米人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」(SATC)の「ミスター・ビッグ」役で知られる俳優のクリス・ノース。17年ぶりの続編「AND JUST LIKE THAT…/セックス・アンド・ザ・シティ新章」で同役を再演しているノースに、性的暴行疑惑が持ち上がっている。2021年12月、4人の女性が性的暴行を訴え注目を集めたが、今回ローリングストーン誌は新たな証言を入手した。

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ホリーさん(プライバシー保護のため仮名)はクリス・ノースが共同所有するニューヨークシティのライブハウスThe Cutting Roomのバーテンダーだった2013年当時、彼に突然抱きつかれたという。「人ごみを抜けたところで、突然彼が私を捕まえ、両手で抱きすくめ、腰に回し、シャツの上の方へ伸ばしてきました」。彼女は彼の行為にすっかり面食らい、その後も店で働き続けたが、二度と言葉を交わすことはなかったという。時間が経つにつれ、ホリーさんもこの出来事を深く考えなくなった。だが去る12月、4人の女性がノースを性的暴行で訴えたことで、あの夜のことが突然新たな意味を持つようになった。

ノースを告発した4人は彼のマンハッタンの行きつけのレストランDa Marinoの従業員で、1人は店内で、もう1人はレストランを出たところで暴行されたという。その上さらに別の2人の女性が、ノースとの不快な体験をローリングストーン誌の独占取材で明かにした。その内容は許容範囲や同意を無視したパターンに合致するように思われる。

ノースの代理人はこの記事で取り上げる疑惑の数々についてコメントを控え、全ての容疑を否認した本人の先の声明をローリングストーン誌に提示した。「数年前、果ては数十年も前に出会った個人が私に対して行った告発は、根も葉もない嘘です」。最初の性的暴行疑惑に関連して、ノースはハリウッド・リポーター誌に語った。「こうした話が出てきたタイミングに疑問を持たずにはいられません。なぜ今ごろ浮上したのかまったくわかりませんが、これだけははっきり言えます。私は彼女たちに暴行していません」。一方で彼は芸能事務所から契約を打ち切られ、自ら所有するテキーラ会社を数百万ドルで売却する契約もおじゃんになった上、TVドラマ『The Equalizer』からも下ろされた。

ノースは1994年からずっと、イースト9番街のニューヨーク大学キャンパス内に建つマンションで暮らしている。学生寮のひとつブリタニーホールは、ノースが告発者の1人を暴行したとみられるイタリアン・レストランIl Cantinoriと同じイースト10番街の角に位置している。ノースの暴行疑惑が浮上すると、多くの人々が不思議ではないと答えた。その中にはニューヨーク大学の卒業生も何人かいた。「過去20年間、ニューヨーク大学に入学してすぐの新歓週間にユニバーシティ(広場)を歩く勇気があった人は1人残らず、今回のクリス・ノースのニュースに驚かないわ」と、あるユーザーはツイートした。別のツイートには「一度Au Bon Painにいた彼が、私に向かって窓越しに例の眉毛を動かすやつをやったの。走って逃げたわ!!」


ノースにまつわる「噂話」とは?

2009年にニューヨーク大学を卒業したスザンヌ・ザッペロさんは、キャンパス周辺の
ノースの様子をローリングストーン誌に語った。ザッペロさん曰く、ニューヨーク大学の女子大生たちは「(ノースの)存在に敏感でしたが、イケてるセレブに対する接し方ではなく、“にっこり笑ってすぐに立ち去る“という感じでした」。ザッペロさんや彼女の友人は地元のスターバックスであれル・パン・コティディアンの窓側の席であれ、キャンパス中で彼が通り過ぎる若い女性に微笑んでウインクする姿を目にしたそうだ。「友だちはしょっちゅう彼を見かけて嫌な思いをしたと言っています。当時は『あいつはなんでずっとあそこにいるわけ? いつもいるじゃない! なんか気味が悪いのよね』と言っていました」。彼がミスター・ビッグであることは皆知っていたが、最初の興奮はすぐに薄れていったとザッペロさんは言う。

