラッパー)/西村ツチカ(ギター担当、漫画家)/澤部渡(ドラム担当、ミュージシャン)/唐木元(ピアノ担当、ミュージシャン)/玉木大地(キーボード担当、プログラマー)/金子朝一(ヴォーカル/ホイッスル担当、編集者)/mochilon(ベース担当、ミュージシャン)/tofubeats(名誉メンバー、音楽プロデューサー)

※この記事は2021年6月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.15』に掲載されたものです。

・すべてが終わった合図です

森:朝一くん久々に見たけど、なんか芸人っぽさが異常に増してるよ。そういうカルチャースクールでも通ってんの?

金子:自分でも薄々は感じてますよ。QBハウスで髪切ったからかな。

大臣:それも芸人っぽいなー。

tofu:逆にみんなQBハウス以外で髪切ってるんですか?

森:スッとそのポジションから発言できるのすごいね。

tofu:逆にQB以外だとどこで切ってるのか聞きたいんですけど? 

森:自信たっぷりに問いかけたらいいっていうものじゃないよ。QBハウス行ったことあるけどさ、説明のない独自ルールが多すぎない? あれは素人にはかなり難しいよ。

金子:店の前で赤いランプが発光してる時ありますよね。緊張感ありますよ。

森:タクシーの場合だとあれは「暴漢に乗り込まれたので通報してください」のサインだもんね。

大臣:入ったら入ったで、券売機で戸惑うんですよね。ボタン1個しかないのになんで押させるんだろうって。試されてる気持ちになりますね。

tofu:いや、それは昔の話です。今はボタン2個あるんですよ。シニア料金と一般料金。

一同:(笑)。

西村:シニア料金っていくらなんですか?

tofu:1100円です。一般料金は1200円。

金子:微妙な差ですね(笑)。

大臣:で、なんとか切り終わったと思ったら突然頭を掃除機で吸われる(笑)。やや屈辱的ですよ。

森:掃除機でゾンゾン吸われて、一体これはなんなんだろうって混乱してたら、突然ヌッとプラスチック製のクシを手渡される(笑)。

tofu:それがすべてが終わった合図です。

澤部:システマチックになりすぎてて何もわからないですよ聞いてても。

森:QBハウスで働いてるパンクっぽい理容師さんってたまにいるじゃん。あの感じが一番怖いよ。人として。

一同:(笑)。

大臣:確かに迫力感じますね。

森:俺が今までの人生で目にした切ない光景TOP10に入るんだけど、QBハウスでカット椅子に座ったおじさんが、軽く雑談入れるテンションで「昨日髪の毛洗ってないんですけど大丈夫ですか?」って口火切ったら、「基本ダメなんで次からは絶対洗ってきてくださいね」って強めに理容師に言われておじさん元気なくなっちゃって。突然目の前で悲哀の大型爆弾が爆発したような光景が展開されて情緒が滅茶苦茶になったよ。

一同:(笑)。

tofu:正直に自己申告してしまったばかりに(笑)。

大臣:いや、きっと日常茶飯事だと思いますよ。QBハウスでは。一発で返金して退店させるボタンもあると思います。髪洗ってないやつを帰らせる専用ボタン。

澤部:どこまでもシステマチックだなー(笑)。


・まだ汚れていない光

森:あ、唐木さんが来たね。恒例の「NYは今何時」から始めますか。

唐木:5時50分だよ……。

一同:おはようございます!

森:眩しそうですねー。朝日に照らされて顔がガンガンに発光してますよ。

唐木:朝の光…まだ汚れていない光……。

玉木:急に詩人になった(笑)。

森:全員揃ったし、なぜtofubeatsがここにいるかっていう経緯を説明しないといけないね。

tofu:俺も分かってないですよ。TJNYの機材として、かつては名を馳せてましたけど、登板しなくなって10年くらい経つのに突然呼ばれて。

大臣:俺たちも登板していないからさ。まだ機材リストには入ってるよ。

森:結成当初からオノマトペ大臣の使用機材としてTJNYに組み込まれてるんだよねtofuくんは。我々が最初に出したCDにも名誉メンバーとして参加していただいて。

もち:いっぱい出してるバンドの人みたいな言い方してますけど、出てるのシングル1枚アルバム1枚です。

森:それから10年余、我々のバンド活動も移り変わってきて、スタジオ、ライブハウスから座談会をメインフィールドとするようになって……。

一同:(笑)。

tofu:すっかりRolling Stone Japanのレギュラーとして(笑)。

森:昔はライブも結構一緒にやってたもんね。ステージ参加率は25%を超えてるんじゃない?

