トーべヤンソン・ニューヨーク(TJNY)のギタリスト、アートディレクター/グラフィックデザイナー森敬太による連載第11回では、大雑談会を2年ぶりにリアル開催! 久々の対面収録による高揚感、ビッグニュースへのお祝いムードからスタートした雑談は、例年以上のこぼれ話ぶりをみせる。本企画史上最長の1万4000字にわたる激論の末に決定したアワードへ捧ぐ、西村ツチカ描き下ろしイラストもお見逃しなく!(2021年11月19日収録)

座談会参加者
森敬太(ギター担当、グラフィックデザイナー)/オノマトペ大臣(ラップ担当、サラリーマン/ラッパー)/西村ツチカ(ギター担当、漫画家)/澤部渡(ドラム担当、ミュージシャン)/唐木元(ピアノ担当、ミュージシャン)/玉木大地(キーボード担当、プログラマー)/金子朝一(ボーカル/ホイッスル担当、ライター)/mochilon(ベース担当、ミュージシャン)/tofubeats(名誉メンバー、音楽プロデューサー)

※この記事は2021年12月25日発売の『Rolling Stone Japan vol.17』に掲載されたものに、加筆を加えたものです。

・全然好きじゃないですね

森:なんで誰もチーズおかき食べないの?

金子:僕正直言って苦手です。チーズおかき。

一同:(笑)。

金子:でも、好きですかみんな?

大臣:僕も好きじゃないね。ちょっと独特の味がするでしょ。

森:ちゃんと真正品のチーズおかきにしたのになんだよその態度は。ブートじゃないんだよこれは。

tofu:好き嫌いが分かれるタイプのお菓子ではありますね確かに。

金子:tofuさんはっきり言ってやってくださいよ。好きなんですか?

tofu:まあ……全然好きじゃないですね。

大臣:悪夢みたいですよ。チーズおかきをこんな大皿に山のように盛り付けるなんて。

森:すごいね。精一杯のホスピタリティを搾り出したのにその仕打ち。

(玉木、西村到着)

玉木:いやーお久しぶりです。

西村:対面で集まるのはほんとに久しぶりですね。

森:前回集まったのって2019年の11月だからね。丸2年だよ。

大臣:あの時は紀州のドンファンもまだ存命でしたよね。

森:いや、お隠れになってたって。生きてたら話題にしてないでしょ。死して名を残したタイプの人だよドンファンは。

金子:いい加減な人だなあ。

大臣:まあドンファンにそんなに関心があるわけでもないですからね。仕方がない。ほら、2人ともチーズおかきがありますから食べてくださいよ。評価低いですけど。

西村:どういう流れがあったんですかその配り方(笑)。僕は好きですよチーズおかき。

森:ほら見てみろよ!

西村:チーズおかきは普遍的ですよ。

tofu:普遍的であることに異論はないんですけど……。

大臣:普遍的に不味いって言いたいの?

一同:(笑)。

tofu:そうじゃなくて(笑)。苦手な自分が少数派だと思ってたんですけど、こんなに同志がいるとは。

玉木:僕もチーズおかき好き派ですよ。それなりに高級品のイメージあるし。

大臣:高いの? じゃあ一回食べてみよう。

一同:(笑)。

森:隠そうともしないね。浅ましい人間性を。

西村:奇しくも運転免許失効組が好意を寄せてますね。チーズおかき的にも不名誉でしょう。

森:見えてしまったね隠された因果が。


・ビーフンですね……

tofu:バームクーヘン買ってきたんで、みなさんで食べてください。

大臣:これはありがたいねぇ。場が華やかになったよ。

森:態度の変化が露骨すぎるよ!

玉木:僕は近くのコンビニでおにぎりを一通り全種類買ってきました。

森:それはそれで風変わりな行動だね。結果めちゃくちゃ重くなってるじゃんこの袋。馬の首でも入ってるのかと思ったよ。

西村:玉木くんもなかなか徳高いですね。

森:tofuくんもでかい袋持ってるけど何が入ってんの? 河童のミイラ?

tofu:これはですね……。澤部さんの結婚祝いです!

一同:ギャー!

tofu:帰り際に渡そうと思って買ってきたんですよ。ストウブの鍋をね……!

森:なんて奴だよ……。

金子:圧倒的な社会人力ですね……。

森:新婚を迎えるのに徒手空拳で挑もうとしていた自分が心から恥ずかしいよ。

大臣:大丈夫。我々なりにできることがあるはずですよ。

西村:玉木くんが買ってきてくれたおにぎりを、バームクーヘンの箱に入れればなんとか……。

一同:(笑)。

大臣:チーズおかきも2、3個入れて。金子くんは何買って来たの?

