筋肉少女帯が、2021年11月3日(水・祝)に通算21枚目となるオリジナル・アルバム『君だけが憶えている映画』をリリースする。2019年の『LOVE』以来約2年ぶりとなるオリジナル・アルバムは、ポジティブなメッセージとツインギターに胸が熱くなる「楽しいことしかない」にはじまり、そのものズバリなタイトルの「COVID-19」、電車の「OUTSIDERS」セルフカバーなどで構成されている。

今作を聴くと、パンデミックの世界に合わせて作品ができたというよりは、そもそも特殊なバンドである筋肉少女帯に特殊な時代が重なってきたようにすら思えてしまう。それぐらい、アルバムに収録されている曲たちの個性は強烈だ。果たしてどんな想いで作品を送り出すのか、メンバーの4人(大槻ケンヂ(Vo)、内田雄一郎(Ba)、本城聡章(Gt)、橘高文彦(Gt))に話を訊いた。

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―今日はリモートでインタビューをさせていただきますが、バンド内でこのようにリモートでミーティングする機会もありましたか?

橘高:確かに、コロナ禍になってから最初にやったのは「リモートでミーティングをしよう」ということでしたね。最初は何か気持ち悪かったですけど(笑)。

本城:もうだいぶ慣れました(笑)。

橘高:リモートインタビューにも臨めるようになったからね。

―この2年間は直接会うよりもこういう形でのコミュニケーションが多かったですか。

大槻:そうですね。とはいえ長いですから、そこは阿吽の呼吸というか。

橘高:昨年は幸い2本のライブができたんですが、ライブのリハーサル、今回のレコーディングとか、実際に会わないとできないもの以外は、なるべく会わずにディスタンスを保ってやっていました。



―前作『LOVE』を作った後、次のアルバムはこうしようという構想ってあったんですか? コロナ禍に影響されて変わったことなどあるのかなと思ったのですが。

大槻:『LOVE』のときは、まだないよね?

橘高:前作まで3年連続でオリジナルアルバムを出してきて、再結成以降はオリジナルスタジオアルバム以外にも、セルフカバーアルバム、新録入りのベストとか毎年リリースしていたんです。2019年に前作のツアーファイナルを迎えたときに、リフレッシュも兼ねて来年は1年間空けて、それぞれが筋少以外の活動をしながら、また筋少にフィードバックできるようという話をしていました。

大槻:筋肉少女帯は、長くやっているので本当に曲数が多いんです。その中で1ツアーぐらいしか演奏できていない曲もあって、良い意味で楽曲がインフレを起こしている(笑)。ここらでそういう曲をできるようにいったん空けようという話をしていたら、コロナ禍になったんです。

―そうなると、アルバムの制作自体はいつ頃から始まっているのでしょうか。

橘高:構想という意味では、「再来年出す」というところから始まっています。パンデミックが起きた期間も含めて、その間にそれぞれが次の筋肉少女帯でスタジオに集うときまでみんなが温めておいた曲を出してきて、今年5月からスタジオワークに取り掛かりました。

―そこで生まれたコンセプトが、「一本の映画との出会いや衝撃を与えたいと思いながら11の筋少の物語を楽曲に練り上げた」という……。

大槻:いや、そういうふうに資料に書いてあると思うんですが、大概そういうのって、「何かコメントしてください」って突然頼まれて言ってるんです(笑)。

一同:(笑)

大槻:アルバムの歌詞、世界観のコンセプトというのは、大概できあがってからまとまるので、作ってる段階で見えてくる。現時点で言うと、リスナーが聴いて何かそれによって記憶の糸を手繰り寄せて、各自の抱いている物語を映画のように脳裏に映像として映し出しれてくれたらいいなという、11の物語が揃っています。



―なるほど、曲名も何か映画のモチーフなのかなとか思っていたんですがそうではないんですね。ただ、そんな中で「COVID-19」というタイトルの曲があることには、正直驚きました。