金子:母数が少なすぎて卑怯な数字が出てますよ。

大臣:数字は嘘をつかないからね。誰がどう見てもメンバーだよ。

tofu:疑う余地は無いですね。

森:なので今回はオリジナルメンバーtofubeatsも一緒にやりましょう。TJNYアワード2021上半期。



・A級サラリーマンライセンス

森:注目ニュースを半年分まとめてあるから、12月から見ていこうか。何があったかな。「査定額が低く逆上した40代男、ブックオフに放火 」(笑)。

tofu:もっといろんなことあったでしょ。激動の2020年年末。

森:この40代男、ちょっと誰かの未来の姿っぽい感じがするのがいいね。

金子:そう思うと急に情感を帯びてきますね。

大臣:ブックオフの買い取りっていうのは交渉の場ですからね。敗北したからって暴力を行使してはだめですよ。

澤部:交渉の余地あったっけ(笑)。

大臣:どれだけ泣き落としにかかれるかっていうのはやっぱり大事ですよ。表情とか服装にも工夫が必要になってくるし。

森:そんな芸術点みたいなポイントあるんだ(笑)。

玉木:この放火した人、テレビ2台持ち込んで200円だったらしいですよ。

森:あー質量だね。金額よりも質量が効いたよそれは。

西村:でも火つけるほど怒るのすごいな(笑)。

tofu:そっちの手間の方がありますよね。

大臣:火をつけるのにもお金がいりますからね。火種と燃料。ライターで130円とかでしょ。油でまた100円以上かかる。もう赤字が出てるじゃないですか。

西村:もっと大規模に失っているものありますけどね。

大臣:これが本当の火の車ですよ。

一同:出たー!

澤部:すごいなー今の!

森:本当にすごいよ。完全に態度が完成されてるよね。組合の寄り合いで急に冗談を言うおじさんとしてさ。

大臣:真面目な会議でもたまにダジャレ言ったりしますね。すごい真面目な雰囲気のなかで。

西村:いいなぁ。

大臣:とっておきの労組ギャグとか持ってますよ。

森:A級サラリーマンライセンス見せつけられたなー。

tofu:ミュージシャンとしてやっていく上で今一番必要とされている能力ですよ。

澤部:分かるなー!

森:売るわけにはいかないけど、中古屋に持って行ったら結構な額になるだろうってもの持ってる人いるでしょ。みなさんの職業柄。

西村:ないなぁ。

唐木:いけるでしょ西村くんは! 自分の原稿持ってったらいいんだから。

西村:吾妻ひでお先生がやってた手法! 盲点でした。

森:15年とか前の話になるんだけど、古本屋でバイトしてた時は架空サイン本をよく作ってたよ。

tofu:その話、okadadaさんから聞いたことあるな(笑)。

森:あまりにも暇なんで、出勤したら倉庫から廃棄予定の本の束を持ってきてさ、1日かけてサインを書くんだよ。「今日は三代目魚武濱田成夫に挑戦してみるか……」とか言って。それをちゃんとした値段で売るのはさすがに気まずいから、3冊100円のコーナーか、ご自由にお持ちください箱に放出するの。買った人が気持ちよくなってくれたらいいなと思いながら。

西村:善意でやってたんすか(笑)。

森:100%善意だよ。

大臣:狂ったあしながおじさんじゃないですか!

玉木:こんな狂人が店側にいるなんて普通考えもしないですよ。古本買うのも怖いですね。

tofu:もう少し悪びれてくださいよ!

森:ごめんごめん。人生の大切な時期の話のひとつだからさ。

西村:いい話みたいな言い方したね。

森:いやだって、『スーパードクターK』に池波正太郎のサインが入ってても真に受けないでしょ。そういう要素と要素の組み合わせから生じるスウィート・スポットを見つけることができるかどうか、それが一流の古本屋バイトと一般古本屋バイトの分水嶺だよ。

金子:職業観が独特すぎますよ!
 