金子:僕は……ビーフンですね……。

一同:(笑)。

大臣:みんなで分け合って食べるという前提すら無い(笑)。

森:刻一刻と糊化する米麺(笑)。一番結婚祝いに向いてないよ。

金子:澤部さんなら喜んでくれますよきっと。もう僕ちょっと食べちゃったんですけど。


・壁に沿わせるんですよね

(唐木、Zoomで参加)

森:お、ニューヨークから入電が。

唐木:こんな寂しい画面があるかよ……。みんな集まってるのにさ。

大臣:いきなり元気がないですね。

西村:心なしか小さく見えますよ。

唐木:朝食を食べるからちょっとミュートするね……。

玉木:お、現代作法ですね。

西村:この間Zoom会議中に尿意を催してしまって。話を聞きながら排尿できるなんてありがたい仕組みだなと思って、AirPodsをつけたままトイレに立ったんですけど、よく考えたらこっちの音も向こうに丸聞こえなんですよね。

一同:(笑)。

西村:まさに排尿の瞬間にそのことに気がついて。

森:「死なば諸共! ザバザバー!」って?

大臣:両者相打ちですね。

西村:とっさにイヤホンを遠くへ放り投げて何とか事なきを得ました。

tofu:ありがちですね一人で仕事してると。常に何か聞いてるから。

森:俺もそういうことあるけど、うまいことミュートするよ。排尿音を。

西村:そっちを? どういう技を使うんですか?

金子:わかりますよ。壁に沿わせるんですよね。

一同:(笑)。

森:そうそう。あと合わせ技として、突然すごい喋ったりね。

一同:(笑)。

西村:ためになりますねー。


・特殊男性

(mochilon、到着)

もち:ご無沙汰してます。「スカート澤部渡、13年交際の一般女性と結婚」はまだ来てないんですか?

森:最後に登場するのが流石だよね、あの特殊男性。茂みに潜んで全員が揃うの待ってるんじゃないの?

金子:特殊男性って(笑)。そんな対義語ないですよ。

(澤部、登場)

澤部:いやいや遅くなりまして……。

森:出たー! 今夜の主役!

一同:ご結婚おめでとうございます!!

金子:「スカート澤部渡、13年交際の一般女性と結婚」!

西村:もうアワード決まったんじゃないですか?

森:一般女性にアワードを贈りたいね。

金子:澤部さんではなく一般女性に(笑)。

森:でもよく出来たね。手続き。

tofu:どういう目線ですか(笑)。

澤部:いやー、自分でもそう思いますよ。死ぬほどめんどくさかった。

森:婚姻届を証人欄から埋めるっていう斬新な組み立て方してたよね? 後のこと考えてない感じがパンクっぽくてかっこよかったよ。

澤部:いや、ミスってもいいように、ちゃんと2枚書いてもらってたんですよ。

森:自分のダメさを確信している人のムーヴだ。

西村:いやしかしめでたいですねほんとに。

澤部:ありがとうございます! 生活は何一つ変わらないんですけどね。

唐木:ここからは、実質的に準アワードを決める話し合いになりそうだね。


・自分で編み出しました

森:じゃあまず5月のトピック。「松本まりか、サウナで転倒し顔面骨折」。そのサウナで過去に、TOKIOの松岡も脱水症状で倒れて救急搬送されてるんだよ。

大臣:これは何かありますね……。

tofu:大臣もサウナ通ってるんじゃありませんでしたっけ?

大臣:行ってますよ。毎週土曜、朝の4時に。

一同:えー!?

大臣:密を避けてね。でもやばい老人とかいるんですよ。金のネックレス付けたままサウナ入ってくる奴とか。

森:金は熱伝導率高いからね。一瞬で90℃とかになって皮膚を焼くよ。

西村:なんでそんな苦行みたいなことしてるんですかね?

大臣:独自の健康法なんじゃないですか? やばい奴なんですよ結局。

森:いや、朝の4時にサウナ行ってる人も大概だよ。ちゃんと自覚を持ってよ。

大臣:僕は単純に、その時間が空いてるかなと思って行ってるんです。

森:なんか色々疑問が残るな。

大臣:あと、ちょっと安いんです。780円になるんで。

森:いくつか重なってもまだ疑問が残るな。

一同:(笑)。

tofu:朝の4時って早朝かどうかもギリギリですもんね。深夜ですよ。

大臣:早起きすると一日が長くなるからね。

森:鶴太郎が早起き追い込みすぎて、夜11時に起きてるっていう話おもしろかったよね(笑)。

一同:(笑)。

大臣:あれはやばいですね。「早さ」とはって思いますね。

西村:大臣はまだその境地には達せていないですね。

大臣:まだまだですねー。

森:朝4時のサウナって人いるの?