大槻:歌詞を書く人間として、パンデミック時代に触れないのも嘘だし、あんまり触れすぎるのも過敏で、非常に匙加減がむずかしいんですけど、やはり関わらざるを得ないと思うんです。自分なりにコロナ禍についてどう歌詞で関わろうか考えたときに、「COVID-19」(コヴィッドナインティーン)という響きが、ロック的で歌詞にハマるなと思ったんです。それは僕なりの発見でした。僕は昼間にFMラジオを聴くことが多いんですが、FMのパーソナリティーの方はバイリンガルの方も多くて、コロナウィルスって言わずに「コヴィットナインティーン」って言うんですよ。それが、タイトルに使えると思ったんです。

―内田さんは、曲を書いた時点でこういう歌詞が付くとは思ってなかったわけですか。

内田:そうですね。でもタイトルに持ってくるのが潔いなって思いました。この時期だから触れなきゃいけない話題に正面からきたなと思いましたけど、内容はオーケンの世界だし、曲にすごく合ってると思います。

―深夜に偶然観た映画というイメージも合わさってるのかなと思って聴いたものですから、イントロは『エクソシスト』のテーマ曲「チューブラー・ベルズ」を思い浮かべてしまいました。

内田:なるほど、でもホラー系ではなくてわりと開けた明るい感じで、ピーター・ガブリエルを意識しよう思って作ったんです。

大槻:ああ! 僕もこれはピーター・ガブリエルの「Biko」みたいなことかなって思いました。でもオーケンにピーガブを歌わせるはずはないなと思いながら(笑)。

内田:はははは(笑)。曲としては重く爽やかな方向を目指しました。決して『サスペリア』でもなく(笑)。

―あえて映画に例えると?

内田:う〜ん、『明日に向かって撃て!』。

大槻:ええっ! そうなの!? あれじゃないの? 『アラビアのロレンス』。

内田:なるほどね『ドクトル・ジバゴ』とかね(笑)。



―1曲目「楽しいことしかない」は、〈楽しいことしかないよこれから〉〈やなことのあと いいことはある〉という、ポジティブなメッセージが胸に迫ります。



大槻:この1年半いろいろあったので、リスナーがこういうことを歌ってほしい時期なんじゃないかなって、聴いてる姿を想像しながら明るい歌詞にしました。

橘高:デビューして33年以上経つ中で、筋少の1つの特徴として大槻君が歌った後に我々とお客さんがコーラスで返すみたいな、参加型の楽曲が核になっている部分があるんです。今回アルバムを作るにあたってのZoom会議のときに、ライブを想定したコール&レスポンスを入れるのは、こういう状況のときにどうなんだろうという議題が出たんです。そのときに、ライブができることに対する憧憬みたいになってもいいから、我々の強みであるお客さんと作りあげていく楽曲みたいなものはあってもいいんじゃないかという話をしました。今はこうだけど、またライブでみんなでワイワイやろうぜっていうのは歌詞のニュアンスにも出ていて、我々もそこを信じて制作していました。

大槻:この前向きな明るいサウンドを1曲目に持ってきたことが、今回のアルバムにおける筋少としての大きな変化であり、核になっている部分です。昔、『UFOと恋人』というアルバムを出したときに1曲目は音頭から始まったことがあるんですけど(「おサル音頭」)、それ以来のチャレンジだったと思います。

橘高:はははは(笑)。

―「楽しいことしかない」は本城さんの作曲ですが、どんなことを考えて書きましたか。

本城:昨年、いろんなミュージシャンがコロナ禍で何をしているか訊かれて「曲を書いてるよ」ってみんな言ってたんです。それで僕もコロナ禍なりの曲作りをしてみようと思ってトライしたんですけど、どうしても悲観的な気持ちになりがちで良いものになりそうな気がしなくて、1回止めて。そこから1年以上を過ごした結果、何が自分に降りてくるのか、閃くのかということで制作期間になってみたら、意外と前向きな曲が次々とでてきたんです。その中でも、特にこんな時期だからこそやっぱり筋少はツインギターでバーンと派手なロックをやりたいなという気持ちで作った曲です。