・例えばの話

森:澤部くんが着てるXTCのTシャツ見たら思い出した。今、中古バンドTシャツ市場がとんでもなく高騰してるんだよね。

一同:へぇー

森:ダイナソーJr.のTシャツが7万8千円とかで売ってんの。

tofu:バイヤーみたいなのがいるんですよね。

森:そうみたいなんだよね。原宿の古着屋とかのブログとか見てると、「デヴィッド・ボウイのTシャツが入荷しました。14万円です」とかさ。そういうことが平常のテンションで書いてある。

澤部:すごいなー! それは当時のヴィンテージってことですよね。

大臣:それ、昔のやつだけなんですか?「羊毛とおはな」のTシャツじゃだめなんですか?

一同:(笑)。

tofu:なんでそこなん!?

大臣:例えばの話ですよ。

森:例えばにしてもだよ。

唐木:それ7万で売ってたらどう思う?

西村:めちゃくちゃ気合い入ってるファン向けですね(笑)。

澤部:国内のバンドTシャツが値段上がってるのは見たことないですよね。

大臣:TJNY Tシャツは高騰してないんですかね。

もち:今メルカリ見てみたけど、CDが出てるだけですね。

森:「西村ツチカ」で検索してみようぜ。なんか出てくるかな。

玉木:『ちくまさん』のサイン本が3999円で売れてますね。

森:「新品・未使用」っていうのがまた胸に迫るものがあるね。

西村:これも森くんがサイン書いたやつじゃないんですか?

一同:(笑)。

森:西村くんのサインは難しいからなー。絵描いてあるし。

大臣:あー西村さんはサインするとき絵描きますよね。ごちゃごちゃと。

一同:(笑)。

澤部:言い方(笑)。

大臣:容易に真似できるレベルのもっとシンプルなサインにしたほうがいいんじゃないですか? 仲間を思う気持ちがあるなら。

西村:そういう種類の気持ちは感じたことないですね。

一同:(笑)。



・いきなり未加工の

森:NYはもうみんな外に出たりしてるの?

唐木:一気に緩んだね。俺も毎週イベントやってるよ。

森:超楽しそうじゃん!

西村:Instagramで見て、もうあんなのできるんだと思ってびっくりしました。

唐木:あれね、ちょっとインチキなんだよやっぱり。

森:インチキ? 「孫会員」とかそういう単語が出てくるタイプの話?

唐木:たまたまカフェでミュージシャンが隣り合ってしまって、たまたま演奏が始まってしまったっていう体裁なの。

一同:(笑)。

西村:自由恋愛ですみたいな(笑)。

大臣:うわー急にセッション始まっちゃったしなんか盛り上がってるよーみたいな態度で店にいるんですねホストの唐木さんは。

金子:それなら咎められないんですね。

唐木:一応、咎める理由がないような建てつけにしてある。

森:例えばさ、騒音とかで警察が来て、真顔でそれ言ったら帰るの?

唐木:この間警官が入ってきて、一瞬ビビったんだけど、「いいイベントだね」って。

森:わー! アメリカのいいところ出たね。

唐木:いやでもね、やっぱりこの、ちょんの間メソッドはさ……。

一同:(笑)。

森:ちょっと! なんでいきなり未加工の言い方出すんだよ!

tofu:誰もが明言を避けてたのに!(笑)。

西村:気遣い返してくださいよ!

森:でもほんとうらやましいよね。今の日本からしたら想像できないもん。唐木新地みたいなことは。早くワクチン打ちたいよ。

唐木:俺打ったよー。副作用も別になんてことなかった。翌々日に筋肉痛が出たくらい。

森:ジジイのボーリングみたいですね。


・13mのイカ

森:「新型コロナ対策の臨時給付金で巨大なイカのモニュメントを設置・石川県」。これ光ってたね。

大臣:最終的にBBCのニュースで取り上げられましたよね。

森:意外だったのが、モニュメントが完成したら茹で上がった色だったんだよね(笑)。完成予想図では活きがよさそうな透明感がある色してたのに。

澤部:いいですね〜。

玉木:話題になったから結果的によかったと思うんですけど、自分の地元でアレやられて話題にならなかったら相当嫌じゃないですか?

森:そういう類の話は最も好きだな。実は地元に誰も話題にしなかった巨大なイカのモニュメントがあるっていう話。その人の人生輝いてるよ。

tofu:あらためて見たら、でか! 全長13m!

澤部:行政主導の仕事に思えないのがいいですよね。狂った市民が勝手に建てた凶像感が強く出てる。

森:あるねその感じ! もう一回完成写真見てみよっと。わ、すごいいいじゃん、これ! 口の中に入れるようになってるぞ!