【写真】2013年3月10日、ニューヨークシティのBuddakanで行われたSNLアフターパーティに出席中のクリス・ノース(Photo by James Devaney/WireImage)

2004年から2009年までニューヨーク大学ティッシュ芸術学部で1年生に執筆を教えていたジェフ・ストラボーンさんはハリウッド・リポーター誌に最初の告発の記事が掲載された翌日、当時女子学生の間でノースにまつわる「噂話」を何度か耳にしたという話をツイートした。ストラボーンさんが元教え子3人から受けた印象では、ノースは「歩きまわって(ミスター・)ビッグを気取るキモいオヤジ」だった、とローリングストーン誌に語った。

ローリングストーン誌にノースとの不快な体験談を寄せた2人目の女性ニーナさん(プライバシー保護のため仮名)は、2014年ごろに彼と出会った夜のことを詳しく語ってくれた。当時30代だった彼女は近所に住んでいて、ノースの住まいとは目と鼻の先のレストラン兼ライブハウスKnickerbocker Bar & Grillによく通っていた。ニーナさんと友人は「毎回彼を店で見かけましたが、彼はいつも酔っ払っていました」とローリングストーン誌に語った(ノースの代理人はこの件についてノーコメント)。

Knickerbockerのオーナーのロン・ダレグロさんはノースが20年来の常連であることを認め、故フィリップ・シーモア・ホフマンや『グッド・ワイフ 彼女の評決』の共演者ジョシュ・チャールズといった有名人らを連れ立って来店したこともある、と言った。「彼はいつも少々騒がしかったですが、いい常連さんでした」とダレグロさんは言い、ノースが女性客や女性スタッフに不適切な行為をしたことは一度も見たことがない、とも付け加えた。


「どこまでならOKか試そうと、ベタベタ触ってきた感じでした」

だがKnickerbockerを訪れた中でも、ニーナさんの記憶の中でとくに際立っていることがある。2014年1月のとある夜、ニーナさんは従兄とその友人と3人でバーに立ち寄った。しばらくするとノースが女性連れで来店した(ノースは2012年にThe Cutting Roomのバーテンダーだったタラ・ウィルソンさんと結婚したが、その晩ノースが連れていたのが彼女だったかどうか、ニーナさんは覚えていなかった)。ニーナさんによれば、彼らは会話に加わった。「どういうわけか彼は海賊(のまねごと)をして、私のスカーフで海賊の帽子を作ろうとしました」とニーナさんはローリングストーン誌に語った。

その時彼はスカーフを受け取ろうと歩み寄り、彼女がスカーフを外す間もなく、彼女に近づいて自分でスカーフをほどこうとしたそうだ。「はた目には、彼が酔っ払ってよろめいたように思ったかもしれません。でも酔っ払いがよろめいた感じじゃありませんでした。酔っ払ってよろめいたにしても、相手の胸に触ったりはしません」

ニーナさんによれば、その出来事が続いたのは10〜15秒ほどで、全員が酒を飲んでいたという。当時は軽く受け流したが、今振り返ってみれば、彼に触られたことに不快感を覚えるそうだ。「彼はどこまでならOKか試そうと、ベタベタ触ってきた感じでした」。ニーナさんはその夜に撮った写真をローリングストーン誌に見せてくれたが、そこには格子柄のスカーフを頭の上で結んでカメラに向かってウインクするノースの姿が写っていた。ノースとの出来事があったことで、性的暴行の「ニュースを見ても驚きませんでした」とニーナさんは言う。

同じころ、The Cutting Roomでバーテンダーをしていたホリーさんもノースから不快な思いをさせられた。ホリーさんによれば、1999年の創業以来共同オーナーを務めていたノースは、しばしば店内で女性スタッフに色目を使う姿を目撃されており、「いけすかない男」として有名だった。そしてある晩、彼女も身をもって体験することになったという。