大臣:結構いるんですよ。アベンジャーズぐらいいます。

澤部:かなりいますね(笑)。すごい世界があるんだな。

大臣:大体似た顔ぶれで。たまに「あの爺さん今日はいないな」って心配になったりして。

一同:(笑)。

大臣:5時半くらいに駆け込んできますけどね。

一同:(笑)。

森:駆ける必要がある時間じゃないでしょ(笑)。磁場がズレまくってるよ。

もち:ととのってますか?

大臣:ととのってるね。完全に。

森:広まったねーその概念。

もち:僕もサウナ行くんですけど、「ととのいハラスメント」受けることありますからね。「お前ととのったことないのか!」って。

西村:童貞いじりと同種のハラスメントだ。

森:よく聞く、サウナ→水風呂→サウナ→水風呂……ってやつをやるの?

大臣:あと外気浴。外気浴がいいんですよ。

もち:そうらしいんですけど、僕は外気浴飛ばしてるんで、まだととのいを知らない。

大臣:でもね、実は早朝に眼球を高速で回すと大体ととのうんですよ。

一同:(笑)。

森:え? どういうこと? サウナを経なくてもいいっていうこと?

大臣:究極的にはそうです。朝4時に目さえ回せば。

一同:(笑)。

玉木:すごいことになってきたなー。

西村:自分で編み出したんですかそれは?

大臣:自分で編み出しました。まだ学会でも発表していないんですけどね。

金子:やばいところまで行ってる(笑)。全く鶴太郎を笑えないですよ。

大臣:早朝ならどこでもいけますよ。路上でも。

森:路上でグルグル目を回して恍惚の表情を浮かべてる人見たら、一生残るトラウマになっちゃうよ。

澤部:本当に怖くなってきたな。

森:もう不審者の域を遥かに超えて、都市伝説級に達してるよ。


・ここに手すりがあって嬉しい

西村:土曜の朝4時台って『建もの探訪』やってません?

大臣:ああ、観てますよ。サウナのテレビで。

西村:僕毎週観てるんですよ。録画して。

金子:僕最近、インディーズの渡辺篤史みたいな仕事してます。リノベした家とか、建築家が設計した家にカメラマンと行って、「いいお家ですね〜」とか言って取材する仕事。

西村:完全に建もの探訪やん!

森:朝一は渡辺篤史的なスキルは身に付けたの? まずどこ褒めるの?

大臣:最初は犬でしょ。犬褒めないと。

朝一:犬いたら褒めますけど、いない場合も多いですからね。

西村:そりゃガルバリウムでしょ(笑)。ガルバリウム鋼板。

金子:西村さん流石ですね。ガルバリウム鋼板は褒めポイントですね。

西村:篤史は絶対に褒めますよ。「ガルバリウム鋼板、斜め貼り」。

森:変にリテラシー高い会話だな(笑)。

金子:室内は天井高から褒めることが多いですね。「寝室の天井を低くされたことでこもり感が出ていますね」とか。

一同:(笑)。

tofu:すごいなー! 高いのを褒めるんじゃないんだ。

西村:渡辺篤史は漆喰の壁見つけたら、絶対「この漆喰、DIYで塗られた?」って聞くんですよ。「実はそうなんです」っていうやりとりを毎回やってる(笑)。

森:引き出すんだ(笑)。

金子:勉強になるなー。確かに塗ってる人多いですからね。

西村:角が丸くなってるところを見たら「Rですね」って言うのも頻度高いですね。

森:水回りはどういう誉め方するの?

金子:キッチンは奥さんの腰の高さに合わされたんですね、とか。

大臣:ということはまず最初に奥さんの腰を見るんだ(笑)。

一同:(笑)。

森:奥さんの腰見てないのに言うのは嘘になるもんね。

西村:あと採光の多さでしょ?

森:なんで西村くんのほうが引き出し多いの(笑)。

西村:あと「借景ですね」ってよく言うんですよ篤史。

金子:めちゃくちゃ詳しい(笑)。人の家とか公園とかの緑を取り入れる。借りる景色で借景です(笑)。

西村:アガるんですよ。建もの探訪見ながら、「来た! 借景!」って。

一同:(笑)。

西村:「ここに手すりがあって嬉しい」来た!って(笑)。

森:嬉しいって何? どの目線(笑)。

西村:「嬉しいねえ」ってよく言うんですよ(笑)。渡辺篤史は何に関してもポジティブなワードを出してくるんで。

金子:コロナ禍だと、ワークスペース特集とかやってませんでしたっけ?

西村:「テレワーク!」っていう必殺セリフがありましたね。

一同:(笑)。

西村:ノートPCとかが置いてあったら、すぐ「テレワーク!」って(笑)。

金子:やっぱり本物は段違いだなー。


・すごい美人だよ

もち:そういえばClubhouseってどうなってるんですか?