もち:総工費2700万円。

大臣:いやー躍動感すごいなこれ。足の。足多いし。

森:イカだからね。死んだ色だけど。

澤部:あらためて完成したときの記事を読んだんですけど、モニュメントを見た人の声を紹介してて、見に来た地元の鮮魚店の店主のコメントが「これはこれで、ひとつの売りだから……。せっかく出来たイカの駅の売りだから……」って。

一同:(笑)。

tofu:三点リーダー終わり(笑)。

西村:諦観を感じますね。

森:昔の人だったら俳句読んでただろうね。あとみんな麻痺してきてるみたいだけど、「イカの駅」っていう異常ワードを聞き逃しちゃいけないよ。

大臣:このモニュメント、コンセプトが「食うか、喰われるか」なんですね。

一同:(笑)。

森:そんなわけなくない?(笑)。

大臣:いや記事にちゃんと書いてありますよ。「主な機能として、イカの口の中に入ることができ、モニュメントに食べられる疑似体験ができます。腕に巻きつかれて、捕まる体験ができます」。

森:「できます」じゃないよ。なんか怖くなってきたな。

tofu:でも、いいですよね。モニュメントとしては優秀じゃないですか。中に入れて、腕も巻き付けられて。神宮前とかにはこういうの置いてあったほうがいいですよね。

森:特に都心には巨大なイカが必要だよね。


・力を増す占い

森:やっぱりこれは見逃せないかな。「ゲッターズ飯田、M-1制したマヂカルラブリーの運気『そんなに強くなかった』」。

澤部:ゲッターズ飯田を許さない勢の筆頭としては引っかかる所があるんですか?

一同:(笑)。

森:元芸人なんだから運気の前にまずネタの話をしろよ!っていうツッコミをもはや誰もしなくなってる怖さだよね。背筋が凍るよ。

大臣:え! ゲッターズ飯田って元々芸人なんすか?

森:その前提を知らない人が現れるほどあいつの占いは力を増してるんだよ! ゲッターズってコンビの飯田ってやつだよ!

大臣:ビビる大木パターンなんですか。

西村:カンニング竹山パターン。

大臣:トミーズ健パターン。

森:HEY!たくちゃんパターン。

金子:HEY!たくちゃんは全然違いますね。

tofu:なんでそんなにこの連載はゲッターズ飯田を目の敵にしてるんですか(笑)。

大臣:前に仮面してるやつにろくなやつはいないっていう持論展開してましたよね。唐木さんと2人で。

tofu:たしかに顔を隠すっていうのは、そういう心のあらわれですからね。うしろめたさというか。

森:検索したらマスク外してる画像もそこそこ出てくるっていう、この詰めの甘さもまた……。

tofu:このマスクをゲッターズの元相方が縫ってるという感動のストーリーは無いですかね。

森:無いよ。

一同:(笑)。

大臣:ゲッターズ飯田は操られてるだけで実は気のいいやつだとかはないんですかね?

森:誰に操られてんの? 細木数子?

大臣:ゲッターズの元相方ですよ。ゲッターズ山中かなんかに。

一同:(笑)。

もち:Wikipedia情報だと元相方のゲッターズ津村は解散後、芸能界を引退だって。

西村:知らないことが多くていろいろ勉強になりましたね。

tofu:西村さん、感情ゼロで急にまとめに入るのすごいですね。



・微粒子の目からこぼれ落ちる一粒の小さな涙

澤部:「ユリ・ゲラー、スプーン曲げをしながら新型コロナのワクチンを接種」。一貫した芸風のある人の強さが見えましたね。

もち:ユリ・ゲラーはこの後、パナマ運河で座礁した船も動かそうとするんですよ! 超能力で。

森:これ、記事が秀逸でさ。「ワクチンがゲラー氏の体に入り終わった瞬間、スプーンの首が折れ、床に落ちて澄んだ軽い音を立てた」みたいな。ちょっといい雰囲気の文章で締めくくってて、ペンの力を感じたね。

大臣:じゃあ、彼は本物の超能力者だったってことですか?

一同:(笑)。

森:ピュアすぎて色々心配になるよ!