―筋少らしさもありつつ、アレンジはとても優しい感じがします。

本城:ありがとうございます。僕はデモテープの段階である程度世界観をスケッチするんですが、聴いてもらう前に橘高君を想定してギターを弾くんです。そのデモをみんなに聴いてもらって、いざレコーディング本番を迎えたら自分が弾くパートがあまりにも少なくてビックリしました(笑)。それぐらい、橘高君パートに魂を込めてデモを作った1曲です。結果、橘高君が素晴らしいギターを弾いてくれたので、僕の思い描いたものを軽く飛び越えてくれました。

橘高:長年やってると、自分以外のメンバーが自分に何をやってほしいのかわかるんです。そこで、「おいちゃん(本城)が思ってる俺はもっとこうじゃない?」って、そこをプッシュする作業もあります。だから自分の曲よりも自分らしくなることがこのバンドは多いんです。期待以上のものを出してメンバーが驚くところが見たいというか、「どうだ、ここまでやると思ってなかっただろう!?」みたいな(笑)。

本城:はははは(笑)。

橘高:そこは結構このバンドのエネルギーになってますね。歌詞にしても、こっちとしては「こんな歌詞がくると思わなかった、してやられた!」って思う部分があるし。



―それで言うと、「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」は、こんな歌詞がくると思わなかったのでは?

橘高:そうですね(笑)。30年以上前からそうなんだけど、「イワンのばか」なんかは合宿所で書いた曲で、大槻君に聴かせたら「う〜ん、これは「イワンのばか」だね」って言われたのをよく覚えてます。そういう、メタルヘッドの俺にはまったく想像がつかないものをパッと出してくるのが、筋少の面白さだと思っていて。今回の「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」も、想定を超える「してやられた」最たる曲です。

大槻:橘高君のメタルはある意味様式美というか、概念的に言うと、彼の中のロックンロール的なものが定番としてあって。ロックンロールって基本的に、意表を突くことは歌わずに、「おまえが好きだ」みたいなことのみを歌っているところがいいというのもあるので、もしかしたら歌詞もあまりひねらないで同じことをずっと歌う方が正しいのかなとも思ったんです。ただ、おそらく筋肉少女帯のリスナーと橘高君自身はそれを望んでいないだろうと。文法や方程式に合わなくても、奇妙な詞を書いてほしいんだろうなと思って、今回は「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」という話を持ってきました。だけれども、定型通りの様式美もあっていいと思って、この曲には「ゾンビリバー 〜 Row your boat」(『ザ・シサ』収録)のセリフとほぼ同じセリフを入れてみました。

橘高:よく “お城を建てるようなソロ“ って言ってるんだけど、アドリブソロの後に、お城が構築されてそびえ立つような部分がツインリードの決めソロであるんです。実際、「ゾンビリバー 〜 Row your boat」はアドリブソロの締めにセリフパートがあって、その後にお城パートが来るんです。「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」も同じ構成なんだけど、そこへの橋渡しで同じところに同じニュアンスのセリフを入れていてセルフパロディみたいな印象になるんだけど、そこが大槻君が意図した様式なんだろうね。

大槻:ブルース・スプリングスティーンが若い頃に、地元の楽器をできるやつを集めてチャック・ベリーのバックバンドをやることになった話があって。チャック・ベリーはスーツケース1つでやってきて、リハもやらないんですって。本番10分前にきてギターを持って出てきたから、さすがにブルース・スプリングスティーンが「すいません、何の曲をやるんですか?」って訊いたら、「決まってるだろ、チャック・ベリーの曲だ。ワンツースリーフォー!」ってライブを始めたという話があって(笑)。それと同じ、「決まってるだろ、橘高メタルだ。ワンツースリーフォー!」って言われたときの強烈なショックみたいなものをリスナーに感じてもらいたかったんです。言ってること、わかります(笑)?

―う〜ん(笑)。チャック・ベリーのロックンロールの域にまで迫る様式美が橘高さんのギターにあるということでしょうか?