澤部:もうスピリチュアル系の人しかいないって店長(漫画家・西尾雄太)が言ってたよ(笑)。

森:唐木さん、押し黙ってないで教えてくださいよ。最新Clubhouse事情を。

金子:話したくなさそうな渋い顔してますね。

唐木:もうクローズドで井戸端会議するだけだよ。たまにオープンの部屋見に行っても、「金が欲しい」っていう人と、「スピりたい」っていう人しかいない。話聞いてみると、スピりたい人も結局は金が欲しいって言ってる。だから金が欲しいっていう人間しかいないんだよ。

大臣:地獄の釜じゃないですか。なんでわざわざそんなの聞きに行くんですか?

唐木:アイコンが美人だと聞いちゃうんだよね。

森:真っ直ぐバカじゃん(笑)。

唐木:でもすごい美人がスピってるとこっちが傷付くんだよ。

森:ほんとはすごい美人じゃないっていうのは理解してるんですよね?

唐木:いや、すごい美人だよ。だってアイコンがすごい美人なんだもん。

一同:(笑)。

澤部:少年の顔で言った(笑)。

tofu:大丈夫ですか唐木さん? ドデカ翡翠とか買わされてないですか?


・氣

森:スピりを回避するために、我々はどう振舞えばいいんだろうね。中年になると共に襲ってくる恐怖だよ。

もち:スピりを知っておくことじゃないですか?

森:大臣は結構スレスレな感じするけど、スピ界隈から距離取れてるの? 朝4時に目回してととのってるのにさ(笑)。

tofu:完全にアウトですよね。

大臣:大丈夫ですよ。早朝から開いてる美味しいパン屋に行くのも大好きなんで。

一同:(笑)。

澤部:自信満々にちょっと怪しいこと言った(笑)。

森:自然派のパン? 自家製天然酵母方面の。

大臣:いやいや、添加物が山盛りのやつ。

金子:ヒヤッとしましたね。

澤部:薬物・筋肉•スピリチュアル。中年が間近になると、この辺りに吸い寄せられて道を外れる人が増えますもんね……。

森:地獄の四叉路だ(笑)。

tofu:コロナで中断しましたけど、確実に筋肉行きかけてましたね俺。

一同:(笑)。

tofu:肩周り鍛え始めたら肩こりが無くなったのが快感すぎて。コロナストップかかってジム退会したんですけど。

大臣:そういう風に寄ってくるんだね。筋肉系スピは。

西村:やっぱり早い段階で奇跡を経験すると人は変わってしまうんですね。

一同:(笑)。

森:俺も加齢のせいか冷え性がひどくてさ、背中とかも痛い気がしてこの前整体デビューしてみたの。中年の練習も兼ねて。

大臣:加齢で冷え? 血管が死ぬんですか?

tofu:言い方(笑)。

森:わかんないけど、体調の負方向への変化は全て加齢のせいっていうことにしてるんだよ。で、整体院に行ってみたら、先生が一通り身体を揉んでくれて、なんて言われるかなと思ってドキドキしてたら「あー、なんにも凝ってないですねー」って(笑)。

一同:(笑)。

澤部:そんなことある?(笑)。

金子:揉み手としてのデリカシーがないですね(笑)。

森:やっぱり揉まれる側としてはさ、「これはがんばり過ぎてる方の身体ですね」とか「80代の背中ですよ」とか言ってもらいたいわけじゃん?

tofu:それが醍醐味ですもんね。

澤部:あれは嬉しいですよ。前に地方でライブした時、死にそうになってホテルでマッサージ呼んだら、「やー、これは……正直、今まで一番ですね」って言われて(笑)。心の中でガッツポーズですよ。

一同:(笑)。

tofu:マッサージもスピリチュアルが忍び寄ってくる危険性を孕んでるじゃないですか。実は俺、足ツボマッサージめちゃくちゃ行くんですよ。

大臣:ヤバいよそれ。ピンときたよ。

森:朝4時にサウナ行く人が真剣に(笑)。

tofu:ほんとに上手いし、あんまり無駄話もしないいいお店があるんですよ。でも最近気が付いたんですけど、明らかに黙って氣入れられてるんですよ(笑)。

一同:(笑)。

tofu:仰向きにベッドに寝転がって目閉じて施術されてるんですけど、触れられてないタイミングでちょっと薄目で顔起こして見てみたら、マッサージ師が目瞑ってなんか込めてて(笑)。

一同:(笑)。

森:それはマナー違反だよ。氣入れる時はちゃんと断ってからじゃないと。

tofu:どうりで静かだなと。気持ちいいんでまだ通ってるんですけど。

大臣:おい、気持ちよければいいのかよ。

一同:(笑)。

唐木:マッサージって会話してるとセックスに近接していくから危ないんだよね。

澤部:無いですよ。それはそういう店の話でしょ。

西村:鼠蹊部のオイルマッサージ限定の話ですよね。

唐木:いやスポーツマッサージっていうの? あれですごい喋るマッサージ師がいたんだ。

森:スポーツきんたまマッサージ?