大臣:だって、スプーン折るのはすごいし、船動かそうとするのはやっぱり本物しかできないですよ。

森:冷静な分類をするとゲッターズ飯田と同じ箱に入る人だよ。

tofu:でも、心意気はいいですよね。世界の重要な問題を解決しようとしてますから。座礁船にしろワクチン接種拒否にしろ。ゲッターズ飯田はワクチンいつ打てるか占ってないし。

唐木:ワクチン占い、そのうちやるんじゃない?

澤部:モデルナ製よりファイザー製のほうがあなたの運気的にはいい。

森:ただ、どれでも効くことは効く(笑)。ゲッターズ飯田のやり口だとそう付け加えるね。

tofu:今ユリ・ゲラーがワクチン打ってる動画見てますけど、全然注射された途端にスプーン折ってますけどね。

一同:(笑)。

tofu:これは記者がプロだったってことですね。

大臣:歴史はこうやって紡がれていくっていう好例ですね。

森:神話が成立した過程ってだいたいこういうことなんだろうね。

西村:動画見たらめちゃくちゃ勢いよく折れてますねスプーン(笑)。吹っ飛んでますよ。

一同:(笑)。

大臣:やっぱり本物じゃないですか。百歩譲って腕力でどうにかしてるとしても相当な力持ちですよ。

森:その方向から褒める人世界規模で見ても珍しいと思うよ。

澤部:ユリ・ゲラーのCDがあるんですけど、最高なんですよ。

大臣:CDまで出してるんですか! いよいよ本物だな。

澤部:全編日本語なんですけど、特に「本当にお答えできないのです」って曲がすごくて。

森:あれいいよね! 原題は「I Cannot Answer You」(笑)。質問に答えられないから都合が悪くなって急に変な方向に話を変えるんだよね(笑)。「本当にお答え出来ないのです……。微粒子の目からこぼれ落ちる一粒の小さな涙……」とか言って(笑)。

澤部:感動して歌詞打ち出しましたもん。

もち:スカート澤部渡の詞世界にも影響を与えたユリ・ゲラー。

一同:(笑)。

tofu:このCD、LD&Kから出てるんすね。

唐木:ライナーノーツ、常盤響さんが書いてる。

西村:渋谷系なんですかね。

金子:絶対違うでしょ(笑)。

澤部:でも、いわゆるモンドですよ。だから渋谷系ですよ(笑)。

西村:LD&Kはシンバルズもいたし。

大臣:すごいな。渋谷系の文脈で今まで捉えてなかったわ。

森:そりゃそんな捉え方する人はいないからね(笑)。

大臣:大発見じゃないですか。ユリ・ゲラーは本物の超能力者。並外れた力持ち。そして渋谷系ミュージシャン。


・詐欺師だよ

大臣:「ガリガリ君の当たり棒偽造、43歳会社員逮捕」。このニュースすごいですね。

森:これ調べたら、ただガリガリくんがもう一本もらえる棒を偽造したって話じゃないんだよ。

大臣:ガリガリ君をマジで好きすぎる中年が一線を超えたっていう話じゃないんですか?

森:ポケモンとコラボした、特別なカードがもらえる当たり棒を偽造したんだって。今でもメルカリで検索したら、4万円くらいで出てたりすんの。棒が。

大臣:あーじゃあ投資家だ。

森:違うよ詐欺師だよ。

tofu:示談に持ち込んだのかな?

玉木:赤城乳業と?

tofu:書類送検くらいですんだってことですね。

森:さっきからチラチラ見えるtofuくんの軽めの刑法の知識はなんなの?

大臣:あやしいな!

tofu:俺は完全にクリーンなんですけど、なんか最近本とか読んでて覚えたんですよね。俺は完全にクリーンなんですけど。


・私は一体どうしたらいいんですか

玉木:「元号変更により、免許のうっかり失効急増」。

澤部:TJNY、うっかり失効者がめちゃくちゃ多かったんでしたっけ。

tofu:運転免許ってそんな失効とかします?

森:森、西村、玉木だね。もうすぐ与党になる感じだったよね。

西村:野党第一党ではありますね。

tofu:日常的に車乗らないと更新忘れそうになる気持ちは分かりますよ。

西村:コロナだしね。仕方なかったところはあります。

大臣:西村さんが失効したのずいぶん前でしょ! 全部コロナだしでなんとかしようとしてる(笑)。

tofu:コロナ禍の特例で更新の猶予が3カ月のびるとかあったじゃないですか。改元との合わせ技で混乱する人多かったでしょうね。

森:平常時でも、失効しても半年以内とかだったら学科試験と技能試験無しで取り直せたりする。そういう割と寛大な救済措置はあるんだよ。でも、マジで諸々クソだから全部ぶっちぎって地獄に落ちたのがこの3人。

tofu:うわー壮観。

澤部:でも、僕も今年やりかけましたよ。12月6日生まれなんで、1月6日に失効なんですけど、1月6日の夕方4時くらいに気づいて。

tofu:当日の夕方4時で間に合うんですか!?