橘高:今大槻君に言われてハッとしたけど、本当にそうなんです。俺は自分の中でのヘヴィメタルの完成というのを生涯追い続けていて、定型の中でいかにより良いものを作れるかという意味では、ブルースの人と一緒なんですよね。でも、俺が筋少に入った理由は、この世になかったオリジナリティ溢れる作品を1作でも残したいという気持ちがあったからなんです。だから、「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」という歌詞を持ってきてもらうことで、俺のヘヴィメタルはこの世で唯一のものになるんです。この楽曲をこうして入れられたことにすごく誇りを持ってます。

―冒頭で “この物語はフィクションであり時代考証などデタラメである“と断りを入れているあたりが今っぽいなと思いました。

大槻:途中でガンマンが助けにくるじゃないですか? 最初、僕はこれを小説にしようと思っていたんです。それで調べたところ、どうも時代が合わないということに気が付いて(笑)。でもお侍と西部劇が合体した映画もあるし、その辺はいいかなと。

内田:『レッド・サン』(三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンが共演した西部劇)とかね。



―「坊やの七人」にもガンマンは出てきますよね。

大槻:ああ、そういえばそうですね。「坊やの七人」はデモをもらったときはもう少し映画『荒野の七人』のサントラのイメージがあったんですけど、そこで「坊やの七人」というウェスタンで拳銃ドンパチみたいなものを考えたんです。その繋がりで、あるいは「大江戸鉄炮100人隊隠密戦記」も発想したのかなと、今になって思います。

―内田さんはどういう発想でこの曲を書いたのでしょうか。

内田:2020年は家にこもって一日中ニュース見て作曲作業して過ごしてたけど、いまひとつパッとしなくて。今思えばやっぱりコロナ鬱だったのかもしれない。それで、2021年になって、前年から引きずっていた重く暗いモチーフが明るい方に変化して結果「COVID-19」となりましたと。「坊やの七人」はヤケクソ感がすごくあって、なんかもう適当にやっちゃえっていうノリがありました。『荒野の七人』をモチーフにしてハードロックになるかなっていうアイデアからはじめて、でも本編は40年前にラ・ママでやってるニューウェーブバンドみたいな感じになってます(笑)。基本に立ち戻った感じで、狙ってこうしてやろうっていうのがなくなった曲です。

―曲ができた頃には、コロナ鬱みたいな気持ちは消えていたんですか?

内田:そうですね。だから「グズグズ言っててもしょうがねえや」という感じが出たのかなと思います。

大槻:いやあ、内田君にコロナ鬱があったということが、衝撃ですよ。作詞者はどうしても、コロナ禍と関わらざるを得ないんだけど、作曲者というのはハテどうかな?と思っていたんですけど、このアルバムも含め、今の時期に出る作品は、少なからずパンデミックの影響を受けているんでしょうね。それを思うと、あと何十年かしたら、コロナ禍の時代に作られた“パンデミック・ミュージック“が検証されると思うんです。その中で、『君だけが憶えている映画』は、核になるというか、代表的なアルバムになっている気がします。「坊やの七人」は家庭の分断について歌われているんですけど、今回のアルバムはモチーフとして“境界線“という言葉が何度も出てくるんです。それはつまりパンデミックによる世界の分断のことなんですよ。でも世界はそもそも分断されている、そこに我々は生きている、ではそこでどうしていくかということを前向きに、客観的に、どこのセクトにも寄らずに書いているんです。例えば「世界ちゃん」という曲は、個人の中での“個と世界“というものの分断、境界を書いた、所謂セカイ系の歌詞ですけど。「坊やの七人」も、その境界というのは世界の分断という大きなものから、家庭の中にもあるだろうし。この曲が面白いのが、歌詞は父と子の別れみたいなものを描いているんですけど、そこにものすごい演奏陣のバトルが始まるんですよね。だから、ちょっと音楽と歌詞の世界観が分断していて、そこが偶然にもこのアルバムのテーマを描いていて、面白い曲になったと思います。