一同:(笑)。

tofu:いい語感だなー(笑)。

唐木:いや、愛想のいいマッサージ師との会話を文字起こししてみ? ほぼセックスだから。それに気づいてるからたいていのマッサージ師は寡黙なんだよ。

一同:……。

森:最後まで誰も同意しませんでしたね。みんな冷え切った岩壁みたいな顔してるよ。


・失う風

森:6月、「唐木運転免許完全失効」っていう文字列が光って見えますね。

玉木:森、西村、玉木、唐木で7人中4人。遂に失効派が逆転しましたよ。

西村:すごいじゃないですか。与党だ。

森:なんでみんな免許更新とかしてんの?って思うね。一回取れば満足できるもんでしょ。

tofu:ほんと真剣に、なぜこの集団ではこんな事態が起こるのか考えてしまいますね。ここ以外で免許失効した人なんて聞いたことないですよ。

大臣:異常事態ですよ。「乗らないから」では回答になりませんよ?

西村:お前ら屁理屈言うなよ。

一同:(笑)。

森:マジョリティになった途端に強気になった(笑)。

西村:理屈の上では負けても、こっちは数持ってますからね。

唐木:でもね、俺なんとかなりそうなんだよ。

森:おい、雲行きが怪しくなってきたぞ。どうせ際どい弁護士使って心神喪失を主張するつもりでしょ。

西村:これは穏やかじゃないよ。

唐木:コロナ救済措置っていうのがあって、つぎ日本に帰ったとき、「コロナのせいです」って言えば免許再発行してもらえるの。

西村:とんでもないコウモリ野郎じゃないですか。

澤部:責任能力無しってこと?

一同:(笑)。

西村:失効はしたが、即時再取得できるという第三勢力が出てくるとは……。

森:でも確実に風は吹いてるね。失う風が。


・バリやばい 夢芝居

森:8月、FUJI ROCK FESTIVALのNUMBER GIRL中継で興奮したジョイマン高木のTweet、「Number Girl バリやばい 夢芝居」(笑)。

一同:(笑)。

澤部:素晴らしいよ!

玉木:ジョイマンは今年も凄かったですね。

澤部:バリやばいから夢芝居。リテラシーゼロに戻す強さですよ。

tofu:NUMBER GIRLの曲でも無いですもんね。

森:唐突に梅沢富美男だもんな。

澤部:NUMBER GIRLから梅澤富美男に転がすルートが見えてるのはジョイマン高木さんだけですよ。

金子:ものすごい急カーブ(笑)。

tofu:英語、カタカナ、ひらがな、漢字と文字面も完璧に計算されてますよ。

澤部:ほんとジョイマン高木さんのTweetは毎回凄すぎますよ。

森:「父さん 母さん」とかもあったね(笑)。死期を悟った俳人が絞り出した自由律かよ。

澤部:美しい……。

金子:FUJI ROCKの時、興奮して連投してますね。「透明少女 アヒージョ」(笑)。

一同:(笑)。

大臣:本当に好きなんですね。

澤部:いい話だなー。


・流しそうめんは本当に楽しいから

森:「『食べずに見守る』流しそうめん 新型コロナ感染防止対策で 島根県津和野町」。只事ではないことが起こってる感じがするね。

大臣:これは常軌を逸してますね。

澤部:とんちなんてレベルじゃないよ! 「この橋渡るべからず」の立て札見て帰宅してる。

森:「見守る」というところに落ち着いたの、本物の禅を見せられた感があるね。

大臣:流さなければ見守り飛ばして、普通に食べられますからね。

澤部:どうしても「流し」を捨てるわけにはいかなかったんでしょうね。

玉木:気持ちとしてはわかりますよ。文化を絶やさないために決行したんでしょう。

澤部:まあねー流しそうめんは本当に楽しいからねー。

森:でもすくっちゃいけないんだよ(笑)。目の前を通り過ぎて行くだけ(笑)。

一同:(笑)。

tofu:流し終わったそうめんはどうなったんですかね?