澤部:新宿で車を運転してる時に突然気がついたんですよ。3秒くらいで路肩に止めて、すぐ免許センターの番号調べて電話して。「こういう状況なんですけど、私は一体どうしたらいいんですか」って。

森:極限まで慌てた人が稀に見せる異様に冷静な行動の一例だね。

一同:(笑)。

澤部:ちゃんと対応してくれましたね。「あなた今新宿にいるって言いましたよね。そこから数百メートルの新宿警察署まで行ってください。今コロナだから延ばせます」って。

森:澤部くんが気づくのがもうちょっと遅れてたら、政権取れたのにね。

西村:牙研いでおきましょう。

澤部:コロナで救われた唯一の話ですよ。唯一の……。

森:含みがあるなー。



・直感的な思考しかできない

森:西村くんが挙げてたニュース全裸系が多かったね。まずは「NY地下鉄 乗客を突き落とした全裸の男、線路で感電死」。

tofu:なにこのニュース!

金子:一読しただけじゃ誰が死んだのか分かんないですよ。

tofu:記事読んでみると、もう一人登場人物いますね。救助に入って全裸の男にパンチを打ち返した男性。

森:あと死神ね。

唐木:その日一日中ニュースで、全裸の男が暴れる5秒くらいの動画が延々ループされてたよ。

澤部:アメリカでもそんなバイキングみたいな番組あるんだ(笑)。

tofu:やっぱりこういうニュースが流れたあと、NYの坂上忍みたいな人がなんか言ったりするんですか?

大臣:そりゃそうでしょ。「これ、ちょっとどうなの〜? ねえマコちゃん」。

一同:(笑)。

金子:変に似てる(笑)。

森:大臣は見てるもんなぁ、バイキング。

大臣:どうしても見てしまうんです。

澤部:ヒルナンデス否定派ですもんね。

大臣:ヒルナンデスは狂ってるから。あれは。

森:ラヴィット!もだめなんでしょ。

tofu:だめなんですか!?

大臣:だめだね。お惣菜の話ばっかするじゃん。変だよ。

一同:(笑)。

tofu:ちょっとまだ様子見ですけど、ラヴィット!は、俗っぽいもの以外は意地でも扱わないっていう気合いを感じて好感持てますけどね。あさイチでもたまに真面目なテーマ扱いますけど、ラヴィット!は徹底して美味しい缶詰の話しかしないんで。

森:特殊な気合があるね世の中には。

玉木:「自動車免許の合宿所内を全裸で歩き回った男逮捕『直感的な思考しかできない』」。これも西村さんが貼ってましたね。

西村:何の思い入れもないですけどね。

森:「直感的な思考しかできない」(笑)。

西村:かっこいい供述ですよね。

tofu:しかも、これ我々の地元神戸なんですね。神戸市中央区の教習所。

西村:じゃあ俺が通ってたところだ!

大臣:後輩じゃないですか!(笑)。西村先輩!

tofu:やっぱ、いるな〜神戸は。

森:真っ直ぐな供述ができる立派な後輩じゃん。たまたま全裸なだけで。


・相撲取りの顔

大臣:森さん一時期、時津風親方に執着してましたよね。

森:顔が好きなんだよね。日本犬みたいで。「時津風親方、麻雀打ってない」「時津風親方、麻雀認める」っていう見出しが1日差でこの顔と一緒に出てきたのがすごいかわいくて(笑)。

澤部:いいニュースでしたよね。

tofu:ちょうどいい詭弁具合ですね。

大臣:たしかに誠実そうな顔してますよね。

森:待ってる時の犬っぽいんだよな。

澤部:「雀荘は行ったが麻雀は打ってない」(笑)。誠実じゃないと逆にこんなこと言えないですよ(笑)。

森:問題の根本を誤解してそうなとこも推せるよね。麻雀打たなければ緊急事態宣言中に雀荘に出入りしてもいいって立場でもないしさ(笑)。

西村:この後、時津風親方はどうなったんですか?