「私ともう1人のバーテンダーは、カウンター越しに彼とふざけ合っていました」と、ホリーさんはローリングストーン誌に語った。途中でホリーさんは休憩のためにカウンターから出て、視界の端にノースの姿をとらえた。彼が彼女の腰に両手を回し、シャツ越しに手を這わせてきたのはその時だったそうだ。

「私は彼(ノース)に『ふざけてるの?』というような、面食らった顔をしました」とホリーさん。すると彼は引き下がったそうだ。彼女はその夜バーテンダーとしてノースを給仕していたので、彼が無理やり迫ってくる前に少なくとも数杯飲んでいたことを知っていた。こうした出来事はこの時1度きりだったという。「後で彼の方を見ると、彼は視線を逸らしました」


The Cutting Roomの共同オーナーは疑惑を否定

ホリーさんの主張に対し、ローリングストーンからコメントを求められたThe Cutting Roomの共同オーナーのスティーヴ・ウォルターさんは、そうした出来事が「起きたはずがありません。もし起きていたなら、苦情を受け取っていたはずです。あまりにも多くのゴシップが飛び交っていますから、眉唾ものですね」と電話で答えた。その後メールで送られてきた追加の声明文には、「私はThe Cutting Roomのオーナーとして、開業以来ほぼ毎日店にいますが、クリスがこうした疑惑のようなことをした姿を見たこともなければ、話を聞いたことも、苦情を受け取ったこともありません」と書かれていた。The Cutting Roomのチーフ・バーテンダーを務めるヘザー・リティアさんもローリングストーン誌にこのような声明を寄せた。「クリスとは9年来の付き合いですが、彼が不適切な行為をした姿は1度たりとも見ていませんし、誰からも彼に対する苦情は上がっていません。私たちは非常に仲の良いファミリーです。そうした行為があったのなら気づいていたはずです」

ホリーさんの当時の恋人も、彼女から事件について聞かされたことを認めた。「彼女はとても動揺して、不適切だと言っていました。自分は騙された、蔑ろにされたと感じていました」。その夜The Cutting Roomで勤務していなかった同僚は、ノースの不適切な行為のすぐ後にホリーさんから電話を受けた。「彼女が一部始終を話してくれたのを覚えています。彼女はすごく取り乱していました。とてもショックを受けていました」と、その友人はローリングストーン誌に語った。「カウンターを出ると彼につかまれた、見るからに動揺しているのを見て彼は止めた、と言っていました」。またこの友人は、ホリーさんがその後何日も何週間も、彼女がいう事件についてバツの悪い思いをしていたことも覚えていた。

ノースとの出来事があったからこそ、ホリーさんはゾーイ・リスター・ジョーンズとリリーの告発を聞いた時、2人が真実を語っていると信じたそうだ。「2人の言うことを完全に信じています」とホリーさん。

一方でホリーさんとニーナさんは、ノースに対する疑惑の数々の中で自分たちの体験がどういう位置づけになるのだろうかと悩んでいる。ノースに性的暴行を受けたとメディアに名乗り出た4人の女性に加え、『セックス・アンド・ザ・シティ』でクリスティン・デイヴィスの代役を務めた女優のヘザー・クリスティンの主張によれば、ノースは一度「背中からお尻に手を這わせ」、その後撮影クルーの前で、別のキャストの代役を「縛り上げて、さるぐつわして、俺のトレーラーに連れてこい」と冗談を言ったとみられる(ノースの代理人は「『セックス・アンド・ザ・シティ』の撮影現場で、ノースが不適切な行為をしたという苦情は1件もなかった」とハリウッド・リポーター誌に語っている)。女優で監督のゾーイ・リスター・ジョーンズは最近Instagramでノースを「性的加害者」と呼び、『ロー&オーダー』の撮影現場で不適切な行為を受けたと主張した。ホリーさんとニーナさん、そして他の女性たちの体験は、知名度を利用して礼節を欠く一連の行動パターンと合致するように思われる。「なぜこんな風に触られなくちゃいけないの?」と、ニーナさんもかつて思い悩んでいた。「ふつう誰もしないでしょう。何様のつもりなの?」

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