大臣:さすがに流すだけ流して捨てるってことはないでしょ。それは人間の所業じゃないよ。

森:終点で地面に叩きつけられたそうめんの山がこんもり盛り上がってたら、それだけは絶対に見守りたいけどね。

金子:山が育つ様子見たいですね(笑)。

森:ライブカメラで見守りたいタイプの光景だね。


・この文化

森:今年のガラス割り、すごい新人が出たね。「バールのようなものを使い、3分で車38台のガラス割った男に懲役2年10カ月判決」。

澤部:記録的ですね。

森:4.7秒に1台ペースです。

金子:テンポ的にも格ゲーのボーナスステージ感ありますね。

森:刑法に変に詳しいtofuくんから見ると、懲役2年10カ月っていう判決はどうなの?

tofu:犯行の割に、かなり重い量刑に思えますね。

澤部:ハイスコア叩き出しちゃったから重くなったのかな?

玉木:過去に話題になったガラス割り案件だと、一昨年に三重大元准教授の23枚という記録がありました。

森:三重大元准教授は武具を使用したという記述は見当たらないんだよね。

澤部:バール使用だとちょっと色褪せて見えるなー。

大臣:これは参考記録として扱うべきですね。

tofu:追い風4メートル的な。

澤部:でも、バールを振り回すくらいの怒りを3分間持続させる精神力は評価のポイントですね。

tofu:途中で取り押さえられなかったのもすごいですね。

森:いや、バール振り回して4.7秒に1台ペースで車襲いまくってる奴は、体力が尽きて動かなくなるまで放っておくしかないよ。

大臣:「もういいよ、気が済むまで振らせておこうよ」って。

tofu:駐車場の車の窓が全部割れるまで「あー……」って言って見とくしかない。

大臣:その光景を子どもたちが輪になって流しそうめんみたいにじっと見守っててね。

一同:(笑)。

森:どこの奇祭だよ(笑)。

西村:この文化を絶やさない様にと(笑)。

森:コロナの前はね……って(笑)。


・ちょっと燃えてた?

金子:澤部さんがあげた「行方不明者の捜索に参加したトルコ人男性、探されているのは自分だと気づく」、これ素晴らしいですね。

澤部:このニュース、いいんだよね〜。

森:こういう人でありたいって心から思えるよ。

西村:落語感が非常に強いですね。

森:現代落語の秀作がトルコからドロップされるとはね。

大臣:でもよくちゃんと「あ、それ僕です」って言えたなと思いますね。並外れた胆力ですよ。

澤部:中々言えないな〜。

森:自分の名前をみんなが叫んでるって気がついたら、とりあえず一旦隠れてから出てくるよね。

澤部:サッと地面を転がってね。

西村:土を塗りたくって。

大臣:太めの枝で体を支えてね。

森:「山を……舐めちゃいけない……」って虚な目で声を枯らして。

一同:(笑)。

大臣:必死に捜索している人々がいる手前、探されていると気づいたら即時に自ら遭難するのが社会人として最低限のマナーですよ。

澤部:捜索隊も見つけたらアガリますもんね。ショートストーリーとしては現状の方がいいけど、自主遭難は将来性を考えるとアリですね。

森:あー、数年後に「俺、実はあのとき遭難なんてしてなかったんだよ。みんなの笑顔が見たくて……」って言い出すやつね。

金子:スタンド・バイ・ミーの導入の感じで回想が始まるパターンですね。

大臣:STAND BY MEドラえもんね。

森:なんでわざわざ安くするんだよ。

tofu:たしかに、もう一展開仕込んでおくと続編の可能性も広がりますもんね。

大臣:ドラ泣きだ。あ、ドラ泣き2か。

森:どっちも違うよ。

一同:(笑)。

森:ドラの要素よ(笑)。泣きも弱いし実質的に無じゃん(笑)。

金子:毎日こういうニュースばっかり見ていたいですよ。

tofu:「自宅で就寝中、頭の10cm横に隕石が落下 カナダ」もいいニュースですね。こんなことがあったら、僕一生このエピソードだけでやっていきますよ。

大臣:「あの話してよ〜」

森:「ほらー、天井突き破ったんでしょ? アレが?」

大臣:「それで? それで? どこに落ちたの〜?」

森:「どう思った? ちょっと燃えてた?」

tofu:思ったよりやりにくいですね……。

澤部:聞く側のスキルが荒すぎますよ(笑)。


・ジュワーっと……

tofu:「森、さすまたの進化に感動」っていうのは何なんですか(笑)。ニュースなの?

森:さすまたってね、本来的には非致傷性捕獲具なんだよ。対象者を傷付ける事無く取り押さえないといけないという宿命がある。なので、半円状に曲げた棒で押さえ込むっていう優しい作りになってるんだけど、ヘッドの部分を掴まれると、テコの原理が働いちゃって、捻られたり押し戻されたりして割と楽勝で逃れられちゃうんだよ。それを解決しようとトゲを付けたりすると、対象者を傷付けることになってしまう。かなりデカめのジレンマを抱えたパッとしない防犯器具とされてきたんだよ。

西村:急にめちゃくちゃ喋りましたね。

大臣:一個も相槌返ってきてないのに。

森:でもね、その致命的な問題点を画期的な方法で解決したさすまたが登場したことを知ったんだよ。それが「さすまたスプリンガー」なんですよ!