―まさに「ボーダーライン」という曲もありますが、その前のインスト曲「ロシアのサーカス団 イカサママジシャン」から「OUTSIDERS」(電車のセルフカバー)まで、曲ごとの関連性があって終盤に集めているわけですか。

大槻:そうです。聴いてストーリーがわかる話ではないんですけど、この3曲は物語になっていて、「OUTSIDERS」が結末になるようにしています。所謂70年代プログレッシブロックバンドがやる組曲のようなものです。

―「OUTSIDERS」の歌詞に出てくる「ロシアのサーカス団 イカサママジシャン」がインストになっていますが、本城さんは組曲の1曲目としてこの曲を書いたということでしょうか。

本城:いや、タイトルやコンセプトはレコーディングしながら進んでいった話で、もともとは短めのインストを作ろうという計画があって作った曲です。

―途中で会話がうっすら入ってますよね? 音量を上げてヘッドフォンで聴いてもわからないですけども。

本城:あれはみんなでそれぞれ、あることを言っているんです(笑)。

橘高:何を言ってるかが見つかれば面白いかもね?っていう楽しみがある曲です。

大槻:想像力を刺激してもらうタイプの曲なので、あえて言葉を聴き取れないように作っているところがあります。筋肉少女帯は、最初にデモテープがきて、それを僕が聴いて歌詞が付けやすいものを選んで、全体の構成を考えていくんです。その中で、「ロシアのサーカス団 イカサママジシャン」は、どういう風に扱うか考えあぐねていたんです。最初はこれにハッキリ聴き取れるセリフが乗るとか、色々あったんですけども、「OUTSIDERS」につながる「ボーダーライン」の組曲の一情景として入れるのが一番いいかなと思って、インストゥルメンタルとして入れました。あと、昔ライブで『猫のテブクロ』というアルバムを曲順通りに再現したことがあるんです。そういうアルバムの曲順通りにやるライブをまたやってみたいなと思っていて、今回はそれを想定して曲順を作っています。これはもしかしたらメンバーにもまだ言ってないかもしれないですけど。

橘高:そういうライブをやってみたいっていうのはなんとなく言ってたけど、このアルバムがそういう構成だとは思ってなかった。

大槻:そうだよね。ライブの曲順を作る者としては、「ここで盛り上げてここで落ち着いて」ということを考えると、アルバムの通りの曲順って上手くいかないんです。それはお客さんのコール&レスポンスで盛り上げていくスタイルのライブだからできなかったんですけど、コロナ禍でお客さんからのレスポンスがないから、ステージでどう進行しても問題なくなったわけなんです。つまり、これもコロナ禍でライブの様相が一変したことで可能になった曲順なんですね。そんな影響もじつはありました。

―とはいえ、最後の「お手柄サンシャイン」は、みんなで声を出して一体になれそうな曲ですよね。

橘高:そうですね、お客さんが一緒にコーラスパートを歌ってくれたりすると。

大槻:この曲は、おいちゃんの作ってきた元のデモが、所謂ポップソングなんだけど、どこか変なところを入れようと思った曲です。突然連続殺人者が出てきて、それをタックルで倒して世界の様相が一変するという。いきなりそういうものをねじ込んでいくという発想は、我ながら筋肉少女帯的だなと思いました。