森:スッと退職したよ。同時期に風俗にも行ってたことが明らかになって。

一同:(笑)。

西村:僕が好きな朝乃山関も、緊急事態宣言中のキャバクラ通いを一旦は否定したんですよね。それで一転して認めたからより処罰が重くなった。

森:力士特有なのかな。徳俵的な考え方だよねこれって。

大臣:徳俵(笑)。土俵際で踏みとどまって大逆転する流れの立ち会いが頭をよぎるんでしょうね。

森:なんで急に朝乃山が好きになったの? 相撲好きだったっけ?

西村:本当に急になんですけど、今場所から見始めました。相撲全然詳しくないんすけど、目に入った朝乃山関の顔が気になってずっと見てたんですよ。

大臣:なんでみんなそんなに相撲取りの顔が気になるんだ。

西村:なんかめちゃくちゃ暗い顔してるんですよ。勝っても辛そうにしてるのが目について。

大臣:ああ、悪い男に惹かれる的な。

西村:影のある大関ってかっこいいなって思って。

一同:(笑)。

西村:今思えばその件で文春に突撃されたからだったかもしれないですね。


・よりによって

森:次はこれかー。「在宅勤務中に堺市職員が映画館で映画鑑賞」。これ、よりによって『新解釈・三國志』観てたんだよね(笑)。

tofu:やっぱりここで福田雄一監督作品見るのがいかついですよね。これ以上は言及控えますけど。森さん、『新解釈・三國志』見てくださいよ。

森:いやだよ、なんでそんな自傷行為をしないといけないんだよ。

大臣:大丈夫。絶対に『子ぎつねヘレン』より面白いですよ。

一同:(笑)。

森:大臣、キツい映画の話になると必ず『子ぎつねヘレン』出すよね(笑)。10年くらいその話してるよ(笑)。

大臣:後世に語り継がないといつか途切れてしまいますから。

森:『子ぎつねヘレン』の何がそんなにだめだったのかこの機会にちゃんと教えてよ。

tofu:まずなんで大臣はこれを観に行ったんですか?

大臣:いやなんかおもしろそうだなと思って。キツネがかわいそうで。

一同:(笑)。

森:で感想は?

大臣:いや…なんかキツネがかわいそう…なのかな…みたいな……。

一同:(笑)。

森:なんだよ何が起きたんだよ劇場で(笑)。

大臣:結局のところ、キツネの演技がいまいちだったんですよ。

一同:(笑)。

tofu:うわー言うことやばいやばいやばい(笑)。

大臣:映画に出る以上はキツネだってプロの役者だからさ。

森:動物に対して要求高すぎない? なんだよそのプロ意識の押し付けは(笑)。

大臣:でも、『俺の家の話』はめちゃめちゃ泣きましたよ僕。

森:唐突にフォローしようとするんじゃないよ。



・どの口が

西村:「映画を早送りで観る人たちの出現」。時代が大臣に追いついてきましたね。

森:大臣と初めて会った時、映画の話になって、小津安二郎の映画が本当に好きだけどクソだるいから倍速で観てるって聞いて、この人はヤバいぞって思ったな(笑)。

tofu:よりによって小津安二郎っていうのが(笑)。

大臣:私はかねてから提唱してましたよ。女子高生はもうみんなそうしてるらしいですね。

西村:記事読んだんですけど、この人たちが早送りで見てるのは、『鬼滅の刃』とか『愛の不時着』ですよ。小津安二郎とは訳が違いますよ(笑)。

一同:(笑)。

大臣:小津安二郎とゴダールは倍速で観ますね。面白いんですけど、やっぱりだるいんですよね。

森:一貫してるなー。10年前から言ってること何も変わってない(笑)。

大臣:そのうち、音楽も倍速で聞かれたりするんじゃないですか。

澤部:ありましたよ! スカートの「君がいるなら」っていう曲があるんですけど、そのMVをYouTubeにアップしたら「1.5倍速で聞いた方が良い」みたいなコメントがあって。