もち:スプリングを外側に巻く!

森:これが紹介されてる記事を見て、軽やかな発想に深く感動してさ。買ったもん。自分用のさすまたスプリンガー。

一同:えー!

西村:買ったんですか(笑)。

澤部:見たい見たい!

金子:ほんとだ(笑)。傘と一緒にさりげなく置いてある(笑)。こんなの買っても使うタイミングないじゃないですか。

森:自ら作るんだよ。体育会系出身の雰囲気がある若い編集者が打ち合わせに来たら、「君、さすまたに興味はないかね?」って切り出して。

一同:(笑)。

森:さすまたスプリンガーはモノとしての魅力が相当強いから。ちょっとプレゼンしたらみんな押さえ込まれてみたくなるんだよ。

澤部:まあ体験してみたくなる気持ちはわかりますね……。

森:やってると2人とも熱が入ってくんの。「あーこれは! なるほど! 動けないです!」「もっと! もっと火がついた藁を背負った猛牛の様に暴れて!」って(笑)。

一同:(笑)。

金子:ハラスメントの方向性が独自すぎる(笑)。

大臣:これは黙っているわけにはいかないですね。暴漢役やるんで取り押さえてくださいよ。

森:クッと軽く押さえるだけで効くから、インスタントになんらかの達人になった感覚を得られるんだよ。行くよ? ほら。

大臣:ほんとだ! 抵抗しようにも全く力が伝わらない! これはすごい!

tofu:これは強烈ななるほど感ありますね!

西村:うわー怖いなー。

金子:僕も捕まえられたいです!

森:容赦しないよ?

一同:(笑)。

金子:うわーすごい! 全然だめだ(笑)。ほんとに芯が持てない! でもなんか、満たされますね。ジュワーっと……。

一同:(笑)。

西村:いやー恐ろしいなー!

玉木:なんなのこの盛り上がり(笑)。これいくらしたんですか?

澤部:欲しくなりますよね。

森:2万円ちょいだね。

一同:(笑)。

金子:端的にバカ(笑)。

森:いや、いま俺が握ってるのは革命だから! 革命に2万は全く高くないよ!

tofu:たしかにこれは他では得難い感覚がありますね……。何か賞とか取ってないんですか?

森:さすまた界にも金熊賞的なのがあればよかったんだけどね。

大臣:最先端に触れた気分です。今こそTJNYアワードの出番ですよ!

もち:「澤部渡結婚」よりも(笑)。

澤部:全然上だよ。勝てる気がしないよ!

西村:このスマートな発想はアワードですね。本当に恐ろしい。

大臣:西村さんだけ一貫して捕縛される側の視点から見てましたね。

一同:(笑)。


・いたんだもん

唐木:脱法スーパーの話ししたっけ?

森:してないよ! 何その珍しい単語の組み合わせ(笑)。

唐木:フラッシングっていうチャイナタウンにある時期、偽物のマツキヨが4店一気に出来て。品揃えはほぼ一緒なんだけど1店だけ明らかにおかしかったんだよ。まず爆発的に安い。ほとんどの商品の賞味期限が切れかけてるか切れている。あと、絶対売っちゃいけないものを売ってるの。

西村:LOとか?

一同:(笑)。

唐木:LOレベルにアメリカではNGなもの。わさビーフが普通に置いてあるんだよ。アメリカでわさビーフ手に入れようと思ったらシャブよりはるかに苦労するからね。

金子:なんでだめなんですか?

唐木:牛肉の成分が入ってるから。狂牛病騒動以降、あらゆる牛肉製品が輸入禁止になってるんだよ。

澤部:あー! 牛肉エキスとか!

唐木:日本人の間で「ヤバい店がある」って情報が回ってきて俺も駆けつけたんだけど、3回目に行った時にはただの偽マツキヨになってて。全部幻だったのかなって。

森:何買ったの?

唐木:レトルトの坦々麺とか、わさビーフ、湖池屋スコーンやみつきバーベキュー味。でも行ってない人に話しても、誰もそんな品揃えの店があったって信じてくれないんだよ。

西村:トトロみたいな(笑)。

一同:(笑)。

もち:いたんだもん!(笑)。

森:ほんとにわさビーフいたんだもん!(笑)。

唐木:だからね、偽マツキヨは一部在米邦人の心の中にだけ住んでるんだよ。子どもに「わさビーフ売ってたんだよ」って言っても「そんなわけないじゃん!」て言うもん(笑)。

一同:(笑)。

澤部:お父さんのうそつき!(笑)。


・主にアリ

森:朝一は相変わらずYouTubeばっか見てるの?