―最後の方で、〈またぐな飛ぶぞ〉って、長州力語録を2つ合体させてますよね。

大槻:そうです、わかってもらえた(笑)。

内田:(“またぐな“ は)ボーダーラインだからね(笑)。

大槻:あの長州力さんが、こんなお茶の間の人気者になるなんて。本当に世界ってどうなるかわからないなって思います。

―それも世界が変わったことの1つかもしれないですね(笑)。

大槻:本当ですよ。人間って、ロックバンドもだけど、いつまでも伸びしろがあるんだなあって(笑)。



―それこそ、筋肉少女帯にまだまだ伸びしろがあることを感じさせる作品ですが、完成してどんな思いを持っていますか。

橘高:我々は、80年代後半からずっとステージに立ってきて、音源を作ってたくさんの人に聴いてもらって、アルバムを作って全国をまわって演奏して、またそれを持ち帰って次のアルバムを作るということを33年以上やってきた4人なんです。コール&レスポンスで盛り上がる曲が多いのも、やはりステージで育ってきた人間だから出てきた核なんです。それが、このパンデミックではじめてローテーションが崩れたんですよ。でも、そんな状況下で作ったということは、純粋に作りたくて作ったアルバムということになるわけです。そこでライブもまた楽しめる世の中が戻ってきたら、これはもう、伸びしろが広がったというか(笑)。この先、突発的にライブができないようなことを迎えたとしても、アルバムを作りたい意識があれば作れることが証明されたし、1つのエポックメイキングとして、バンドにとっての境界線も飛び越えたアルバムだと思います。あと、昨年はこの状況の中で幸いなことに2本のライブができたんですが、その貴重なライブをシューティングした映像が、初回盤の特典DVDで付いています。コロナと共にアルバム発売までに至るさまもそこで見て取れるので、是非そんなところも見てもらえたらなと思います(EX THEATER ROPPONGI で開催された「2020筋少1stライブ」(2020年10月18日)、「2020筋少Finalライブ」(2020年11月19日)から合計14曲程度収録予定)。

内田:激しいロックバンドをずっとやってきて、それと共に体は衰えていく。この先どうやっていこうっていう中で、このアルバムで老後のビジョンが1つ見えたんじゃないでしょうか(笑)。みんなそういうことを探っているんでしょうけど、この「COVID-19」の世の中をバネにして、長州力のようにがんばっていきましょう。

本城:去年コロナ禍の世の中になって、どうなっちゃうのかなと思いながら1年以上過ごして、いざアルバムを作ってみたらとても良い作品ができました。ちょっとふさぎ込みがちになりそうな世の中だけど、しっかり前を向いていればこの先も良いことありそうだなっていう、そんな気持ちになるようなアルバムになったと思います。

大槻:僕が筋肉少女帯で書く歌詞のような世界に1年半前からなってしまったんですけど、アルバムを作らざるを得ないなっていう妙な使命感みたいなものを持ったのは確かです。それによって世界を変えてやろうとか、こういう主義主張を広めてやろうという思いはなくて、たまたま自分の歌うバンドの世界観のような世界になってしまった者の戸惑いというか。そこからその先を明るく見据えて行こうという意思表示で、『君だけが憶えている映画』という作品を制作することができたのは、1つだけ役割を果たしたような気持ちにもなっています。ただ、まだアルバムが発売されたばかりなので、これからもっとバンドとして色んなことを、この奇妙な世界の時代の中でやっていかないといけないなって思っています。


<リリース情報>

筋肉少女帯
21st アルバム『君だけが憶えている映画』

発売日:2021年11月3日(水)
=収録曲=
1. 楽しいことしかない
2. 無意識下で逢いましょう
3. 坊やの七人
4. 世界ちゃん
5. COVID-19
6. 大江戸鉄炮100人隊隠密戦記
7. そこいじられたら〜はぁ!?
8. ロシアのサーカス団イカサママジシャン
9. ボーダーライン
10. OUTSIDERS
11. お手柄サンシャイン

<ライブ情報>

「君だけが憶えている映画ツアー2021」

2021年11月6日(土)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
時間:OPEN 16:30 START 17:30
(問)清水音泉 06-6357-3666

2021年11月13日(土)神奈川 YOKOHAMA BAY HALL
時間:OPEN 16:30 START 17:30
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

「ベストセトリ!筋少デビュー33周年記念ライブSP」

2021年11月28日(日)東京 LINE CUBE SHIBUYA
時間:OPEN 16:30 START 17:30
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
[Support member / 三柴理(Pf) 長谷川浩二(Dr)]

チケット 全席指定 9800円(税込/Drink別)
チケット一般発売日 10月23日
(新型コロナウイルス感染予防対策を講じて、全会場キャパシティ50%での開催)

筋肉少女帯 HP