森:デリカシーないコメントだな(笑)。

大臣:嫌でしょ、それを言われるのは。

森:どの口が言うんだよ(笑)。

tofu:俺はそこまで嫌じゃないなー。実際よく言われるし。

澤部:僕はめちゃくちゃ嫌でしたよ(笑)。

一同:(笑)。

tofu:俺はなんというか、原罪というかブーメランというか。普段から人の曲を早くしたり遅くしたりしてきた罪がかえってきてると思ってるんで(笑)。

澤部:あーそれはあるかも! 僕はDJする時も回転数変えないもん。

大臣:なるほどなー。

玉木:アニメを倍速で観るのはわかりますねー。

もち:コンテンツは摂取したい。だが、その作品に真剣に向き合うほどでもない。把握はしておきたい。

大臣:危険な考え方だねぇ。現代的だ。

森:だからどの口が(笑)。


・感受性が高い

tofu:大臣って、昔は機材買って一瞬で飽きたりしてたんですよ。本買っても最初の数ページしか読まなかったり。高校生の頃にそういうものをいただいて、俺は成長したんです。結局大臣のおこぼれが俺なんですよ。

森:大臣のある種の性質が、tofubeatsを生んだっていう神戸いい話だよね。大臣がサンプラー買ったけど、電池無くなったから捨てたっていう異常なエピソードあったよね。

一同:(笑)。

tofu:大臣、それなりの値段のサンプラーを買って、マジで1秒も使わないで捨てたりしてましたからね。本当に怖かったですよ。捨てたのを俺が拾うんですけど(笑)。

大臣:だって、使い方がわからないから。画面がちっちゃくて。

一同:(笑)。

tofu:いかつい(笑)。これですよ!(笑)。

西村:説明書を読めよ!

tofu:でもやりたい気持ちは強いから、でかい画面のサンプラーをまたすぐに買うんですよ大臣は。それも1秒たりとも使わず捨てる(笑)。

森:怖いよー!

tofu:イルリメさんのライブとか行くと、感動して同じ機材買っちゃうんですよ、大臣は。

大臣:あーそうそうそう!

tofu:めちゃくちゃ影響は受けるんですよね。例え倍速で見たとしても、影響はちゃんと受けて行動する。オノマトペ大臣はそういう男ですよ!

森:感受性が極端に高い体質なんだよね。

大臣:感受性だけ高いやつやばくないですか?

一同:(笑)。

森:ゾッとした顔してる(笑)。

大臣:今、めちゃくちゃダサいなって思って。そんな紹介のされ方。「感受性が高い! オノマトペ大臣!」。

一同:(笑)。

tofu:ラップには感受性が活かされてると思うんですけど、機材に関しては完全にダメでしたね。本当に家に行くたびに見たこと無い機材があったんですよ。逆に天才っぽかったですよ。逆に。

西村:軽音楽部で一緒だったときも、買ってきたMTRで1曲だけ録音して「メモリがいっぱいになって録音できなくなった」と言って部室に置き去りにしてたな(笑)。

森:使い捨て方すごいよな。

大臣:難しいですね。音楽って。

森:違うよ、絶対そういう難しさではないよ。

大臣:だから、未来には期待してたってことなんですよ。だからすぐ機材買ってたんですよね。多分。

tofu:「明日の俺には絶対使いこなせる」って常に思ってる。

森:目線が高く、常にプラス思考なオノマトペ大臣。感受性が高い。

大臣:私の話はもういいですよ! どんどんダサくなってきた!

メンバーtofubeatsの参加により、特別な舞台の幕が上がるかと思われたが、蓋を開ければ、数年ぶりの対面にも関わらずスムースに展開されたのは、全員参加のデリカシーレス家賃当てクイズ。そこにあったのは、相変わらず代々木八幡のリハスタの待合室の空気だった。良純が慎太郎役を演じた例のスペシャルドラマ、毎時436億円の損害を出し続けたスエズ運河の座礁船に感じた心強さ、そして噂の東京マガジンが果たしたEmpire Strikes Back。余談は部屋中に膨れ上がり、様々なトピックが九人の頭上を交錯して日付を越えた夜に溶ける。我々は九つの空を飛ぶ郵便飛行士、記事に残らなかった言葉はただ過ぎ去るのみだが、それ故に隠された泉のように美しい。トーベヤンソン・ニューヨーク・アワード2021に乞うご期待。
 
森 敬太
京都府生まれ、デザイナー/アートディレクター。書籍、CDなどの装丁を多数手がけながら、2011年から自主制作漫画レーベル「ジオラマブックス」を主宰、漫画誌「ユースカ」を発行。2017年、合同会社飛ぶ教室を設立する。Instagram : @m_o0_ri