金子:まあそうですね。

森:パルクール失敗する動画?

金子:見てないですよ(笑)。

森:あと高速餅つきのタイミングがずれる動画。

澤部:おもちが桃色になっていくやつね(笑)。

金子:ないでしょそんな動画(笑)。

森:あとビフォーアフターのビフォーだけ集めた動画。「おばあちゃんが押し入れに頭を入れて寝る家」、「命懸けで風呂を沸かす家」(笑)。

一同:(笑)。

西村:あと大学生YouTuberの挨拶のシーンだけ集めた動画ね(笑)。

金子:見てないですよ! 人をなんだと思ってるんですか(笑)。

玉木:で、何見てるの?

金子:主にアリの動画ですね……。

一同:(笑)。

金子:アリの巣作りの動画とか、アリの生態、観察キットを使ってる人の動画とか。

西村:飼いたいの?

金子:別にアリは好きじゃないんです。なんか見てるとととのうんですよ。

大臣:目グルグル回して?

一同:(笑)。

森:なんでアリ動画に行き着いたの?

金子:なんか突然YouTubeのおすすめ欄にアリばっかり出てくる様になって。

森:なんでそんなことになるんだよ(笑)。

唐木:お前はアリでも見てろと(笑)。

金子:アリの巣の中に溶かした金属を流し込んで型を取る動画もずっと見ていられますね。

森:アリが好きな人は絶対見ないタイプの動画もちゃんと見てる(笑)。

金子:アリ関連ならなんだっていいんですよ僕は結局。

森:そっかー。なんかちょっと湿っぽくなっちゃったね。

大臣:切り替えていきましょう。


・今年も色々あったけど

澤部:「世界最大のかりんとう ギネス記録に認定」、これなんなんですか?

森:これはもうね、「世界最大 かりんとう」で画像検索してみてください。

一同:(爆笑)。

西村:ドラゴンの糞じゃないですか!

tofu:笑いすぎて腹が痛い(笑)。

森:よくこんなもんの前で真面目な顔して写真撮れるよね(笑)。

唐木:企画段階からさ、どうなるか想像つくじゃん!

森:おっきいかりんとう作ったら何に見えるか気付けよな! ほんと笑っちゃったよ。澤部くん笑いすぎて泣いてるじゃん(笑)。

一同:(爆笑)。

森:おっきいうんこがおもしろすぎて泣いちゃった(笑)。

大臣:怖かったね〜、大丈夫だよ〜。もういないよ〜。

一同:(爆笑)。

澤部:だめだもう呼吸ができない(笑)。ドラゴンの糞って(笑)。

西村:ダンジョン飯があるならダンジョン糞もある(笑)。

森:いやもう単純にうんこが一番おもしろいよね。

西村:今年も色々あったけどやっぱりうんこが(笑)。

唐木:すごいね。中年が7〜8人揃ってさ、結局一番おもしろいのはうんこだって(笑)。

森:夜中に涙流しながら巨大なうんこみたいなかりんとうの画像を見てる(笑)。

一同:(爆笑)。

駆け足で家路に着いたTJNYたち。中には大きいうんこの話に夢中になったせいで終電を逃す30代もいるだろう。目の前に訪れた想像も付かなかった未来は、不思議と懐かしい匂いがした。友人たちを見送り、ふりかえり様にさすまたを足に引っ掛けると、床に叩きつけられたスプリングがビョンビョンと震え、JC-120が倒れた時と同種の音が雑談の余韻と重なって部屋に響き渡った。Echo/Reverb、つまりこだま/ひびき。こだまの親指のみならず、ひびきの眼鏡までが鮮明に瞼に浮かぶ。いい自由律が詠めそうな材料が揃ったが、スピりの接近を危惧してバネの振動を手の平で握り込む。起床した鶴太郎が朝食に大量のフルーツを摂取している時間だ。オノマトペ大臣がサウナに行くまであと3時間半しかない。それぞれの日常を抱えて地球は廻り、公転は次の一周へ。薄暗かった2021年に、おめでたいニュースで光を差してくれたスカート澤部氏と例の仮面の占い師に幸あれ。2021年度のトーベヤンソン・ニューヨーク・アワードを受賞したのは、「安全さすまたスプリンガー(三和製作所)」です。(森)


Illustration by Tsuchika Nishimura

森 敬太
京都府生まれ、デザイナー/アートディレクター。書籍、CDなどの装丁を多数手がけながら、2011年から自主制作漫画レーベル「ジオラマブックス」を主宰、漫画誌「ユースカ」を発行。2017年、合同会社飛ぶ教室を設立する。Instagram : @m_o0_ri